ハロー! プロジェクトのアイドルグループ・℃-ute解散後、ソロアーティストとして活動を始めた鈴木愛理。テレビ朝日のYouTubeチャンネル『動画、はじめてみました』の番組『オーイシマサヨシ×鈴木愛理のアニソン神曲カバーでしょdeショー!!』(以下『アニソンでしょでしょ』)ではアニメソングのカバーに挑戦するたびその歌唱力と表現力が大きな話題となり、昨年は主演を務めたテレビ東京系ドラマ『推しが上司になりまして』で自ら主題歌も担当、新たな代表曲となる「最強の推し!」をリリースした。現在は、音楽番組やバラエティ番組のMCを務め、ABCテレビ・テレビ朝日系ドラマ『ミス・ターゲット』(毎週日曜22:00~)に、主人公・すみれ(松本まりか)を慕う結婚詐欺師見習いの萌役として出演中だ。

そんな鈴木は、今年の4月に30歳を迎えた。『アニソンでしょでしょ』現場ではサプライズの祝福に涙を見せたが、その理由とは。“最強の三十路”への意気込み、そして父譲りだという“もっともっと病”についても話を聞いた。

  • 鈴木愛理

    鈴木愛理 撮影:宮田浩史

涙の裏に…楽曲カバーの難しさ

――今年の鈴木さんの誕生日には、『アニソンでしょでしょ』の現場でサプライズで祝福され、涙する映像が配信されました。「頑張ってきてよかった」とおっしゃっていましたが、あのときの心境を教えてください。

なんでしょうね、あのときは心がもろくなっていたんです。私は「ポジティブの伝道師」と名乗っているのですが、もともと「私なんて」という思いが強くて、不安でいっぱいのネガティブな部分を、大人になっていく過程で明るく変換する能力が身についただけ。今でも、「これでよかったのかな」、「まわりからどう思われてるんだろう」という不安な気持ちは自分の奥にずっとあって、何とか打破しながらこの世界にいる状態で。特に、アニソンをカバーする『アニソンでしょでしょ』は、曲に対して、アニメに対して、歌唱されている方に対してのリスペクトを大切にしながら、一発撮りという緊張感の中で収録するので、何日も前から気合いを入れて準備しないと臨めない現場なんです。

  • 鈴木愛理

  • 鈴木愛理

あの日は目の前にご本人もいらっしゃったので、いつも以上に、「大丈夫かな」という心配が大きくて、誕生日が近いことなんて全く頭にありませんでした。だから、突然これまでのパフォーマンスをまとめた映像が流れ始めたときは「あれ? もしかして私、卒業するのかな? これで最後?」と不安が募って(笑)。でも誕生日のお祝いだと分かって、改めてこれまでの歩みを振り返ると、「挑戦してきてよかったな」という気持ちがこみあげてきました。たくさんのチャンスをくれるチームが、私の誕生日のために映像まで作ってくれて、家族並みの膨大な愛をくれて、すごくうれしくて。張り詰めていた糸がプツッと切られたように涙があふれたんだと思います。

――カバーを披露するというのは、やはりプレッシャーが大きいんですね。

歌をカバーすること、カバーするにあたっての思い、いろいろな難しさを感じます。どれだけ体調が悪くても、そこで出たパフォーマンスがすべてになりますし、発した言葉が私のすべてだと受け取られてしまうこともありますし。そういう環境の中で生きていくことって、自分が思っている以上に気が張り詰めているのかもしれないなって、大人になってから感じるようになってしまいました。いつもは、表では「頑張ってきてよかったな」なんてあまり言わないのですが、あのときはカメラを忘れて言っちゃったんですよね。それぐらい、『アニソンでしょでしょ』は家族のような空気感の現場で、心の支えになっているのでありがたいです。

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チャレンジ続ける“最強の三十路”へ

――SNSでは、誕生日当日に「最強の三十路目指して生きるぞ!」と宣言されていました。鈴木さんがイメージする“最強の三十路”とは。

私の親友の岡崎紗絵と松元絵里花が、グループLINEで「最強の三十路になれよ!」とメッセージをくれて、「最強の三十路って何なんだろう!?」と思いながらも、ずっと心にその言葉を留めています。実際に三十代になると、まだまだ新しくチャレンジできるし、今始めても遅くないことがいっぱいあるなと感じているので、またここをスタートラインだと思って、どんどん上に前に進んでいきたいです。自分の中に、まだ自分も知らない“輝けるもの”がもしあるなら、それを無駄にせず発信できる三十代にしたいと思っています。

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貪欲な生き方は一生変わらない

――今の言葉に加えて、過去にインタビューさせていただいたときも、限界を決めずに成長し続けたいとおっしゃっていた鈴木さんなので、『ミス・ターゲット』劇中で、「もっともっと、とさらなる幸せを求める“もっともっと病”なんじゃないか」と言われているすみれには、共感できるのでは。

「私のことだ」ってぐさっと来ました! まさしく“もっともっと病”です。でも、今の私もちゃんと幸せなんですよね。現状に満足したくないというポジティブなもっともっと病というか。「生き急いでる」とか、「今ある幸せに気付いていないんじゃないか」と思われるかもしれませんが、日々ささやかな幸せを噛みしめたうえで、“もっともっと”と求めている、欲張りなんですよね。たとえば、結婚して子どもが生まれるという幸せに恵まれたとしても、「どうしたらこの子に、もっと楽しい生活を送らせてあげられるだろう」と、“もっともっと病”が出てくると思うので、この貪欲な生き方は一生変わらない気がします。

  • 鈴木愛理

    ドラマ『ミス・ターゲット』より (C)ABCテレビ

――どんな幸せでも、さらに上を目指し続けるのが鈴木さんなんですね。

父を見てると、そう思うんです。「俺も頑張ってるんだけどさ、でもさ、もっとできると思うんだよね」ってよく言ってるんですよ。私、この人の血を受け継いでいるんだなと年を取れば取るほど実感しています(笑)。

――“もっともっと病”はお父さん譲りだったんですね(笑)。では最後に、『ミス・ターゲット』これからの萌の見どころを教えてください。

萌ちゃん=すみれさんを慕っているかわいい後輩という印象だと思うのですが、そんな萌ちゃんにも「え? ちょっと待って?」という展開があるので、楽しみにしていただけたらうれしいです。演じていても苦しくて、とても詐欺どころじゃないんです! 萌ちゃんも萌ちゃんなりに、本当の愛を探しているというストーリーにご注目ください。

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■鈴木愛理
2002年6月、8歳で「ハロー! プロジェクト・キッズ オーディション」に合格。2005年6月に℃-uteを結成し、2017年まで活動。あぁ! 、Buono! としても活動した。2017年12月より、ソロ活動をスタート。女性ファッション雑誌『Ray』の専属モデルや、『オーイシマサヨシ×鈴木愛理のアニソン神曲カバーでしょdeショー!!』、『クラシックTV』、『お願い! ランキング presents そだてれび「あざとくて何が悪いの?」』のMCも務めている。昨今のドラマ主演作に、『ANIMALS‐アニマルズ‐』、『推しが上司になりまして』、『ある日、下北沢で』がある。