――対局と対局の間はどのように過ごされていますか。
「対局が終わったらその日のうちに振り返りをします。次の日の午前中は休みに充てて、午後からはゆったりと将棋を始める、という習慣にしています。さらにその次の日からは、ギアを上げてしっかりと勉強を再開する感じです。最近は丸1日休みという日はないですね」
――きつくはありませんか?
「負けるよりかは何倍もいいので(笑)」
――しっかりやる日は、何時間くらい勉強をしていますか。
「朝起きてから夜寝るまでです」
――自分の将棋の特徴をどのようにとらえていますか。
「悪い局面から、終盤戦で粘って勝つタイプだと思います。逆転勝ちが多いんですけど、逆にすごくいい局面からも落としたりします。優勢な局面の指し回しはまだまだです」
――将棋との向き合い方は、理論派ですか、情熱派ですか?
「理論ではないです。気合で戦う勝負師タイプだと思います。今日の将棋でいうと、横歩取りを指そうと決めたのも気合のいる決断でしたし、終盤の入り口で▲5六飛に△4二玉と引いた手は、かなり怖い局面だったこともあって、思いきって勝負しようと指した手でした」
――理論派ではない、ということでいうと、準決勝の加藤桃子女流四段戦では、先手番から▲2二角成と手損して角換わりに進めたのが印象的でした。実質的に後手番だったことになってしまうので、棋理だけでいえば損だと思うのですが。
「加藤さんに準備がありそうに見えたので。そういう駆け引きは好きなほうだと思います」
――理想とする将棋はありますか?
「いままで話してきた自分の将棋とは違うタイプですが、豊島先生の将棋が好きなんです。将棋がきれいというか」
――番勝負で戦うことになる西山朋佳女王のイメージはどうですか。
「終盤が特に鋭い印象です」
――2月の女流王位リーグで、西山女王と初手合いとなりました。盤を挟んで向かい合ってみて、どう思いましたか。
「あ、西山さんだ、と思いました」
――(笑)
「どんと構えてらっしゃって、貫禄がありました」
――結果は、勝勢を築きながら、詰みを逃して逆転負けとなりました。
「いい勝負ができたことはうれしかったですが、詰みを逃してしまったことは悔しかったです」
―将棋から離れたところも少し伺います。自分ではどのような性格だと思いますか。
「人見知りするのですが、友達になるとすごくしゃべるほうです。うるさいほう、といったほうがいいかもしれません。特に同門の佐々木海法さんと仲がいいです。私もがんがんしゃべりますし、逆に遠慮ないことを言われたりもしますけど……。この間、『最初はすごく真面目そうに見えたのに』って言われたんですよ。いまは真面目じゃないの?って(笑)。一見頭がよさそうに見えるのに、しゃべり出したらちょっと違うらしいんですよ。だから最近はボロが出ないように、無言を心がけています」