伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は挑戦者決定リーグが進行中。3月22日(金)には紅組の斎藤慎太郎八段―佐々木大地七段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりの熱戦を124手で制した斎藤八段が2勝目を挙げました。

両者得意の相掛かり

斎藤八段1勝1敗、佐々木七段2連勝で迎えた本局はリーグ戦中盤の山場。紅組で唯一負けなしの佐々木七段は勝てば組優勝が大きく近づきます。両者得意の相掛かりに進んだ対局は、先手の佐々木七段が持久戦を目指したところで後手の斎藤八段が動きを見せました。

棒銀での飛車先突破を狙った斎藤八段は続いて右辺に目線を転じ戦線拡大。先手陣が安定する前に戦いを仕掛けるこの着想が功を奏し、戦いの主導権は斎藤八段がつかみます。佐々木七段は棒銀を受けるために上がった左銀が角道をふさぎ有効な反撃を繰り出せません。

優勝争いは混戦に

盤上は早くも定跡を外れ、昼食休憩明けから両者長考を重ねます。守勢の佐々木七段は右桂を犠牲になんとか局面の鎮静化を図りますが斎藤八段は攻めの手を休めません。歩の手筋との連携で気持ちよい角銀両取りの桂打ちが決まったことで後手有利がはっきりしました。

その後も盤面全体を使った押し引きは続きますが、斎藤八段の優勢は最後まで揺るぎませんでした。終局時刻は19時39分、最後は自玉の受けなしを認めた佐々木七段の投了で斎藤八段が勝利。本戦法を愛用する佐々木七段としては対策を求められた格好です。

これでリーグ成績は勝った斎藤八段、敗れた佐々木七段ともに2勝1敗に。全勝者が消えた紅組はこの後の戦いも目が離せません。

水留啓(将棋情報局)

  • 感想戦は一局の流れを振り返る形で40分ほど行われた(写真は第79期名人戦第1局のもの 提供:日本将棋連盟)

    感想戦は一局の流れを振り返る形で40分ほど行われた(写真は第79期名人戦第1局のもの 提供:日本将棋連盟)