みなさんから寄せられた投資や経済ニュースに関するさまざまな疑問に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが答えてくださいました。今回は、国債と社債、そして国債の種類についてです。

みなさんから寄せられた投資や経済ニュースに関するさまざまな疑問に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが答えてくださいました。

今回は、債券について詳しく知りたいという方からの質問です。

◆Q. 債券に注目しているのですが、国債と社債、どちらがおすすめでしょうか?

「投資の中では、元本保証の債券が個人的にはいいなと思っているのですが、社債と国債だとどちらがリスク面も含めて良いのかで悩みます。また、国債も『個人向け国債』と『利付け国債』があると聞きました。どちらも10年満期みたいなのですが、どう違うのでしょうか?」(STさん)

◆A. 「それぞれ良し悪しがありますが、低金利で社債を買うメリットはあまりないと思います」(深野さん)

企業が資金調達のために発行する「社債」より、国が資金調達のために発行する「国債」の方が安全性が高い分、基本的には金利が低いです。逆に社債の方が安全性は国債より低い分、利率が高くなっています。また、国債は、一般的に定期的に発行されますが、社債は不定期に発行されます。

ですので社債は「買いたいときに買えない」というのが、少しネックになるでしょうか。社債は新規に発行されることが多いので、新規発行の情報をいかに得るかが、優良な社債を買うポイントだと思ってください。

国内の社債に限った話になるのですが、例えば株式や債券を新規で上場させる場合、必ず幹事証券会社(※)が入ります。社債の場合は大体、野村證券やSMBC日興証券、JPモルガン証券などの大手証券会社がほぼ主幹事になっています。ですから、新規発行される社債の情報は、こういった主幹事になっている証券会社のホームページで告知されていますので、チェックするとよいでしょう。

※企業や政府が新しい株式や債券を市場に出す際に、その発行全体の調整と主導する会社

あるいは、SBI証券やマネックス証券などは、SBI債やマネックス債といった自社の社債を出す場合があります。こういった証券会社のホームページをのぞいてみるのも一策だと思います。

基本的に社債は、金利が固定金利ですので、金利が高いときに買わないと、あまりメリットはありません。途中で売ることもできますが、なかなか売却益を得るのは難しいでしょう。ですので、社債を購入するのであれば、満期まで寝かしておいてもよいお金で買うのがいいと思います。

続いて「個人向け国債」と「利付け国債」についてですが、厳密には利付け国債は「新窓販国債」といわれています。新窓販国債は購入が額面5万円からですが、個人国債は1万円から購入することができます。

また、ともに10年ものがありますが、金利のつき方が違います。新窓販国債10年は、金利が満期まで変わりません(固定金利)が、個人向け国債(変動10)は半年ごとに金利が見直される変動金利になります。

今の場合ですと、金利が上がっていないため、新窓販国債を買うと低金利のまま10年間固定されてしまいます。ですので、もし今購入を検討されているのであれば、半年ごとに金利が見直される、個人向け国債の変動10の方がいいでしょう。

ただし今後、金利が上がってきたら、新窓販国債10年を買うのが一番理想的です。金利のピークで買えば、高い金利を10年得ることができますから。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

文=All About 編集部