さまざまな感情をキャラクターにして人の頭の中に広がる“感情たち”の世界を描くディズニー&ピクサー最新作『インサイド・ヘッド2』(8月1日公開)で前作に引き続きカナシミ役を演じた大竹しのぶにインタビュー。演じたのはカナシミだが、自身は悲しいという感情になることはほとんどなく、喜びを感じることが多いという。子供の頃から笑顔を大切にしているという大竹の生き方や、「お芝居が大好き」というずっと変わらぬ女優業への情熱、今後の抱負など話を聞いた。

  • 大竹しのぶ

    大竹しのぶ 撮影:蔦野裕

『アナと雪の女王2』を超えてアニメーション映画史上世界No.1の世界興行収入を記録した本作の主人公は、思春期を迎え、高校入学という人生の大きな転機を迎えた少女・ライリー。そんな彼女を子供の頃から頭の中で見守ってきたヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリの5つの感情たちの前に、新たにシンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシという4つの“大人の感情”が現れ、感情の嵐が巻き起こる。

『インサイド・ヘッド』(15)に続きカナシミを演じた大竹。「前作のイメージをもう一度思い出して演じましたが、私の体の中にカナシミがいて、すぐに戻ることができました」と述べ、「カナシミはライリーに幸せになってほしいと思うから悲しんで、ヨロコビの後ろにいるんだなと。とにかくヨロコビが前に出てほしいと切に願っているんだなと今回すごく感じて、優しいなと思いました」とカナシミの気持ちをより理解できたという。

自身の頭の中はヨロコビが多く占めているそうで、「あまり悲しいと思うことはなくて、昔から喜びが多い気がします」と自己分析。

喜びを感じやすい性格について「親の教育が大きいのかなと思います」と言い、「『感謝しましょう』『いきいきと生きよう』『女の子はいつも笑っていたほうがかわいいよ』と言われていて、毎日楽しいことを考えていました。学校で先生を驚かせるためにいたずらを考えたり。子供の頃から笑うことが好きですね」とほほ笑んだ。

そして、「怒ったり、心配したりということはあまりない」と言う大竹だが、「子育てしている時は毎日いろんな感情がうごめいていたかもしれません」と振り返り、「それがひと段落して、自分のことだけを考えて生きていいとなった時に、また元の自分に戻れる感じがしました」と語る。

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女優業に幸せ感じる日々 母になってからの変化も語る

1973年に女優デビューしてから51年もの間、芸能界で活躍しているが、幸せを感じる日々だという。

「今はドラマを撮ったり、映画や舞台、音楽のお仕事をしたり、幸せだなと感じています。最初にこの世界に入ってお芝居を始めて、お芝居って楽しいな、面白いなと思ったのがずっと続いている感じです」

この仕事から離れたいと思ったことは一度もないそうだが、もう少しゆっくりしたいという思いはあると明かす。

「もっと自然に触れたり、ゆったりした時間の中に自分を置くことも大事なので、ちょっと忙しすぎるなとは思います。もう少しゆったりできる時間もほしいなと思いながら、もう何年経っちゃったんだろう(笑)」

仕事で忙しい日々を送っているため、休日になると頭の中は「ダリィしかいない(笑)」と吐露するも、「やっぱりお芝居が楽しくて、ずっと大好きなので、これもやりたい、あれもやりたいと欲張りに。自分で自分の首を絞めている感じです(笑)」と、これからもまだまだ仕事に追われる日々が続きそうだ。

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芝居が大好きだと語る大竹だが、蜷川幸雄さん演出のシェイクスピア作品の舞台に出演した際に、それを強く感じたという。

「京都でずっと映画の撮影をしていて、くたくたになって帰ってきて、明日から蜷川さんのお稽古が始まるという時に、8時間の芝居だったので台本が4冊あったのですが、読み始めているうちに楽しくなってきて、明日からずっとこの世界に浸れるんだと思ったらうれしくて家の中を走っていました(笑)。自分って変わっているなと思いましたが、それぐらいお芝居が好きなんだなと感じました」

また、子供が生まれたことが自身にとって大きな転機に。「体力と気力がついて、強くなりますよね。人のために頑張れる。愛情ということだと思いますが、それを知ることができただけでも、私にとっては大きかったです」と述べ、子育てがひと段落したとはいえ、今も子供たちの存在は生きるパワーになっているという。

母親役も多く演じてきた大竹。「もちろん経験してなくても演じられると思いますが、自分の中の経験として一つ豊かになったものがあるなと思います」と語った。