目に不調がある時、手軽に使えて便利な「目薬」。疲れ目やドライアイ(目のかわき)などの症状で、日常的に目薬を使っている人もいるでしょう。そんな身近な存在の目薬ですが、「正しい使い方」を改めて聞かれると自信がない…という人は多いはず。

そこで今回は、千寿製薬 マイティアプロモーション担当 久富千容さんにお話をうかがい、目薬の正しい使い方や保管方法、NGな使い方などを詳しく教えていただきました。

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■目薬の充分な効果を得るには「用法・用量」を守ることが大切

━━目薬の使用量は1回あたり何滴くらい、また、1日あたり何回くらいが適量なのでしょうか。

1回あたりや1日あたりの使用量は、各目薬によってそれぞれ違います。パッケージの側面や添付文書の「用法・用量」のところに「1回何滴・1日何回」と書いてありますので、その範囲内の滴数で点眼してください。

配合されている成分の効果を安全かつ充分に発揮させるためには、決められた用法・用量を守ってお使いいただくことが大切です。過剰に点眼してしまうと目に悪影響が及ぶこともあるため、差し過ぎには注意してください。

━━目薬の差し方の手順を教えてください。

まずは手を洗い、清潔な状態にします。そのまま点眼してもいいですが、うまく目に入らない人は、点眼する方の目の下まぶたを軽く下に引いて点眼します。この時、目薬を真上に持ってきて、目薬の先を見ながら点眼していただくと、薬液が目に入る確率が上がりますよ。

もしくは、利き手と反対の手でげんこつを作って点眼する目の下に置き、そのまま人差し指で下まぶたを下に軽く引きながら点眼する「げんこつ法」もあります。点眼する手はげんこつの上に乗せますので、手が震えずうまく目薬が差せます。

━━目薬は、目のどのあたりに差すのがいいですか。

その人が差しやすくてきちんと目薬が目の中に入るなら、どこに差しても問題ありませんが、下まぶたを狙って点眼するとうまく入ります。

ただ、うまく差せないからといって、目尻に当てて点眼するのは控えてください。顔についている雑菌や、メイクの汚れなどが目薬のノズルに付着してしまうので不衛生です。目薬は押して点眼しますが、それを離した時にノズルから汚れを吸い込んでしまい、薬液を汚染してしまう可能性があるんです。

━━目薬を差した後、目からあふれた薬液をティッシュ等で拭き取ったり、目をパチパチとまばたきするのは問題ないですか。

薬液をそのまま放っておくとかぶれや色素沈着が起こることがありますので、目からあふれた目薬は、ティッシュ等でこすらず優しく拭き取ってください。

目をパチパチするのは、目の中に入った薬液を鼻の方に押し出して流してしまうので、あまり良くありません。目薬を差した後は静かに目を閉じ、薬液が鼻の方に流れないよう、目頭(鼻の付け根)を軽く押さえていただくと効果的です。

なお、点眼後に「薬液が喉に流れてきて変な味がする」と感じることがあるかもしれませんが、それは成分由来の味なので問題はありません。

━━1日の中で数回目薬を差す時、どのタイミングで差すのがいいのでしょうか。

基本的には症状を感じた時に点眼していただくのが良いですが、使用する目薬の用法・用量をご確認の上、その範囲内で点眼するようにしてください。

━━2種類以上の目薬を使う場合、何分ほどおくのが適切ですか。

弊社では、5分以上はおいてくださいとお伝えしています。1つめの目薬を差した後にすぐ違う目薬を差すと、各々の目薬の効果を十分に得られなくなる可能性があるためです。

ただ、5分おけばどんな目薬でも2種類使っていいわけではなく、同じような成分が入っている目薬を2種類使ってしまうと、その有効成分を過剰に摂取してしまいます。 2種類差したい場合、お医者さんから許可が出ていれば問題ないですが、ドラッグストアで買うなら、薬剤師さんや登録販売者さんに相談するのがいいですね。

━━コンタクトレンズ用の目薬は、それ以外の目薬とどのような違いがありますか。コンタクトを着用していないのに、コンタクト用の目薬を差すのは良くないのでしょうか。

裸眼やメガネを使用されている方がコンタクト用の目薬を使っても問題ありません。ただし、アレルギー用の目薬など、「どのタイプのコンタクトにも使えない目薬」も中にはありますので注意が必要です。目薬の商品パッケージには、コンタクトに使えるかどうか記載がありますので、しっかり確認してください。

━━子どもでも目の不調が起こることはあると思いますが、目薬は何歳から使用できますか。

商品のパッケージや添付文書に年齢制限の記載があれば、それに従ってください。年齢制限がない場合、「目がかゆい」といった症状の意思表示ができる年齢になってからご使用いただくことをおすすめします。洗い流すタイプの目薬を使いたい場合は、眼科の先生に相談して指示に従うのが安心でしょう。

目薬には、差し心地がマイルドなものもあれば、清涼感の強いクールタイプのものもありますが、お子さんの場合、清涼感が刺激に感じることがありますので、なるべく清涼感のないものを選んでいただくといいですね。

お子さんに目薬を差す時は、寝転がらせて大人の膝の上に頭を乗せ、お子さんの目をしっかり開いて点眼してあげるといいでしょう。

■目薬の保管場所、使用期限にも気を付けたい

━━目薬は、どのような場所に保管すればいいですか。

まず、目薬はきちんと密栓してください。そのうえで、直射日光の当たらない日陰や高温にならない場所であれば、基本的にはどこで保管しても問題ありません。冷蔵庫で保管いただくことも問題はありませんが、薬液が固まらない程度に注意してください。冷凍庫はNGです。また、高温になりがちですので、誰も乗っていない車の中や暖房器具の近くに置くのも避けましょう。

あと、意外と気を付けたいのが、「救急箱の中」です。湿布薬などの臭いの強いものと一緒に保管すると、湿布薬などの芳香成分が吸着するおそれがあるので、救急箱で保管する場合は購入時の箱や携帯袋の中に入れて保管してください。

━━目薬に使用期限はあるのでしょうか。

大体どの商品もパッケージに使用期限が書かれています。ただ、この使用期限は「開封前の期限」なんです。開封後は、大体3ヶ月を目安に使っていただきたいです。

あと、キャップに開封日をマジックで書く方もいらっしゃいますが、インクの成分をキャップが吸収してしまい、薬液に影響を与えることがありますので、この点にも気を付けましょう。

━━目薬を使用するたびに容器の先端を拭き取るのは問題ないですか。

清潔な状態を保てますので、ぜひティッシュ等で拭き取ってください。薬液が残ったままキャップをしてしまうと、薬液が蒸発して成分だけが結晶になって残ってしまうこともあります。ただ、容器の先端を拭く時は、先端を外に引っ張るようにして、中に薬液やティッシュが入らないように拭いてください。