3月20日、第一三共ヘルスケア主催のがんケアラー向け「肌ケアセミナー」が、都内にて開催。“肌悩み”のある治療経験者(手術、薬物療法、放射線治療)が参加し、フェイスケアやカバーメイクを学んだ。

■美容のプロが“巡活マッサージ”をレクチャー

  • ピアリング・アピアランスケア協会認定セラピスト、BEC乳がん体験者コーディネーターの野村奈美さん(左)、アピアランス・サポート東京 アピアランス・サポート相談室 室長の村橋紀有子さん(右)

同セミナーの「フェイスケア実践『術後・抗がん剤治療中・後の悩み対策』」と題されたコーナーでは、脱毛や爪の変形など、がん治療の副作用に悩む人たちを美容のプロとして支えるアピアランス・サポート東京 アピアランス・サポート相談室 室長の村橋紀有子さんが登壇した。

  • アピアランス・サポート東京 アピアランス・サポート相談室 室長の村橋紀有子さん

村橋さんは「がんの治療中は体が乾燥するんです。治療の副作用で、シワや肌のくすみ、痒くてどうしたらいいのか……など『お医者さんに行くまでもないんだけれども、これはどうしたらいいのか?』という質問をよくいただきます。あとは『治療が終わったらシミやくすみがすごく増えた気がする』というお悩みも、とても多いんですよ」と、がんケアラーの実情についてコメント。

そして、静脈とリンパの流れを促し、顔や手足のむくみを改善する“巡活マッサージ”をレクチャーし、「毎日3分でも5分でも時間を作って、治療を頑張った自分をねぎらってほしい。自分らしく過ごす時間を少しでも作っていただけたら」と村橋さん。参加者に「今はベタベタは気にしないで、とにかくクリームをたくさん付けて。肌に摩擦を起こさないように」とアドバイスしながら、手の動かし方などを教えた。

  • 静脈とリンパの流れを促す巡活マッサージのHow toを学んだ

  • マッサージする際はクリームをたっぷり塗って

  • 今回は敏感肌向けスキンケアブランド「ミノン」の「全身保湿ミルク」などを使用

■メイク講師がコンシーラーの使い方を伝授!

次に、「カバーメイクミニ講座 ケア実践ワークショップ」のコーナーに登壇した、ピアリング・アピアランスケア協会認定セラピストでBEC乳がん体験者コーディネーターの野村奈美さんがメイク術を指南。野村さんは「治療による影響ということで、1番多く寄せられるお悩み相談は『まつ毛も眉毛も抜けてしまう』ということ。『毛がなくなったところにどうやって眉毛書いたらいいのか』と。あとはやはり『治療によってシミが濃くなった』という声も多いんです」と、がんケアラーの声を紹介。

  • ピアリング・アピアランスケア協会認定セラピスト、BEC乳がん体験者コーディネーターの野村奈美さん

「私もがんサバイバーで抗がん剤治療の経験があるので、髪が抜ける、外見が変わるということが、自分の中で大きなウェイトを占めるということはよくわかります。(周囲に)病気のことを考えてもらっている中で、『こんなこと言えない』『我慢しなきゃいけない』など、外見のことって後回しになりがちだと思うんです。でも、実は外見を整えることはすごく意味がある。治療に向かって気持ちを前向きに高める……など、いろいろな効果があると思うんです。ですので、皆さまにはぜひ、さまざまなところに相談しながら、それぞれの治療を乗り越えていっていただけたらと思います」と話した。

続いて、シミやくすみ、色素沈着や白斑といった悩みを自然にカバーするコンシーラーの使い方を説明。「コンシーラーは種類が多くて『どれを使っていいかわからない』という人も多いのですが、例えば、大きくて薄いシミ、肝斑などには柔らかいものを、小豆みたいな濃いシミをしっかりと消したいなという時は、固くてカバー力のあるものをお使いいただけたら。シミをカバーするときには少し濃いめの色を選びましょう」と解説しながら、手早く付けること、手の甲などに一度乗せてから顔に使うこと、目の下の三角ゾーンにしっかり塗ることなどを伝えた。

  • 「目の周りは薄く付けるように。目尻の際に付けると若見えのポイントになりますよ」と野村さん。モデルの頬に仕込んだ大きめのシミのカバー法も解説した

  • 真剣な眼差しでカバーメイクを実践する参加者

  • 「目の下の三角ゾーンをしっかりカバーすると他は適当でもキレイに見えるんですよ。一度で隠そうと思わず、コンシーラーは薄~く何層も重ねて、納得できるところまで持っていきましょう」と野村さん

今回のセミナーに参加した女性に感想を聞いてみると、「がんになってむくみがすごかったのですが、巡活マッサージですっかり満たされました。今後も続けていきたいです」(花さん)と笑顔に。他にも「がんになると、肌以外に心にもダメージを受けますが、このセミナーで同じ悩みの人々に出会って、普段周囲の人たちとは分かち合えなかったことを話せて良かったです」(ヒロちゃんさん)と話していた。

  • 今回使用した「ミノン」の「全身保湿ミルク」など

  • 肝斑改善薬「トランシーノ」のシリーズ、「薬用UVコンシーラー」もセミナーで使用

  • 「がん治療中に起こりやすい皮膚症状と日常から取り入れたいスキンケア」について説明するIQVIAサービシーズ ジャパンの東島愛美さん(看護師)

■セミナー企画の背景は?

第一三共ヘルスケア ブランド推進本部 メディカルマーケティング担当の橋爪現さんに、セミナー企画の背景や今後の展望について話を聞いた。

  • 第一三共ヘルスケア ブランド推進本部 メディカルマーケティング担当の橋爪現さん

――がんケアラー向け「肌ケアセミナー」の企画背景や御社の想いをお聞かせください。

当社のメディカル部門では、数年前から抗がん剤に対して注力しております。がん治療に特化した企業になっていこうという方針を打ち出しているのですが、そのタイミングに合わせて、ヘルスケア部門でも「がん患者さんになにかできることはないのか考えていこう」となりました。そんな中で、Peer Ring(女性特有のがんに直面する人のための無料会員制SNS)を運営しているリサ・サーナさんと一緒になにかできないかと話したのがきっかけです。2022年の7月が第1回目の開催で、今回で5回目。開催2年目となります。

また、がん患者さんは抗がん剤の治療中の副作用として、スキントラブルを抱えている人が多いことが分かりました。それなら、当社の敏感肌向けスキンケアブランド「ミノン」という製品でお役に立てるのではと。もともと、化粧品アレルギーによる肌トラブルをなくしたいという想いから誕生したブランドですので、それを使ったケア方法などを広めていければと思っています。セミナーは、我々としても直接がん患者さんとお会いできる貴重な機会にもなっています。

――では、今後どういった取り組みをされたいなど、展望を教えてください。

まだまだ始まったばっかりですが、がん患者さんが暗い気持ちにならないで治療に臨めたり、その後の生活で少しでも安心してもらえたらと思っており、こうした活動はこれからも続けていきたいです。名古屋や大阪でも開催するようになりましたが、日本全国の他の地方、北陸や東北、北海道や九州などへも開催していく必要があると考えています。

まだ先の話ですけど、患者さんにより使いやすいよう“製品のあり方”についても考えています。「こういう製品のほうが持ち歩きしやすい」とか、「入院する時はこんな製品あるよ」というような。そうしたところまで持っていければ、メーカーとしては嬉しいですね。