『BLEACH』(以下、ブリーチと表記)は霊感が強い主人公の黒崎一護が死神代行となり、死神たちや虚(ホロウ)と呼ばれる悪霊と関わっていく剣劇バトル作品です。原作者・久保帯人氏のカット割りや言葉選び、ワードセンスがとにかく秀逸で、多くのマンガ好きの間で「オサレ漫画」としても支持されています。

一般的に「オサレ」は、皮肉的なニュアンスで使用されますが『ブリーチ』において「オサレ」はもはや褒め言葉。そして作中にはオサレな名言も数多く登場しています。中でも「名言製造機」との呼び声が高いのが、護廷十三隊五番隊隊長の藍染惣右介です。

そこで今回は、マイナビニュース会員の男女306名を対象に藍染惣右介の名言についてアンケートを実施。特に印象に残った名言・名セリフをランキング形式で紹介します。

藍染惣右介の名言ランキング

マイナビニュース会員に藍染惣右介の名言・名セリフについてアンケートを実施したところ、ランキングは以下のようになりました。

1位「あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」(12.6%)
2位「本当に恐ろしいのは目に見えぬ裏切りですよ」(11.5%)
3位「人はただ生きるだけでも歩み続けるが それは恐怖を退けて歩み続ける事とはまるで違う だから人はその歩みに特別な名前をつけるのだ 『勇気』と」(9.3%)
4位「憧れは理解から最も遠い感情だよ」(8.2%)
5位「理とは理に縋らねば生きて行けぬ者の為にあるのだ」(7.1%)
6位「勝者とは常に世界がどういうものかでは無くどう在るべきかについて語らなければならない!!!」(4.9%)
6位「世界の大半を占める力無きものにとって自らを肯定するに不都合な事実こそが悉く真実なのだ」(4.9%)
8位「人は皆、猿のまがいもの 神は皆、人のまがいもの」(4.4%)
8位「騙したつもりはないさ ただ君達が誰一人理解していなかっただけだ 僕の本当の姿をね」(4.4%)
8位「素晴らしい よく成長したものだ 私の思い通りに」(4.4%)
11位「進化には恐怖が必要だ 今のままではすぐにでも滅び消え失せてしまうという恐怖が」(3.3%)
11位「敵戦力の分散は戦術の初歩だろう?」(3.3%)
13位「潰さないように蟻を踏むのは力の加減が難しいんだ」(2.7%)
14位「生きものというのは不思議でね その矮小な心で願う程度の事は実現できるようにできている」(2.2%)
14位「全ての生物は自分より優れた何者かを信じ盲従しなければ生きてはいけないのだ」(2.2%)

『BLEACH』藍染惣右介の名ゼリフ一覧

ここからはランクインした名言や名セリフを詳しく説明していきます。

「あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」

日番谷冬獅郎に向けて放った挑発的なこの名言は、藍染を象徴する名言であると同時に作品を代表する名セリフとも言えるでしょう。「弱い犬ほどよく吠える」を、ブリーチ節全開で表現したオサレすぎるこの言葉は、多くのファンの心に強く残ったはず。

藍染が日番谷を圧倒する実力者だったことも相まって、煽りセリフとしてのインパクトも強く、一度見聞きしたら忘れられない名言となっています。

このセリフを選んだ理由

・「現実世界でもありえる言葉で、何度もこの言葉を使いたくなる場面がある」(51歳男性)
・「相手の心に刺さる、説得力のある名言」(47歳男性)
・「子どもは『僕の方があれも強い、これも強い』と言い張るものです。大言壮語する子どもに諭しているようで、余裕を感じます」(62歳女性)
・「圧倒的感がすごかったから」(33歳男性)

「本当に恐ろしいのは目に見えぬ裏切りですよ」

まだ副隊長だった藍染が、当時の上官である隊長の平子真子に対して発した言葉です。鋭い観察眼を持つ平子をも欺き、裏切り行為を働いていた張本人が言うからこそ、よりゾッとする名言となっています。

秘密裏に進められた裏切りが表面化する頃には、手遅れで取り返しのつかない状態になっていることがほとんどです。現実社会でも通用する核心を突く名セリフに、ハッとした方も多いでしょう。

このセリフを選んだ理由

・「自分が働いていたときに思っていたことだから、言い得ている」(52歳女性)
・「裏切りを多々体験してきた者としては、心に響くフレーズです」(54歳男性)
・「自分の生活の周りでそういったエピソードがあった」(21歳男性)
・「目の前ではいい顔をして、裏で裏切られていたのを知ったときほど怖いことはない」(59歳女性)

