JR西日本は15日、京阪神都市圏の運賃体系を見直すこととし、普通運賃・通勤定期運賃・通学定期運賃の上限変更について、国土交通大臣に認可申請したと発表した。
京阪神都市圏の運賃体系は、国鉄から継承したまま消費税改定を除いて見直されておらず、都市圏域の拡大に伴う輸送サービスおよび利用状況と運賃水準との不一致が課題になっていたという。
会社発足後の輸送改善等による利用状況の変化を踏まえ、京阪神都市圏内で同じレベルの輸送サービスを提供しているエリアにおいて運賃体系を統合し、平準化を図る。シンプルでわかりやすい運賃体系とするとともに、バリアフリー整備加速等のサービス向上に取り組むとしている。
申請にあたり、現行の「大阪附近の電車特定区間」(電車特定区間)を見直し、新たに京阪神都市圏を適用エリアとする共通の運賃水準を設定。電車特定区間のうち「大阪環状線内」の区分を廃止する一方、電車特定区間の範囲を拡大し、一部の幹線が新たに適用区間となる。
今回の改定により、運賃が値上げとなる区間、値下げとなる区間があるものの、JR西日本の運賃収入は全体として増収とならない想定の下で設定しているという。大人片道普通旅客運賃で適用する賃率を営業キロ1kmにつき15.50円に平準化し、定期旅客運賃は現行の電車特定区間の運賃から1.3%改定した額に平準化する。
改定時期は2025年4月1日発売分からの予定。申請内容について上限運賃として認可を受けた後、その範囲内で届出により各種運賃を設定する。新たに電車特定区間に拡大する区間について、届出により鉄道駅バリアフリー料金の設定を予定している。
改定後の電車特定区間において、初乗り運賃(営業キロ1~3km)は150円(鉄道駅バリアフリー料金を含む)となり、現行の電車特定区間(大阪環状線内を含む)で10円値上げに。営業キロ4~6kmの区間は改定後に180円、営業キロ7~10kmの区間は改定後に200円となり、それぞれ現行の電車特定区間で10円値上げされる。営業キロ11~15kmの区間は改定後に240円となり、現行の電車特定区間で10円値上げ、大阪環状線内で30円値上げされる。
なお、並行する鉄道事業者との競合区間等に設定している、上限運賃より安価な特定の運賃については、基本的に変更しない。ただし、上限運賃の変更にともない運賃を特定する区間、新たに鉄道駅バリアフリー料金の収受対象となる区間など、一部変更となる区間がある。
高校生等に対しては通学定期運賃(大学生等)を1割引、中学生等に対しては3割引、小学生等に対しては小児の通学定期運賃(通学定期運賃の半額)を3割引した運賃を適用する割引定期乗車券を設定する。鉄道駅バリアフリー料金は、電車特定区間内の駅相互間の運賃に加算し、運賃と一体として取り扱うとのこと。