伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は挑戦者決定リーグが進行中。4月2日(火)には紅組の豊島将之九段―藤本渚五段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、相居飛車の力戦を100手で制した藤本五段が2勝目を挙げ、挑戦に向け前進しました。

18手目の積極策

6人総当たりで争われる本リーグ、既に全勝者が消えている紅組は全員に挑戦の可能性が残ります。ともに1勝1敗で迎えた本局は後手となった藤本五段が雁木調を志向。先手の豊島九段が早繰り銀に出たところで藤本五段は意表の一手を披露します。

後手の守勢が予想される展開のなか、囲いの根幹をなす右金をグイと歩の上に腰掛けたのが藤本五段の予定と思われる積極策。先手が角頭を攻めてくれば4筋の歩を突いての中央制圧を目論んでいます。力戦に突入した盤上は右辺で飛車交換が行われてようやく一段落です。

藤本五段が乱打戦制す

手番を得た豊島九段が角取りに金を打って本格的な戦いがスタート。形勢は先手ペースながら、直後に後手が金取りに飛車を打った局面が大きな分岐点となりました。攻め合いを目指した豊島九段ですが、感想戦ではいったん金を守って息長く戦う方針が優ったとの結論に。

ともに敵陣に竜を作る終盤戦を藤本五段はテンポ良い指し手で切り抜けます。金を犠牲に自玉に迫る桂を排除したのが「終盤は駒の損得より速度」の格言通りの一手。これで攻め合いの速度が逆転しています。終局時刻は19時6分、自玉の受けなしを認めた豊島九段が投了。

これで勝った藤本五段は2勝1敗と挑戦に向け前進。敗れた豊島九段は1勝2敗となりました。

水留啓(将棋情報局)

  • 昨年度51勝を挙げ最多勝利賞に輝いた藤本五段は幸先良い年度スタートとなった