住宅を購入する際、住宅ローンを借りる方が多いと思います。家の価格は一般的に数千万円にもなることが多く、人生のなかで最も大きな買い物といえます。住宅ローンを組む際に「変動金利」と「固定金利」の2種類がありますが、どちらを選択したら良いか疑問に思う方もいるでしょう。金利によっては、総返済額も大きく変わってくるため、それぞれの特徴をよく理解して決めたいですよね。今回は、住宅ローンの「変動金利」と「固定金利」について、それぞれの特徴と注意点などを解説していきます。
住宅ローンの金利には変動金利と固定金利がある
住宅ローンの金利には「変動金利」と「固定金利」の2種類があります。
金利のタイプにはそれぞれ特徴があり、住宅購入者の今後のライフプランや家計の状況を考えて選択することが大切です。
変動金利とは
「変動金利」とは文字通り、市場の金利変動に応じて返済額が変わるという特徴があります。一般的に、半年ごとに金利が見直され、「短期プライムレート」と呼ばれる市場の基準金利に基づいて算定されます。
また、金利が固定金利に比べると低く設定されているため、現在低金利が続いている中では多くの方に選択されています。
ただし、市場金利が上がると、その分返済額も増えるため注意が必要です。契約時点では金利が低くても、将来の適用金利が不明確なため、総返済額が上がってしまうという可能性も考えられます。
毎月の返済額が想定よりも高くなってしまった場合には、家計を圧迫してしまい計画していたライフプランの実現が困難になるというケースも考えられます。こうした市場金利の変動の影響を受けやすい変動金利ですが、金利が急激に上昇した場合でも5年間は返済額が据置きされ、増額される場合でも1.25倍までとする「激変緩和措置」を行っている金融機関もあります。
また、金融機関によっては「固定金利期間選択型」という選択肢が設けられており、借入時の金利から一定期間は金利が固定されるという特徴があります。
金融機関にもよりますが、3年、5年、7年、10年、15年など複数の固定金利期間が選択できます。変動金利を選んだ場合でも、一定期間は金利が決まっているので、家計の支出状況を把握しやすくなるメリットがあります。
選択した固定金利期間が終了した後は、一般的には変動金利になりますが、期間の終了後に市場金利が上昇している場合には、総返済額が大きく増える可能性もあります。
金利の動向をよく把握できる方や、家計に余裕があり、金利が低いタイミングで繰上げ返済が可能な方には向いているといえるでしょう。
固定金利とは
「固定金利」とは、借入当初の金利が返済終了まで固定されるという特徴があります。
一般的には、変動金利よりも金利が高く設定されていますが、返済期間中に市場金利が上がったとしても、住宅ローンの金利は変わらず毎月の返済額も変わりません。
そのため、市場金利に左右されず、毎月の支出状況の把握がしやすいため返済計画が立てやすいというメリットが挙げられます。
市場金利が上がった場合には固定金利のメリットを受けやすいですが、逆に市場金利が下がった場合には、不利になってしまいます。
なお、固定金利を選択し、返済期間中に市場金利が大きく下落した場合には、他の金融機関に「借り換え」を行うことで、返済額を軽減できる場合もあります。子育て世代のように、長期にわたって子育て費や教育費など大きな費用がかかることがわかっている場合や、返済額を金利に左右されたくないと考えている方にとっては固定金利は向いているといえるでしょう。
基準金利は銀行によって違う
住宅ローンを組む際に、基準金利が各金融機関によって異なることもしっかり理解しておきましょう。現在は大手の都市銀行や地方銀行、ネット銀行、住宅ローンに特化した金融機関が存在したりと選択肢は多くあります。
各銀行の金利は、店頭に表示されている(表面金利)場合が多いですが、書かれている金利だけを見て銀行を選ぶことはおすすめできません。なぜなら金利とは別に「保証料」や「事務手数料」などがかかることもあり、一概に金利だけで比較することは難しいからです。
最近では、「変動金利」の住宅ローンはネット銀行の人気が高く、仮審査の結果も早いなどという特徴があります。その他にも各金融機関によって独自の特典がついていたり、ルールがあったりするので、安易に選ばずしっかりと比較検討する必要があります。
ゼロ金利政策が終わり金利は上がる可能性がある
2024年に日銀はゼロ金利政策を解除し、金利を引き上げることを発表しており、住宅ローンの金利にも影響が出ることが考えられます。金融機関が長期金利の水準などを参考に決める固定型の金利では、長期金利の上昇傾向を受けてすでに引き上げの動きが見られています。
まとめ
住宅ローンの金利は長らく低金利が続いていましたが、今後は上昇する可能性もあります。各ローンの特徴を抑えて、自身のライフプランに最適なローン選びが大切になります。 自分でどの金利のタイプを選べばいいのか分からない、不安があるという方はプロにライフプランから、収支状況を相談してみるのも有効です。
小峰一真(こみねかずま)
所属:マイホームFP株式会社