シュワッとした飲みごこちで、のどの渇きを満たすだけでなく気分のリフレッシュにも役立つ「炭酸飲料」。様々な炭酸飲料を手掛けるアサヒ飲料は「炭酸」の可能性に関する「炭酸研究」に関する発表を6月26日に開催した。

  • 写真左より、アサヒ飲料株式会社 取締役兼執行役員 研究開発本部長 安部 寛氏、筑波大学 体育系 藤井 直人 助教、同 研究開発戦略部 研究企画グループ プロデューサー 橋本 秀紀氏

アサヒ飲料の「炭酸研究」とは?

アサヒ飲料は、「三ツ矢サイダー」「ウィルキンソン」といった100年以上の歴史を持つ炭酸飲料ブランドを手掛けている。「炭酸のリーディングカンパニーとして、商品・コミュニケーション活用・炭酸研究(特定された商品ではなく、一般的な強炭酸水に関する研究)で『炭酸』のおいしさや健康価値を提供し、ワクワクと笑顔を社会に届けています」とアサヒ飲料株式会社 取締役兼執行役員 研究開発本部長 安部 寛氏は語る。

  • アサヒ飲料株式会社 取締役兼執行役員 研究開発本部長 安部 寛氏

この「炭酸研究」では、炭酸の持つ力をひも解き、社会に役立つ様々な可能性を明らかにすることで、健康課題の解決やウェルビーイングの推進につなげていくことを目指すという。現在、炭酸の歴史や研究成果を伝えるアサヒ飲料のWebサイト「アサヒ炭酸ラボ」や、地方自治体との協業を通してその取り組みを広げている。

  • 「アサヒ炭酸ラボ」

炭酸水はどんなメリットがある?

では、炭酸水には実際にどのようなメリットがあるのだろうか。アサヒ飲料 研究開発戦略部 研究企画グループ プロデューサー 橋本秀紀氏は、アサヒ飲料の「炭酸研究」の研究成果として、集中力の向上、眠気の予防、意欲の低下抑制、eスポーツ時の判断力維持といった可能性が示唆されているという。

  • アサヒ飲料 研究開発戦略部 研究企画グループ プロデューサー 橋本秀紀氏

また、アサヒ飲料と「炭酸研究」を行う筑波大学 体育系 藤井直人助教からは、「暑熱下での炭酸水の効果」も発表された。暑熱下で炭酸水を摂取することで生理学的指標や気分・知覚がどのように変化するかのメカニズムは不明ではあるものの、暑熱下(37℃)、安静時の検証では、炭酸水を飲むと水を飲んだ時よりも脳血流量の指標や、口内及び全身の爽快感が一過性に上昇する反応が大きいという。また、眠気が減少したり、意欲が上がるというといったデータも出ている。

  • 筑波大学 体育系 藤井直人助教

そして暑い所で運動をした後の場面でも、運動後に血圧が低下した際、水よりも炭酸水を飲んだほうが血圧が元に戻り、脳血流量の指標も上がるという。暑い所で運動してベンチで休む際、脳血流量が下がってフラッとすることがあるが、炭酸水を摂取することで脳血流量指標の低下が緩和される検証結果も出ている。

地域・自治体との取り組みも

様々な炭酸水の可能性を探るアサヒ飲料では、この研究を起点とした地方自治体と連携し、「炭酸スッキリ生活プロジェクト」を行っている。新潟県・別府市・札幌市と協業しているこの取り組みでは、強炭酸水を日常生活に取り入れることで、地域や自治体の健康課題を改善し、住民の健康増進に寄与することを目指していく。

別府市では、暑熱下での強炭酸水の摂取が立ちくらみや失神を防ぐ可能性があることから、温泉入浴後の強炭酸水飲用の効果検証を行っている。日本一の湧出量を誇る別府市と、健康増進を目的とした包括連携協定を締結、別府市民および観光客の健康増進と、地域社会の発展を目指しているという。

また新潟県では、強炭酸水の飲用を通して食生活や気持ちのもたらす体調の変化を調査。467人の会社員を対象とした調査では、強炭酸水500mlを1日1本摂取したことで、食事の量が減ったり、間食、夜食、お酒の量や頻度が減った、という声が寄せられ、68%の方から「食生活の変化を実感した」という結果が出たそうだ。

無糖炭酸水の市場は健康ニーズの高まりや直接飲用率の向上により、伸長しているという。「我々アサヒ飲料は、いつでも、どんなシーンでも、炭酸水が生活の中に浸透した社会で人々のココロとカラダの健康への貢献を目指します。引き続き炭酸研究を通じて、社会に情報発信をし、世の中に貢献していきたいと思います」と橋本氏は締めくくった。