――資格の一覧を見ると教員免許もお持ちなんですね。

大学に入って最初のガイダンスで教職課程に入るかどうか決めるように言われて、一応行ってみるかという感覚だったのですが、そこにいた大阪弁の教授に「教職課程はとにかくおもろいよ」と言われて、まずその人にすごく興味が出てしまって。それで実際に入ってみたら面白かったんです。「地域に出ていきなさい」と言われて、いろんな学校にお邪魔して子どもたちと交流して、素敵なお仕事だと思いました。その時はアナウンサーを目指していたのですが、教職免許も取っておいて、選択肢を増やそうと思ったんです。

――対象は子どもたちですが、「伝える」という点で、アナウンサーの仕事と通じるのではないかと思います。教職課程の経験が生きると思うことはありますか?

絶対に生きると思います。例えば、授業一つにしてもどれだけ準備するかが大事で、先生方がみんな授業作りに魂を込めてらっしゃったんです。遠足でも一度下見に行って、雨の時の行程はどうするか、トイレはどこにあるのか、浜でこの時間になったらお調子者がはしゃぎ始めて、注意しに行ったらクラスが盛り上がって先生を海に落とすから、海パンの替えを1枚持っていく…というところまで計算するんですよ。

そしてアナウンサーは、1つ1つのOAに対して入念に準備をするんです。『めざましどようび』では週末の天気がどうなるのかというのはもちろん、ロケも行かせてもらえるので、会議で場所が決まり次第すぐにできる下調べをして臨んでいます。

アナウンサーはどんなこととも結び付けられる仕事

――プロフィールを拝見すると他にも気になる資格があるのですが、「酒類販売管理者」というのは?

これも西日本豪雨の被災地とつながりがあって、地域のシンボル的な酒蔵が水害を受けて廃業せざるを得なくなってしまったので、そこの日本酒を大学で売って、売上を復興支援に回すという活動をすることになったんです。それで、自分で売れるように取得しました。

――どんなところで売ったのですか?

居酒屋に売り込みにも行きましたが、大阪の百貨店では店頭販売をしました。そこで被災地のことを知ってもらって「応援するよ」と言われることもあるのですが、なかなか足を止めてくれる人がいなかったので、「自分の前を横切られる10秒の間に、何と言ったら心をつかめるだろうか」といろいろ考えるんです。「珍しく学生が売ってることをアピールしよう」とか、「“愛媛”と言ったら愛媛出身の人が食いついてくれるかも」とか、何とか人に引っかかるポイントはないかなと。

――その経験もアナウンサーに生きますよね。

そうなんです。自分が興味を持っているものだから、図らずもつながっているのかなと思います。それと、おそらくアナウンサーという仕事は、どんなこととも結び付けることができるのではないかと思っているんです。新しいことを知りに行って、それを仕事の中に取り込んでいければと思っています。