ある調査※によると、4月から新社会人になる人は70万人程と推測され、新入社員の勤務形態は約84%が「出社」で、次ぐ「出社とテレワークの組み合わせ」の12%を大きく上回っています。

※学情の2023年9月「新入社員の勤務形態・新入社員研修の形式」調査

その理由は「仕事を覚えるタイミングでは、出社の方が適していると思う」から。人と会う機会が多くなると忘れてはいけないのが「お口のエチケット」で、相手への印象が大きく変わる大事なポイントです。

そこで、新社会人が注意したい「ビジネスマナー」の基本の「き」である「お口のエチケット」の新常識をまとめました。

自分の歯に合った歯ブラシ選びで磨き残しゼロに

子供の歯(乳歯)と大人の歯(永久歯)は、歯のサイズは別として、形は同じ様に見えているかもしれませんが、実際には子供の歯は凹凸が少なく表面が平らなのに対して、大人の歯は真ん中が出ていて周りが引っ込んで丸い形をしています。

子供の歯は平らなので、歯並び全体でも凹凸がなく、歯ブラシでゴシゴシ磨いても案外と磨き残しは出ません。

しかし大人の歯をそのように磨くと、凹んでいるところには毛先が届かないので磨けません。この結果、磨けていないところは24時間365日磨けないことに。大人になったら、ぜひ歯ブラシ選びにもこだわってください。

歯ブラシの毛先の部分(ヘッド)は小さめを選ぶのが良いです。

「小さいと磨けている気がしない」と敬遠する人もいますが、これは逆。小さい歯ブラシだと磨けているところと磨けていないところがハッキリ分かるので、磨き残しを自覚できるのです。大きい歯ブラシではパワープレーの様に一気に磨ける気分にさせてくれますが、磨き残しがあるケースが少なくありません。

毛先の硬さは磨くときの力の入れ方に影響します。毛先が「硬め」だと、どうしても手に力が入り過ぎてしまい、毛先が細かいところに届かずに磨き残しを作る原因になります。お口の中の状態にもよりますが、毛先は「普通」か「柔らかめ」を選択するのが良いでしょう。

特に歯並びが悪い場合や、細かいところを磨く時には「ワンタフトブラシ」と呼ばれる毛先が束状になった歯ブラシを使うと磨き残しに有効です。

また毛先の形態には大きく分けて2種類あり、毛先が丸い「ラウンド」タイプと、毛先に向けて角度がついて先端が尖っている「テーパード」タイプになります。

前者は歯の表面を磨くのに適しているので「ムシ歯予防」に、後者は歯と歯の間まで毛先が届くので「歯周病予防」に効果的です。

「そうは言われても、歯ブラシの種類が多過ぎて……」と戸惑う人も少なくないでしょう。

そこでお勧めしたいのが、これらの良いとこ取りをしたGCのオールインワン「ruccell(ルシェロ)」シリーズ。汚れを効率的に除去することを目的とした毛の形状で、普通の歯ブラシでは届かないところまで磨ける構造になっています。また長い毛先と短い毛先を混合させて、長い毛は歯ぐき近くを、短い毛は歯の表面の清掃を同時に効率的に行えます。

ムシ歯予防で健康な歯ぐきの人におすすめしたいのが、やはり同社の「B-10M/S」。毛先が「ラウンド」タイプになっていて効率的に磨けます。

歯周病予防の「P-10M」は、長い毛は「テーパード」タイプで、短い毛は「ラウンド」タイプになっていて、歯の表面と歯ぐきとの境目までキレイに清掃できる優れた設計です。朝と昼は「ムシ歯予防」のために「B-10M/S」、夜は「歯周病予防」のために「P-10M」と使い分けると完璧な歯磨きができます。

「えっ? 朝、起きられなくて、ゆっくりと歯を磨く時間がない?」―そういう新社会人は、「短時間」で「効率良く」そして「表面全体」の汚れを落とせる同シリーズの「B-30 Grappo(グラッポ)」を使うと良いでしょう。

意外と知らない歯磨き粉の選び方

歯磨き選びも「お口エチケット」の大切なところです。歯磨き成分で知らないと損する「3大成分」をご紹介します。

まずは歯の質を強化する「フッ化物(いわゆるフッ素)」。

歯は口の中の状態により、虫歯になりやすい酸性になったり、歯が安定する中性になったりします。食事や飲み物によって酸性になった状態になると歯の成分が溶け出し、これが長く続くとムシ歯になります。酸性になった口の中を中性に戻す作用があるのが唾液です。

「フッ化物」配合の歯磨き粉を使用することで、酸性になっても歯の成分が溶け出しにくくなる性質に改善します。最近の歯磨き粉の多くには「フッ化物」は配合されていますが、時々無配合の物もありますので、購入前にチェックしてください。

