先日新世代のMINI 3ドアが日本で発表された。愛らしい丸型ヘッドライト、コンパクトなボディ、そしてインパネ中央の丸型有機ELディスプレイなど、先代モデルの魅力を踏襲しつつ、八角形のフロントグリルなど新しい意匠を盛り込むことでフレッシュで若々しいスタイルとなった。すでにフルモデルチェンジを受けたMINIカントリーマン(旧名:MINIクロスオーバー)を含め、これから新時代のMINIが続々と投入されるはず。



 そこで気になるのは先代以前のMINIの中古車相場だろう。プレミアムコンパクトゆえ新車価格はそれなりに高額となるが、中古車ならばリーズナブルにねらえることに注目だ。


50万円以下でねらえる初代MINI




 イギリスの国民的なスモールカーがミニ。BMWは、ミニブランドを保有していたローバー社を傘下に収めたことで新しい世代のコンパクトモデルを生み出した。それが2001年にワールドプレミアされた「MINI」だ。ブランド表記をアルファベットの大文字表記に統一し、プレミアム性を強調したブランディングは功を奏し、世界的な大ヒットモデルとなった。2000年代序盤といえば、クラシックな名車のリバイバルがちょっとしたブームの最中。例えばフォルクスワーゲンはタイプIを復刻したニュービートルをリリースし、クライスラーは往年のホッドロッドを模したPTクルーザーを発売。MINIもそんな潮流に乗ったモデルだが、他のモデルと決定的に異なるのは、クルマとしての高い完成度。ドアの開け閉めの感触は重厚で、いかにも高いボディ剛性を感じさせる。走りもスポーツカーのように俊敏で、同クラスのコンパクトモデルとは一線を画していた。



 そんな、偉大なる初代MINIも現在は破格の値段で販売されている。中古車価格帯は20万円~150万円と手頃。スーパーチャージャーを搭載した最上級の「クーパーS」でも100万円前後の予算でねらえる。ただし物件は減少傾向にあり、コンディションのよい個体は年々少なくなっている。限定車として販売された「JCW GP」が高騰するなど、一部モデルは高額であるが、リーズナブルに入手できるMINIとして依然魅力的な存在だ。


物件数と価格のバランスがよい2代目MINI




 2007年にフルモデルチェンジを受けたMINI。エクステリアは先代とよく似たデザインで、ひと目でMINIとわかるもの。しかし内外装の質感はワンランク上がり、プレミアムコンパクトらしさを追求したのがトピック。当初のパワートレインは、1.6L 直4の「クーパー」、同ターボの「クーパーS」、そして1.4L 直4を搭載したエントリーモデル「ワン」も登場。また、この世代では先代にも存在したコンバーチブルに加え、ワゴンタイプのクラブマン、クロスオーバー、クーペなど、ボディバリエーションが一気に拡大したことも話題となった。



 中古車も豊富に流通しており、まだ十分に探せる。中古車平均価格は30万円~180万円(JCWを除く)と、初代MINIとほとんど相場が変わらないのもポイント。100万円未満の物件も多いので、低予算でも多くの物件から選べる。グレードは中間モデル「クーパー」が最も豊富で、多くのユーザーにおすすめ。スポーツ志向の強い「クーパーS」はやや少ないものの、走りを楽しむなら積極的にねらいたい。また、「クーパーS」でも下位グレードとそれほど価格差がないのも知っておこう。ハイパフォーマンスモデルの「JCW」も200万円以内で買えるが、物件数はそれほど多くない。


今後値下がりが期待できる3代目MINI




 2014年に登場した3代目は、さらに大きく進化。エクステリアは、初代や2代目のテイストを継承しつつも、フロントグリルを縦方向に拡大して一体型のデザインを採用。これによりクラシックミニに近い印象を与えている。インテリアは、先代までのセンターメーターがセンターディスプレイに置き換えられるなど変更点はあるものの、こちらもMINIらしいコックピットとなった。パワートレインは、当初用意された「クーパー」には1.5L 直3ターボ、「クーパーS」には2.0L 直4ターボを搭載。このほか、ディーゼルモデル「クーパーD」と「クーパーSD」も加わり、ラインアップを拡充している。



 デビュー当初は中古車も高額だったが、ここ数年は相場もかなり落ち着いた状況となっている。中古車価格帯は70万円~380万円と幅が広く、年式によって相場が異なる。100万円以下は2016年式以前のものが中心で、走行距離も伸びているケースが多い。3年落ち(2021年式以降)の新しい中古車を探すなら、250万円前後の予算は確保したい。物件は「クーパーS」が中心だが、ディーゼルの「クーパーD」もそれなりに流通している。ガソリン、ディーゼルともに選べるのは嬉しいポイントだ。新型登場後はさらに相場が下がることも期待できるだろう。


価格がピンキリなクラシックミニ




 最後に、MINI以前のクラシックミニの相場を見ていこう。物件の大半は90年代以降のローバー時代のもので、モーリス、オースチン時代のものは非常に限られている。生産時期が新しいものが中心ではあるが、走行距離不明などメーター改ざん車も目立つので注意したい。中古車価格帯は100万円~500万円と幅広く、予備知識なく物件に飛びつくのは厳禁。購入する場合は信頼できそうな専門店に相談してみるのがよいだろう。


今後の相場傾向は?




 過去3世代に渡るMINIは、現在価格が下がって買いやすくなった。そして気になるのは、新型登場による相場の動きだろう。初代、2代目はほぼ底値となっており、新型MINI発売後も大きな変動はないと考えられる。しかし3代目は今後1~2年ほどで相場が下がる可能性が高い。特に200万円台後半の高年式物件が買いやすくなるはず。2021年のマイナーチェンジモデルをねらっている人は、今後の動向に要注目だ。