近畿日本鉄道は、「観光列車『つどい』サイクルトレイン -KettA-」の大阪便が運行開始することを記念し、メディア向け試乗会を5月14日に実施した。同列車は5月25・26日と6月8・9日の4日間、大阪上本町~賢島間で運行を予定している。

  • 「観光列車『つどい』サイクルトレイン -KettA-」のメディア向け試乗会を実施。「つどい」は今年、2度目の外装リニューアルが行われた

近鉄はサイクルトレインに力を入れている。始まりは2022年4月に田原本線と山田線・鳥羽線・志摩線(松阪~賢島間)で行われた実証実験。2023年から「観光列車『つどい』サイクルトレイン -KettA-」として、近鉄名古屋~賢島間で運行を開始した。サイクリングに適した春・秋を中心に運行するとしており、昨年の名古屋便に加え、今年から大阪便も運行されることとなった。

同列車で持ち込める自転車はロードバイク、クロスバイク、マウンテンバイク。シティサイクルは持ち込めない。乗車の際、普通乗車券の他に「サイクルトレイン -KettA- 利用券」(KettA券)が必要で、料金は大人1000円・こども500円。主要駅の特急券発売窓口で購入できる。

「観光列車『つどい』サイクルトレイン -KettA-」の大阪便は5月25・26日と6月8・9日、往路は大阪上本町駅6時25分発、復路は賢島駅16時21分発で運行。大阪上本町~賢島間で途中の伊賀神戸駅、五十鈴川駅、鳥羽駅、志摩磯部駅、鵜方駅に停車する。往路の大阪上本町駅は乗車のみ可能、伊賀神戸駅は乗車・降車ともに可能、五十鈴川~賢島間の停車駅は降車のみ可能。復路は賢島駅から五十鈴川駅までの停車駅で乗車のみ可能、伊賀神戸駅は乗車・降車ともに可能、大阪上本町駅は降車のみ可能とされている。

  • 「KettA」のヘッドマークを掲出

  • サイクリストたちが次々と自転車を次々と持ち込む

大阪便の運行開始に先立ち、行われたメディア向け試乗会では、実際にサイクリング向けの自転車を載せ、大阪上本町駅から大和八木駅まで往復した。観光列車「つどい」の2号車「イベントスペース」に自転車を固定するサイクルラックを設置。サイクルラックは近鉄が市販品を改良したもので、車両の揺れでも動かないようになっているという。

試乗会の列車は14時20分頃、大阪上本町駅を発車した。サイクルトレインの大阪便を運行するねらいについて、近鉄の担当者に聞くと、名古屋から伊勢志摩エリアはサイクリング可能な距離であり、平地が大半を占めることから自転車で走破するサイクリストも少なくないが、大阪から伊勢志摩エリアは距離の長さに加え、山越えの必要もあり、自転車での移動が難しいため、大阪便を利用するサイクリストは多いのではないかと読んでいるという。

大阪便では、大阪上本町駅と伊勢志摩エリアの駅に加え、伊勢志摩エリアではない伊賀神戸駅にも停車する。伊賀神戸駅のある伊賀市から名張市にかけて、全長約91kmのサイクリングコースがあることから、同駅への停車が決まったとのこと。

  • 2号車「フリースペース」にサイクルラックを設置

  • バーカウンターは営業せず、サイクリング関連のパンフレットが置かれる

  • 2号車に「KettA文庫」を設置。自転車雑誌や自転車を題材にしたコミックが並ぶ

  • 1号車は窓向き座席と「風のあそびば」で構成される

  • 1号車の乗務員室寄りにソファスペース「風のあそびば」がある

  • 3号車は窓向き座席がずらりと並ぶ

使用車両の「つどい」は2013年に登場した観光列車。今年、2度目の外装リニューアルが行われ、メインカラーにイエローグリーンを採用したポップなデザインに生まれ変わった。「つどい」の2号車は通常、バーカウンターの営業を行っているが、サイクルトレインの運行時は営業はしない。なお、近鉄によると、「つどい」は今後も引き続き、湯の山線で実施されている足湯列車など、多様な運用に就くとのことだった。

試乗会の列車が大阪上本町駅を発車してから約1時間後、15時20分頃に大和八木駅へ到着。そのまま折り返して大阪線を走行し、16時10分頃に大阪上本町駅へ到着した。

  • 15時20分頃、大和八木駅1番線に到着した

  • 大阪上本町駅へ向かう際、大和八木駅付近で下り列車と対面するシーンが見られた

なお、「観光列車『つどい』サイクルトレイン -KettA-」は大阪便だけでなく名古屋便も設定され、5月18・19日と6月1・2日に運行予定。往路は近鉄名古屋駅6時39分発、復路は賢島駅16時21分発で運行され、近鉄名古屋~賢島間で途中の桑名駅、近鉄四日市駅、白子駅、津駅、五十鈴川駅、鳥羽駅、志摩磯部駅、鵜方駅に停車する。