僕がお勧めしたい成分が「CPC(塩化セチルピリジウム)」。これは口の中に遊離している細菌に付着し、やっつける殺菌作用があります。

もう1つは「IPMP(イソプロピルメチルフェノール)」で、歯に頑固に付着した細菌膜(バイオフィルム)に対して、膜の中に侵入して殺菌する効果が期待できます。

これらの成分がしっかり配合されている歯磨き粉がサンスターの「G・U・M PLUS+(ガム・プラス)」です。これを使えば「ムシ歯予防」にも「歯周病予防」にもなり、一石二鳥の効果となります。

歯磨き成分で知って得する「3大成分」もご紹介。

「ピロリン酸ナトリウム」と「ポリリン酸ナトリウム」は歯の着色の原因となるステインを化学的に歯の表面から浮かせる「ホワイトニングダブル成分」と言われ、歯を傷つけることなく着色を除去するので、歯の色を本来の自分の白さに戻してくれます。代表的な歯磨き粉はライオンの「Brilliant more(ブリリアント・モア)」です。

歯がしみる(知覚過敏)人は「硝酸カリウム」入りの歯磨き粉を使用してください。

歯ぐきが下がり、歯の根の象牙質というところが露出して、表面のある小さい管から冷気・冷水・摩擦が入り込み歯の中の神経にまで届き「歯がしみる」症状が出ますが、この成分は神経に伝わる刺激を抑える効果があります。

ライオンの「システマセンシティブ」にはこの成分が配合され、更に「乳酸アルミニウム」という伝達する管を閉鎖する成分も入っていますので、歯がしみる人は使ってみてください。

新社会人必見! 「お口エチケット」を新常識にアップデートする「うがい」「舌磨き」

社会人になるとお昼は外食したり、あるいはおやつ(間食)を食べたりする機会が増える人もいますが、その後の歯磨きが難しいシチュエーションも少なくありません。かと言って、歯磨きをしないでいたら、前述のようにムシ歯になってしまいます。

そこで取り入れてもらいたいのが「うがい」。ムシ歯菌の代表であるストレプトコッカス・ミュータンス菌は、歯に付着した時には取れやすいのですが、時間が経つと粘着性が高まり、取れにくくなります。

物を口に入れると酸性になり、その後30~60分しないと歯が安定する環境(中性)に戻りません。ですから、食後から10分までの間に、強めのうがいをして口に残っている食べカスをしっかりと除去してください。

食後のうがいで是非とも使ってもらいたいのがアース製薬のモンダミンシリーズの洗口液「Reset Coat Pro(リセット・コート・プロ)」です。

これは歯が溶け出す酸性の状態をph調整剤である「炭酸水素ナトリウム」と「水酸化ナトリウム」が、素早く中和してくれます。また天然コーティング成分「セレック」と前述した殺菌成分「CPC」が歯の表面をWコートするのでムシ歯予防効果を高めます。

そして、マストの「お口エチケット」が「舌磨き」。

日本人の7割が「口臭を我慢しながら仕事をしている」現状において、新社会人はしっかりと口臭管理をしたいもの。口臭の原因は「舌表面の汚れ」ですから、「舌磨き」をすれば対策できます。

時々、歯ブラシを使って舌を磨く人がいますが、歯ブラシは硬い歯を磨く設計ですので舌を擦っても効果的に汚れが取れないどころか、舌を傷つけることもあるのでNGです。必ず舌磨き専用ブラシを使ってください。

舌磨きの初心者にお勧めするのがエビスの「ふんわりタッチな舌ブラシ」です。極細毛が舌の凹凸に入り込み、汚れを除去する密着フィットな3Dカット形状で、舌あたりが柔らかいので、舌を奥から擦っても嘔吐反射が出にくいのも嬉しいです。

もう少ししっかり汚れを落としたい人にはライオンの「NONIO舌ブラシ」を使うと良いでしょう。これは、高濃度毛束で汚れを浮かせ、ラバースクレイパーで汚れをしっかりキャッチするW汚れ落とし機能。コンパクト設計だからブラシのコントロールも容易です。

男性の3割以上、女性の約半数がデート中の相手の口臭に悩んでいるというデータもあります※。「NONIO舌専用クリーニングジェル」を舌磨きの時に使用すれば、強力洗浄成分「ポリアクリル酸ナトリウム」が貴方の口臭を根こそぎ取ってくれるので、口臭対策は完璧です。

※出典:「口臭白書2019」

清潔感がある口元は相手に好印象を与えますから、ご紹介のケア用品で白い歯と爽やかな息を手に入れ、自信を持って新社会人生活をスタートさせましょう。

著者プロフィール:宮本日出(みやもと・ひずる)

歯科医師・歯学博士・MBA
幸町歯科口腔外科医院・院長。
「ホンマでっか!? TV」(フジテレビ)、「あさイチ」、「バリューの真実」(NHK)など多数のメディアで活躍中。近著は「レモン水うがいダイエット」(あさ出版)。