第50期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は予選が進行中。5月16日(木)には第5ブロックの池永天志六段―小山怜央四段の一戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、角換わり相腰掛け銀のねじり合いから抜け出した池永六段が勝利。予選突破まであと1勝としました。
両者得意の角換わり腰掛け銀
本予選は20名前後からなる山を勝ち抜いた8名が本戦に進出するもの。池永六段は船江恒平七段に、小山四段は青嶋未来六段に勝っての登場です。振り駒が行われた本局は先手の池永六段が角換わりに誘導。相腰掛け銀の持久戦に進んだのは大方の予想通りの展開です。
4筋の位を取った池永六段は自陣の歩をバランスよく伸ばしてふんわり厚みのある陣形を構築。千日手含みに待機する後手を尻目に右銀を繰り出したのが積極的な継続手でした。角との協力で歩をかすめ取る手をチラつかせて後手からの攻めを誘う方針です。
終盤は駒の損得より玉の安全
小山四段が局後「動かされている感じで(形勢は)悪いと思った」と語る通り、駒がぶつかった局面は駒の働きに差があり先手よし。池永六段はここから丁寧な指し手で逆転の目を摘み取ります。銀をタダ捨てする勝負手にも池永六段が動じることはありませんでした。
小山四段が銀に続いて角や桂まで差し出し玉をつり出した局面は先手には詰めろ馬取りがかかっており一見危ういように思われます。しかしここで馬取りを手抜いて玉を引いたのが玉の安全度を最優先する終盤の決め手。駒得がものを言い、池永六段の優勢は揺らぎません。
終局時刻は17時42分、最後は自玉の詰みを認めた小山四段が投了。勝った池永六段は予選決勝で黒沢怜生六段と顔を合わせます。
水留啓(将棋情報局)