東宝が明治座と提携し、俳優の市村正親が主演を務めるミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』が上演されることが15日、明らかになった。

ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』

東宝は明治座と、複数年並びに複数月に亘る貸館契約を締結したことを発表。帝国劇場は2025年2月をもって再開発のために一時休館することがすでに明らかになっていたが、創業150年を超える日本有数の名門劇場である明治座と提携することとなった。

本契約を受けて、2025年3月の明治座において、1967年帝国劇場での日本初演以来、半世紀以上にわたり受け継がれてきた名作ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』を上演。同社は「この度のご協力により、相互の知見を相乗的に高め合い、より一層お客様に楽しんでいただけるよう、さらに演劇製作興行に邁進する所存でございます」とコメントしている。

ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』は1964年にブロードウェイで初演され、トニー賞ミュージカル部門の最優秀作品賞など7つもの賞を獲得、日本では1967年に森繁久彌により初演を迎えた。帝政ロシア時代の寒村で酪農業を営むユダヤ人一家の父親・テヴィエ(市村)と、妻・ゴールデ(鳳蘭)、そして娘たちの結婚をめぐる家族の物語が描かれる。

ブロードウェイでの上演は72年まで8年間も続き、3,242回という、当時としては記録的なロングランを達成。日本初演は1967年秋、帝国劇場での2カ月公演で幕が開きました。森繁久彌のテヴィエ、越路吹雪のゴールデ以下、豪華キャストが顔を揃え、その後の再演を含め、森繁テヴィエは通算上演900回を達成し、有終の美を飾った。1994年の再演からは、エネルギッシュで愛嬌のある西田敏行のテヴィエが登場。そして、2004年からは“21世紀版”『屋根の上のヴァイオリン弾き』と銘打ち、市村がテヴィエを務めている。2004年、2006年、2009年、2013年、2017年、2021年に続き、今回で市村テヴィエは7演目の公演に。相手役の妻・ゴールデは、市村にして“最強の女房”と言わしめた鳳蘭が、2009年以来の「名コンビ」で届ける。

2人の愛すべき娘たちである、長女・ツァイテル役には美弥るりか、次女・ホーデル役には前回2021年公演から続投する唯月ふうか、三女・チャヴァ役には大森未来衣が決定。長女と相思相愛だが貧乏な仕立屋・モーテル役は2021年公演に引き続き上口耕平、次女・ホーデルと恋に落ちる学生・パーチック役は内藤大希、三女・チャヴァと駆け落ちするロシア人青年・フョートカ神田恭兵が2017年、2021年に引き続き出演する。娘の歳ほど差がある長女・ツァイテルとの結婚を望む金持ちの肉屋・ラザール役には、2017年公演以来久々に今井清隆が出演し、脇を固める。

東京公演は2025年3月に東京・明治座、全国ツアーとして4月に富山 オーバード・ホール大ホール、愛知 愛知県芸術劇場、静岡 富士市文化会館ロゼシアター、大阪 梅田芸術劇場メインホール、5月〜6月1日にかけて広島 上野学園ホール、福岡 博多座、宮城 名取市文化会館、埼玉 ウェスタ川越大ホール。

■市村正親 コメント

明治座は西村晃さんの付き人時代に、三木のり平さんのお芝居で2度ほど出演しています。ただ、新しい劇場になってからは機会がなかったので、ついに明治座に登場か!という気持ちです。初めて出演した時は”町人その1”のような役でしたが、時を経て、『屋根の上のヴァイオリン弾き』で明治座に乗り込むことができます。人形町の食べどころも楽しみにしています!明治座をこよなく愛しているお客様に、素敵な作品の『屋根の上のヴァイオリン弾き』をお届けいたしますので楽しみに待っていてください。

■鳳蘭 コメント

今の時代に失われつつある、家族の強い絆と愛情、近隣で暮らす人達との交流と友情、その様な人が生きていく上で支えとなる大切なものがギュッと詰まったミュージカルが『屋根の上のヴァイオリン弾き』です。私はこの公演で5回目のゴールデです。今回明治座での上演ということで、初めての劇場ですので、心も新たに市村パパに寄り添って、愛と優しさと可愛さのある、ちょっぴり口うるさいゴールデを演じたいと思います。