近畿日本鉄道は31日未明、新型一般車両8A系の搬出作業を報道公開した。当日は近畿車輛工場から近鉄高安車庫へ、2両をトレーラー搬送した。
8A系は老朽化した一般車両を置き換えるために登場する新型一般車両。10月から運行開始し、2024年度は4両編成を12本、計48両導入される。運行線区は奈良線、京都線、橿原線、天理線の予定。2025年度以降、大阪線、名古屋線、南大阪線でも新型一般車両の投入を予定している。
外観に関して、車両形状は近畿車輛、カラーリングはGKインダストリアルデザインが担当。2000(平成12)年に登場した一般車両「シリーズ21」と大きく異なり、近鉄らしい赤色と白色のツートンカラーを採用した。
内装関係のデザインは、「WEST EXPRESS 銀河」「えちごトキめきリゾート 雪月花」などに関わったイチバンセンの川西康之氏が手がけた。利用状況に応じてロングシート・クロスシートに切替え可能な「L/Cシート」を設置し、1両の中でロングシートとクロスシートが混在したレイアウトにも対応するという。近鉄初の試みとして、ベビーカー・大型荷物対応スペース「やさしば」を1両あたり2カ所設置。ベビーカーや大型荷物を持つ利用者が気兼ねなく座れるスペースとなる。
搬出作業が行われた当日、午前2時すぎに近畿車輛工場から高安車庫に向けて、8A系の中間車1両・先頭車1両がトレーラーで搬送された。深夜であったが、ツートンカラーの赤色がよく目立つ。同じツートンカラーであっても、近鉄の既存車両とは異なる塗り分けのため、デザインに新鮮味が感じられる。丸型の新型車両が多い中、前面が角ばっている点も印象的だった。
先頭車には「8A101」と記されている。他に細かな点を挙げると、8A系はケーブルカーを除いて近鉄初という扉開閉スイッチを導入しており、撮影時にドア横の扉スイッチを確認できた。
新型一般車両8A系は、高安車庫に到着した後、検査等の作業工程仕上げに入る予定。今後も2両ずつ搬送し、近鉄の車庫内で4両1編成を組むとのこと。