「人はただ生きるだけでも歩み続けるが それは恐怖を退けて歩み続ける事とはまるで違う だから人はその歩みに特別な名前をつけるのだ 『勇気』と」

死の恐怖から解放された世界を目指すユーハバッハに対して発した名言です。ユーハバッハが思い描く平和な世界では、人間は成長できないと主張する藍染。

可能であれば、嫌なことも怖いこともない、穏やかな世界で暮らしたいものですが、それでは人間的な成長は見込めません。恐怖に立ち向かい、前に進むことは人間の本質であり、その行動を「勇気」と呼ぶのでしょう。怯えながらも勇気を持って戦い続けた黒崎一護の姿と重なり、作品のテーマを言い表しているようにも感じます。

このセリフを選んだ理由

・「藍染を深堀りしていくとこの言葉の重さがよくわかる」(32歳男性)
・「藍染惣右介の言葉の中では一番共感した名言です。人生は本当にその通りだと思います」(62歳男性)
・「私の琴線に触れる名言だから」(49歳男性)

「憧れは理解から最も遠い感情だよ」

部下の雛森桃が自身に憧れを抱いていたことを知りながらも、迷いなく彼女を刺した藍染。冷酷非道な行動に怒りを顕わにする日番谷でしたが、藍染は平然とこう答えたのでした。

憧れを抱くと、先入観が働き相手の欠点が目に入らなくなることがあります。人は、自分にないものを持っている人や、自分よりも優れている人に憧れを抱きますが、これは一種の劣等感です。「自分とは違う」と憧憬するだけでなく、本来の姿に目を向けられる観察眼も持ちましょう。

このセリフを選んだ理由

・「衝撃的なシーンでのセリフなので、特に印象に残っています」(30歳男性)
・「現実世界の人間関係にもそのまま当てはまるセリフだと思ったから」(32歳男性)
・「いいところばかり見て、悪いところを見ないのはダメという深い意味のある言葉だからです」(49歳女性)

「理とは理に縋らねば生きて行けぬ者の為にあるのだ」

侵入者の排除を目的とする拘突(こうとつ)と遭遇し、回避しようとする市丸ギンに対して発した言葉です。そもそも拘突は理(ことわり)側の存在で、霊圧でどうにかできるものではありません。しかし、崩玉を取り込んだ藍染は簡単に破壊するのでした。

理とは本来、守るべき道理で社会の基本的なルールともとらえられますが、藍染は理に依存しなければ生きられない者のためにあると主張します。藍染が別次元の存在へと変化していく様子が如実に表れている名言です。

このセリフを選んだ理由

・「愛染らしいシニカルさがあります」(69歳男性)
・「非常に意味深で奥の深い言葉です」(58歳男性)
・「深すぎて興味深いから」(38歳女性)

「勝者とは常に世界がどういうものかでは無くどう在るべきかについて語らなければならない!!!!」

敵対する蒲原喜助に対して放った名セリフです。自身が信じる「在るべき世界」のために戦う藍染ですが、当然「容易く崩れる世界」を守ろうとする者たちも大勢います。

両者とも絶対に曲げられない正義と力がある以上、戦うことでしか解決できない彼らの世界では、勝者が支持する正義こそが正解となります。つかみどころのない態度を貫いていた藍染が、珍しく声を荒らげる姿に彼の真剣みが強調された、哲学的な名言となりました。

このセリフを選んだ理由

・「生きざまとしてとてもカッコいい。自分もそんなセリフを言ってみたいと思ったから」(55歳男性)
・「深い意味はよくわからないが、なにか哲学めいたいかにも『名言』という感じがする言葉だと思う」(61歳男性)

「世界の大半を占める力無きものにとって自らを肯定するに不都合な事実こそが悉く真実なのだ」

藍染の計画に動揺する黒崎に対して発した言葉です。藍染は、黒崎がひるんでしまうほどの長期的な暗躍の事実と、両者の間には大きな力の差がある現実を叩きつけています。

社会に出れば受け入れがたいことも、理不尽なことも山ほどありますが、覆せない場合がほとんどです。そんな厳しい現実を哲学めいた言い回しで伝える藍染。不都合な事柄に直面しても打ちひしがれず、対処法を模索しようと思わされる名言です。

