• 『9ボーダー』川口春奈

TBS系で放送された『9ボーダー』は、川口春奈主演の心温まる家族ドラマ。20代、30代、40代を目前に控えた3人の姉妹が、予期せぬ父の失踪をきっかけに同居生活を始めるという、ユニークな設定が話題を呼んだ。

ドラマは「LOVE」「LIFE」「LIMIT」という3つのLをテーマに、それぞれの姉妹の人生模様を丁寧に描いた。川口春奈、木南晴夏、畑芽育が演じる三姉妹の絆や恋愛事情が、多くの視聴者の共感を得たようだ。

視聴質データを見ると、男性の注目度が3位(67.3%)、女性の注目度が4位(66.6%)と、性別を問わず高い関心を集めていたことが分かる。各世代の女性の悩みや成長を細やかに描いたハートフルなストーリー展開が、幅広い層の心をつかんだと考えられる。

さらに興味深いのは、初回の注目度が7位(60.7%)だったのに対し、最終回では3位まで上昇したこと。これは、エピソードを重ねるごとに物語の魅力が増し、キャラクターの深みが増していったということだろう。特に、川口春奈と松下洸平の織りなすラブストーリーは、SNSで大きな反響を呼んだ。

最終回では、主人公・七苗とコウタロウの恋の行方や、家業である銭湯「おおば湯」を含む商店街の存続問題など、複数の storyline が絡み合い、視聴者を惹きつける展開となった。

新井順子プロデューサーは本作について、「自分は自分でしかなく、何歳になっても、今の自分がいいなと思えるように。自分を好きになってほしいな」と語っている。この言葉が示すように、『9ボーダー』は視聴者に自己肯定感を与える力を持った作品だったと言えるだろう。

世帯視聴率は8位(5.6%)とやや控えめだったが、高い注目度を考慮すると、録画やオンデマンド視聴など、リアルタイム以外での視聴も多かったと推測される。SNSでの反響も大きく、「最高の終わり方」「ハッピーエンドで最高」といった好意的な感想が多く見られた。

『9ボーダー』は、現代を生きる女性たちの葛藤と希望を巧みに描き、視聴者の心に深く刻まれた作品となった。高い注目度は、このドラマが多くの人々の共感を呼び、自己を見つめ直す機会を提供したことを示している。

2位と3位が“記憶喪失もの”作品に

木村拓哉主演の『Believe~君にかける橋~』(テレビ朝日系)と今田美桜主演の『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)の注目度ランキングは4位と6位でTOP3を逃したものの、視聴率で2位と3位に堂々のランクインを果たし、こちらも前評判を裏切らない結果を残した。

『Believe』は初回で注目度2位にランクインすると、最終回でも男性4位、女性2位を記録。特に女性視聴者からの支持が厚く、注目度67.1%は見逃せない数字だ。最終回では「#びりーぶ」がX(Twitter)でトレンド1位となり、視聴者の高い関心を示した。

一方、今期はキャストを一新し、今田美桜と山本耕史が新たに加わったことも話題となった人気シリーズ『花咲舞が黙ってない』は、最終回の注目度では6位とそれほど目立たなかったものの、世帯視聴率で3位と健闘。視聴質の面では、個人全体注目度64.0%を記録し、男性視聴者からの支持も高かったようだ。

  • 『花咲舞が黙ってない』今田美桜

両作品とも、ストーリーの展開や俳優の演技力が視聴者の注目を集め、高い注視につながったと考えられる。特に『Believe』の最終回での衝撃的な展開や、『花咲舞が黙ってない』での劇団ひとり演じる半沢直樹の登場はSNSでも大きな話題を呼び、4月クールドラマにおいてさすがの存在感を示した。

2024年4月クールのテレビドラマは、多様性と革新性が視聴者を魅了した。また今期のドラマ作品では「記憶喪失」をテーマにした作品が複数登場したことが印象に残った。これらは初回放送注目度ランキングでは上位にランクインしなかったが、最終回では2位と3位が「記憶喪失もの」のドラマに。放送が進むにつれて徐々に注目度を高めていったのも、興味深い結果となった。