テレビ画面を注視していたかどうかがわかる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、24年4月クールの民放キー局で放送されたレギュラーバラエティ114番組を対象に注目度ランキングを作成し、人気の傾向を分析した。

  • 中居正広(左)とダウンタウン

    中居正広(左)とダウンタウン

共感力の高い女性視聴者の心に響いた『金スマ』

人気番組や長寿番組がしのぎを削る中、個人全体注目度64.4%でトップに立ったのは『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS)。次いで『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京)が63.7%で2位。他にも『水曜日のダウンタウン』(TBS)や『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ)など長年の人気番組が安定した支持を得る一方、今年4月にゴールデン進出1周年を迎えたばかりの『それSnow Manにやらせて下さい』(TBS)が女性の注目を集めてトップ10に入った。

今回のランキングの特徴として、世帯視聴率の順位と注目度の順位に大きなギャップがあることが挙げられる。

1位の『金スマ』は女性注目度でも堂々の1位を獲得し、女性から高い支持を集めていることが分かる。例えば、4月5日放送「芸能人版大ピンチずかん」では、安田章大、ギャル曽根、哀川翔といった著名人が、これまでの人生で経験した大きな困難を赤裸々に語った。逆境を乗り越えて前向きに生きる姿が、共感力の高い女性視聴者の心に響いたと考えられる。

また、4月26日放送の「ママのお悩み一刀両断SP」も女性視聴者の共感を呼んだテーマだった。藤本美貴、横澤夏子、中村仁美などのママタレントが、子育ての悩みや葛藤を率直に語り合った。中でも島田珠代の母子関係修復の物語は、感動的な展開で大きな反響を呼んだようだ。

これらのテーマに加え、中居正広の卓越したMC力も人気の大きな要因と言えるだろう。ゲストの言葉に丁寧に耳を傾け、深い共感とユーモアを交えながら巧みにトークを引き出す手腕は、まさに『金スマ』の要。特に、女性の繊細な感情を読み取る力は、多くの女性視聴者から支持を集めている理由の一つと考えられる。

等身大の人間ドラマを描くテレ東バラエティ

2位の『家、ついて行ってイイですか?』は、男性注目度4位、女性注目度8位と、男女ともに上位にランクイン。この人気の秘密は、老若男女問わず、様々な背景を持つ一般の人々にスポットライトを当てている点にある。「終電を逃した人にタクシー代を払う代わりに家について行く」というシンプルなルールながら、そこには笑いあり、涙ありの、まさに人生ドラマが詰まっている。

一見普通の生活を送っているように見える人でも、一人ひとりにそれぞれの物語があり、悩みや喜びを抱えながら日々を過ごしている。プロデューサーの小比類巻将範氏が「取材者が魅力的に見えるように。見る側がその人を好きになって応援したくなるように」(『テレビ東京 開局60周年記念誌』)と心がけているように、そんな市井の人々の飾らない姿を丁寧に映し出すことで、視聴者はまるで自分自身の周りの人を見ているような親近感を抱き、応援したくなる気持ちを抱くのだろう。

ちなみに、トップ10にランクインしたテレビ東京の3番組は、いずれも一般の人々に焦点を当てた番組。視聴者の共感を呼ぶ、等身大の人間ドラマを描いた番組作りが視聴者を「くぎづけ」にしていると言える。

40~50代男性注目度が高い『ナニコレ珍百景』

男女で注目度に大きな差があるという点で興味深いのは、テレビ朝日の人気番組『ナニコレ珍百景』だ。女性注目度35位に対して、男性注目度は2位と高順位で、特に男性40~59歳代に絞ってみると注目度は64.3%で9位にランクインしている。

4月の放送では「大阪の倉庫の奥に続く洞窟に〇〇店!」や「キャバクラ&ホストクラブに変身する人気の老人ホーム」、「愛知で大人気の激安遊園地&激安定食&駄菓子屋さんの珍グルメ」など、この番組らしい好奇心を刺激する珍百景が多数紹介された。

「珍百景」というだけあって、あっと驚く珍しいものを紹介する同番組。日常生活に役立つネタではないけれど、会社でのちょっとした雑談や家族サービスに使えるかも、といった視点で40~50歳代男性からの興味関心を引きやすいのかもしれない。

2023年の年間平均視聴率では、テレビ朝日が個人全体視聴率で全日帯・プライム帯の2冠、世帯で全日帯・ゴールデン帯・プライム帯の3冠を達成したが、日曜のゴールデンタイムに放送される『ナニコレ珍百景』は、その一翼を担っていると言える。