北陸新幹線の敦賀延伸で盛り上がりを見せる福井県で最新鋭の「XRバス」が運行を開始する。「福井県立恐竜博物館」とJR福井駅を結ぶルートなど、確実に需要がありそうな路線を運航するXRバスだが、車内では何が楽しめるのか。東京での試乗会に参加してきた。

  • 新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ! 福井号

    福井にXRバスが登場! 何が楽しめる?

どんなルートを走行する?

西日本旅客鉄道(JR西日本)の「新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ! 福井号」が運行を開始するのは2024年6月1日。「福井県立恐竜博物館」や「福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館」といった魅力的な観光スポットとJR福井駅を結ぶ路線や「えちぜん鉄道あわら湯のまち駅」発着の「あわら温泉周遊」コースなどがある。恐竜博物館ルートは片道約60分、便数は1日4~6便、価格は平日3,300円、土日祝および夏休み期間3,900円。そのほかのルートは2,200円だ。

  • 新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ! 福井号

    試乗会のため東京にやってきた「新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ! 福井号」

車内は一面のスクリーンだ。本来なら車窓があるところにも画面、天井にも画面、前方にも画面といった具合である。XRを体験するのにゴーグルを装着する必要はないので、これなら車酔いもしづらいのではないだろうか。もし気分が悪くなっても座席のボタンを押せば運転手に知らせることができる。

  • 新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ! 福井号

    車内の様子。窓、天井、前方に画面がある

  • 新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ! 福井号

    座席に付いているマイクはコンテンツの登場人物とAI対話システム「TALK WITH」で会話する際に使用するとのこと。福井県ゆかりの登場人物と話ができるそうだ。青い箱状の設備にイヤホンを差せば、英・中・韓・日の吹き替えでコンテンツが楽しめる

その画面ではルートごとに違ったコンテンツを放映する。今回の試乗会では恐竜博物館へと向かうルートを体験した。コンテンツは恐竜博物館の予習となるような内容で、例えば福井県で化石が発見された恐竜の紹介や、そもそもなぜ福井で多くの化石が発見されるのかの説明といった感じだった。出演者は今井翼さん、温水洋一さんなど。コンテンツの総合演出を手掛けたのは堤幸彦さんだ。

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  • 新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ! 福井号
  • 新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ! 福井号
  • 恐竜博物館に向かう乗客の気分も盛り上がる?

バスの外側にはカメラが付いていて、車窓の画面には外の風景をライブで映すこともできる。なので、実際の風景に何らかのコンテンツをかぶせることも可能だ。ライブ映像と作られた映像が入り混じり、実際の風景を見ていたかと思えばタイムスリップして江戸時代の街並み(アニメーション)が映ったりもするので、なかなか楽しい。途中でバスが空を飛ぶという演出もあったが、バス特有のフワフワした乗り心地も相まって、不思議な気分を味わうことができた。

  • 新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ! 福井号
  • 新感覚XRバス WOW RIDE いこっさ! 福井号
  • 実際の街並みのライブ映像や江戸時代のCGなどが車窓の画面に映る

今回のバスはJR西日本(と同社が立ち上げた福井RIDEコーポレーションという会社)が開発したもの。もともと走っていた路線バスに何かを後付けしたということではなく、新開発のバスを新たな路線バスとして定期運行するという取り組みだ。とりあえずの運行期間は2024年9月30日までとなっている。

JR西日本社員で福井RIDEコーポレーション取締役の内山興さんによると、福井県では観光地が点在していて、観光で周遊する人たちの多くはマイカー(あるいはレンタカー)を使っているのが現状。公共交通機関の整備が課題になっていたそうだ。新幹線で福井に来た人を公共交通機関で県内各地の観光地に送客したい。そのための方法となるのがXRバスなのだ。

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    ラッピングのイラストを担当したのは福井県出身の中村サトルさん

XRバスの目的地は実際、福井に行ったら訪れてみたい場所ばかり。そもそも需要がありそうなルートにXRという新技術を使ったエンタメ要素のあるバスを導入したというのが、今回の企画の考え方らしい。