• 野村麻純

明るい役に難しさを感じると話していた野村だが、笑顔コンプレックスを抱いていたこともあったという。

「20代前半の頃に、笑うと目がなくなるということで『笑顔があまりきれいじゃないから笑わないほうがいい』とカメラマンさんから言われたことがあって、あまり笑わないほうがいいんだなと。でも明るい役を演じることが多いし、どうしたらいいかわからない時期がありました。テレビに映っても、普段の自分の笑顔だとダメだから、きれいな笑顔を作ろうとして、笑顔にコンプレックスがあり、明るい役に苦手意識がありました」

だが、ムロツヨシと夫婦役を演じた「味ぽん」のCMをきっかけに、笑顔コンプレックスを克服。

「『味ぽん』のCMを見た方に『笑っている姿がいいね』と言ってもらえて、あんなに苦手だった笑顔を『いいね』と言ってもらえることがあるんだと。あのCMをきっかけに決まったお仕事もあって、あんなに笑顔に気を使っていた時間はなんだったんだろうと、吹っ切れた感じがありました」

泣く芝居と同じように、表面上の見え方ではなく役の気持ちを大切にするようになり、苦手意識のあった明るい役も少しずつナチュラルに演じられるようになったという。

「見え方を気にしても仕方ないなと。逆にお芝居の邪魔だなと気づけてよかったです。以前は明るい役だと気負ってしまい、空回って見えていたと思いますが、自然に演じられるようになってきた気がします」

役の広がりに喜び「いい循環で進めているなと」

明るい役が多かった20代を経て、今では複雑な思いを抱えるシリアスな役も任されるようになり、役の広がりに喜びを感じている。

「もっと気持ちを深掘りする役もやりたいなと思っていたときに『空白』という作品に出られて、それを見てくださった方が泣く芝居につなげてくださったのもすごくうれしかったですし、そういう役が増えてくると今度は明るい役がちょっと恋しくなったりもして。明るい役も以前より楽しく取り組めているので、いい循環で進めているなと感じています」

役者として着実に歩みを進めている野村。「私はコツコツなんです。でも、ホップ・ステップ・ジャンプしても自分の身にはならない気がするので、このくらいコツコツのほうがいいのかなと。これからもコツコツと、自分に求められる役を全うできるよう頑張ります!」と笑顔で語ってくれた。

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■野村麻純
1990年10月10日生まれ、鹿児島県出身。2011年にドラマ『華和家の四姉妹』でデビュー。2012年にドラマ『11人もいる!』でソアラ役を演じ話題に。近年の主な出演作は、ドラマ『PICU 小児集中治療室』(22)、『こっち向いてよ向井くん』(23)、『推しを召し上がれ 広報ガールのまろやかな日々』(24)、映画『空白』(21)など。

(C)NHK ヘアメイク:尾口佳奈 スタイリスト:浅井彩津希