このセリフを選んだ理由

・「物事の本質に迫る言葉で奥が深い」(51歳男性)
・「私もそのように思うことがあるから」(52歳男性)

「人は皆、猿のまがいもの 神は皆、人のまがいもの」

神など信じない自信家な藍染の心情が込められたポエムです。人は、思わず神にもすがりたくなるようなときがありますが、藍染には無縁の行動と言えるでしょう。

神を「心の弱い人間が生み出した偶像」としてとらえ、自ら道を切り拓いていこうとする藍染らしさが詰まっています。日常では使えない強気な言葉ですが、自身の強さに絶対的な確信を持っている藍染だからこそ言える名言です。

このセリフを選んだ理由

・「イメージにピッタリだと思いました」(51歳男性)

「騙したつもりはないさ ただ君達が誰一人理解していなかっただけだ 僕の本当の姿をね」

藍染の裏切りを前に「騙していたのか」と尋ねる日番谷に対して発した言葉です。黒幕やヒール役が本性を明かすシーンは、作中でも特に注目を集める重要な場面と言えます。

藍染は全く罪悪感を抱いていないうえに、人の本質を見抜こうとしなかった方が悪いとでも言わんばかりの態度でした。これまでの温和な藍染との差に、釘付けになった方も多いのではないでしょうか。謀反人らしい印象的な名言です。

このセリフを選んだ理由

・「いかにも悪役の言いそうなセリフだから」(56歳男性)

「素晴らしい よく成長したものだ 私の思い通りに」

黒崎の成長を実際に体感した際のセリフです。黒崎のこれまでの戦いは、すべて藍染により仕組まれていたことでした。あまりにも長期間にわたり、水面下で自分の人生に藍染が関わっていたことを知った黒崎は言葉を失います。

実際にこんなことを言われたら、背筋が凍るほどの恐怖を感じるでしょう。本性を隠しながら長年暗躍を続けていた計画性の高さや、仲間を欺きながら数々の策略を巡らせてきた優れた思考力など、藍染の黒幕としての適性が伝わるワンシーンです。

このセリフを選んだ理由

・「かっこいいセリフだと思うから」(35歳女性)

藍染惣右介とは

護廷十三隊五番隊隊長として登場した藍染惣右介は、穏やかで人当たりがよく、大勢の仲間たちから慕われる人物でした。しかし、本当は冷酷で残忍な思考を持つ裏切り者であることが判明。

自分以外のすべてを捨て駒として躊躇なく切り捨てられる非情な野心家で、隊長だった期間から自身に都合のよい部下を集めています。戦闘能力は隊長格の死神たちを圧倒しており、完全催眠能力を有する斬魄刀(ざんぱくとう)「鏡花水月」を使用するため非常に厄介。

藍染の目的は崩玉を手に入れ、尸魂界(ソウルソサエティ)の王・霊王を倒すこと。しかし、その詳しい理由や明確な真意が藍染の口から語られることはありませんでした。

黒崎たちと敵対するようになってからも、高いカリスマ性で人気を集め続けたキーパーソンです。

アニメ・漫画『ブリーチ』とは

原作漫画『ブリーチ』は、2001年~2016年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載され、単行本累計発行部数が1億3,000万部を突破する人気作です。2004年にはTVアニメ化、2018年には実写映画化もされており、2024年には最終章となる『BLEACH千年血戦篇-相剋譚-』の放送が決定しています。

死神の世界である尸魂界や、護廷十三隊といった死神が所属する組織、特殊な能力を持つ刀・斬魄刀など、独創的で作り込まれた世界観が同作の魅力です。また、死神に加えて滅却師(クインシー)や破面(アランカル)と呼ばれる集団も、作品を盛り上げています。

「名言製造機」こと藍染惣右介の名言・名セリフを紹介しました

「あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」や「憧れは理解から最も遠い感情だよ」をはじめとする藍染惣右介の名言は、原作完結から何年経っても色あせません。強者としての貫禄やカリスマ性で、冷酷な裏切り者でありながらも多くのファンを魅了したことでしょう。

最終章となるTVアニメ『BLEACH千年血戦篇-相剋譚-』の放送を機に、もう一度コミックスやアニメを振り返りオサレな名言に触れてみてはいかがでしょうか。

調査時期: 2024年5月24日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女合計306人(男性:233人、女性:73人)
調査方法: インターネットログイン式アンケート

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