――「高低差のある地形を偏愛しているので、1年目のあいだに、東京・河田町のフジテレビ旧局舎跡地周辺を歩いてみたいものです」とコメントされていましたが、これは実行されましたか?
はい。曙橋駅と若松河田駅の間でおそらく10mかそれ以上の高低差があるのですが、その間の斜面の上にかつてのフジテレビ社屋があったんです。そこから、「これはやはり電波を出すから丘の上に作ったんだろうか」とか、推測するんです。「他の局はどうだったっけ?」とか、いろいろ考えるのが面白くて。
――お天気キャスターをやる上でも、地形を知って大雨の時に水が溜まりやすいところなどを把握しておくのは役立ちますよね。
間違いないですね。いろいろ調べていくと、東京の地形は面白いなと思いました。
――高低差を偏愛していると、お台場は面白くないのでは?(笑)
いや…(笑)。でも、ここが埋め立てられてからの変遷などを考えだすと、いろいろ歴史があって面白いんですよ。
――高低差が好きで、二級小型船舶免許もお持ちだというのを聞いて、タモリさんとの共通点も感じますが、目標とされるアナウンサーは、どなたになりますか?
青嶋達也さんです。最近、「何を話すか」以前に「何を見ているか」が大事だとすごく思っていて、こと実況となると、基本的には見たものについてしか話すことはできないので、同じ場所から見ても、実際に目に入っていないと伝えられないんです。例えば競馬で「ブロードアピールが差してきた」と言うには、後方まで見てないといけない。そういう意味で、青嶋さんは“見るプロ”でいらっしゃると思うので、ゆくゆくはいろんなことを教えていただけたらと思います。
「この人たちに向けて伝えているんだ」という気持ちを込めて
――いろいろ興味深いお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に月並みではございますが、抱負をお願いします。
傑出したアナウンサーになりたいという気持ちはそんなにないんです。自分の素直な気持ちとしては、地域に出ていきたいというのがすごくあります。人が生活をする場は地域であると信じているので、全国に向けて何となくお伝えするのではなく、“この人たちに向けて伝えているんだ”という気持ちを込めていきたいと思っています。そういう意味で、「東京のローカルアナウンサー」になりたいと考えているので、そのためにもいっぱいいろんなことを知っていきたいと思います。
――『めざましどようび』で担当する、天気や季節に関する現場からリポートする「新人上垣アナの実況してみた!」は、その目標に向けてうってつけのコーナーですね。
そうなんです。このコーナーでも地域のことをいろいろ知ることができると思うので、積み重ねていけたらいいなと思っています。
――いろんなことに興味を持って、実行する行動力を感じるので、今後またインタビューする機会があった時に、どんなテーマでお話を伺えるのか楽しみです。ちなみに、先輩のヤマケン(山本賢太)アナへの初めてのインタビューは『ぽかぽか』について、2回目は筋肉美のお話でした。
ヤマケンさんがいらっしゃるおかげで、僕ら後輩は「ここまで枠にとらわれないで自由にやっていいんだ」という気持ちになれるので、とてもありがたいです。
――先輩も立てて素晴らしい…。それでは、今後のご活躍をお祈りしています。
ありがとうございます。同期の3人も、一人ひとりめちゃくちゃ面白いので、ぜひよろしくお願いします!
●上垣皓太朗
2001年生まれ、兵庫県出身。大阪大学文学部卒業後、24年にフジテレビジョン入社。趣味は銭湯で長風呂、AMラジオを聴く、歌ネタ漫才のカバー。特技は地形図を見ながら街を歩く、テストづくり(架空の学校を想定して)。教員免許(高校地理歴史・高校国語・中学国語)、防災士、二級小型船舶免許、酒類販売管理者などの資格を持つ。モットーは「かかわらなければ路傍の人」(塔和子さん)