茂木健一郎の「メンタル」が安定しているのは「運動」しているから!?  脳科学的視点から解説
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。

TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。

3月2日(土)の配信では「運動を始めるコツと続けるコツ」に関する相談に答えました。

パーソナリティの茂木健一郎

<リスナーからの相談>

毎週楽しくて聴いています。先日、こちらのお悩み相談のメッセージで「ジムに入会したけど続かない」といった相談内容と似ているのですが、「運動を始めるコツ」と「運動を続けるコツ」を教えてもらいたいです。運動しようと思うのですがなかなか体が動かず、頭では「しなきゃ!」と思ってストレスを勝手に感じています。脳科学的に何かコツがあれば教えてほしいです。

<茂木の回答>

茂木:なるほどね。僕は「運動をしなきゃ」と思うというところにポイントがあると思います。義務感のようなものがあると、脳は続かないんです。脳がなにかを習慣化して続けられるためには、それが「楽しい」と思わないといけないんです。楽しいことは自然にやりますよね。たとえば、ゲームを「楽しい」と思ってやったり、自分の好きな動画や音楽は義務感ではなく「楽しい」と思って接していますよね。なので脳に「楽しい」と思わせたら、しめたものなんです。

これは、「スポーツ」と「体育」は違うというのもポイントみたいです。私は毎日のように走っているのですが、楽しくて走っているんです。走らない方に「なんで走らないの?」と聞くと、「体育の授業で無理やりに走らされて嫌だった」という方が多いんです。

本来、人間の脳にとって「走ること」「運動すること」は「楽しいこと」なんです。でも、脳の中に「楽しさ」と「自分を隔てている壁」があるので、このブロックしている壁をうまく外してあげる必要があるのかなと思います。

なので、“しなきゃいけない”と思っている状態は、ちょっと学校の勉強に似ていますよね。「学校の勉強をしなきゃ」「体育でランニングしなきゃ」って。この義務感から来るものは、脳の中では楽しさに向かうための邪魔をする最大の壁になっています。

それを乗り越えるためには、頭の中であれこれ考えないでやってしまうのが良いんです。運動したほうが体力がつくし、前向きな心理も働くので、結局メンタルの安定にもつながる。僕なんかは、ものすごくメンタルが安定していますよ。ときどきX(旧Twitter)が炎上していても、メンタルが安定しているのは運動しているからなんですけど。ぜひ、相談者さんも「楽しい」と思って運動を始めて続けていただきたいなと思います。

運動する時間がないと思っている方もいると思いますが、なにも1時間しっかり運動しなきゃいけないということはありません。僕は、走る時間がないときは地下鉄の駅までリュックを背負って2分走るだけでも十分運動になると思っているので、いつも2分全力疾走しています(笑)。その姿を見た人は「あいつはなんなんだ!?」と思っているかもしれませんが(笑)、2分でも運動はできます。ぜひ運動の楽しさと自分の間を隔てている壁のようなものをうまく外していただけたらと思います。

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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」

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<番組情報>

番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室

配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)

パーソナリティ:茂木健一郎

番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/11745