広島県のKGモーターズが開発している小さな電気自動車(EV)「ミボット」(mibot)の実物を見てきた。1人乗りで航続距離は100km、価格は100万円という乗り物で、立ち位置としては軽自動車未満、バイク以上といった感じなのだが、はたして普及するのだろうか?

  • KGモーターズ「ミボット」

    KGモーターズの超小型EV「ミボット」

年産10万台が目標?

KGモーターズは広島県で小型モビリティロボット(=ミボット)の開発を手掛けるスタートアップ。「海外EVの分解・研究」などの動画をYouTubeで配信していて、ミボットの開発チームもYouTube経由で集めたそうだ。今は約60人のメンバーでプロジェクトを進めている。

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    KGモーターズ代表取締役の楠一成さん

ミボットは「原付ミニカー」に分類される。現在は開発中の段階で、写真の車両はプロトタイプ。今年度中に量産試作車20台を製作する予定で、2025年度には量産車300台を生産・販売し、2026年度には年産3,000台の本格量産に入るとしている。将来的には年間10万台規模を目指すという。クルマは広島県の自社工場で生産し、ECで直接販売を行う。

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    「ミボット」は原付ミニカーでボディサイズは全長2,490mm、全幅1,130mm、全高1,465mm。バッテリーはリン酸鉄リチウムイオン電池、容量は7.68kWhとのことだ。運転するには普通自動車免許が必要になる(原付の免許では運転できない)。購入の際、車庫証明を提出する必要はない。高速道路は走れない

コストを抑えるためにさまざまな工夫を施したというミボット。例えば、上下左右対称なデザインとすることで、金型を減らすことができたそうだ。走行性能、安全性、装備については「必要なものと不要なものの見極め」が重要だったと楠さん。乗車人数、航続距離、速度などは割り切って考えつつ、安全性については衝突試験を行うなどしっかりと検証を行っているそうだ。

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    普通の駐車スペースでも、横向きにすれば2台とめられるほど小さい「ミボット」

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  • エアコン、シートヒーター、ディスプレイモニターを完備する車内。クルマなら、ドアと屋根が付いているのは当たり前なのでは? と思いがちなのだが、こうした小さな電動モビリティでは、例えば「トゥクトゥク」タイプのものや3輪バイクのようなものなど、雨風を完全に防げるモデルは意外に少ない

自動運転も視野?

日本ではクルマ移動のほとんどが「1人乗車」であり、移動距離は10km未満だという。こうしたクルマの使用実態を踏まえ、KGモーターズでは1人乗り・短距離移動に特化した超小型EVの開発に乗り出した。ミボットは維持コストが安く(原付と同等)て環境負荷も低いとのこと。この手の小さな電動モビリティはいくつかあるが、ドアと屋根が付いていて、車内でエアコンが使えるという特徴を備えた乗り物は、ほとんど存在しないのではないかとKGモーターズのスタッフは話していた。

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    原付ミニカーの「ミボット」は車検不要で税金も安い。任意保険は「ファミリーバイク特約」の適用が可能だ。維持コストは軽自動車比で約80%削減できるとのこと

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    1km走行するのに排出するCO2の量。太陽光などの再生可能エネルギーで充電すれば、ガソリン車比で99%の削減が可能だという

ミボットの予約受け付けは2024年8月23日21時にスタートする。2025年度生産分の300台については、広島県と東京都を「納車優先エリア」にするとのことだ。

KGモーターズでは将来的に、自動運転のミボットを使った旅客輸送も視野に入れているとのこと。こちらは2027年以降の実現を目指す。