本拠地『サン・マメス』で無類の強さを誇るビルバオイレブン [写真]=Getty Images

 アスレティック・ビルバオは29日、『サン・マメス』にて40年ぶりとなる“悲願”への挑戦権を手に入れる戦いに臨む。入場者数はクラブ史上最多を更新する見込みだ。

 コパ・デル・レイ(国王杯)歴代2位となる通算23度の優勝を誇るアスレティック・ビルバオ。“バスク純血主義”を掲げながら、94年前に創設されたラ・リーガにおける2部降格経験のない3クラブのひとつだ。近年はサッカー界のグローバル化に伴い、レアル・マドリード、バルセロナとリーグ優勝を争うほどの戦力均衡を保てなくなっているが、こと一発勝負の国王杯に関しては違う。1983-84シーズン以降は優勝から遠ざかっているものの、その間に6度ファイナリストとなっているのも事実。直近では5シーズン連続となる4強入りを果たしており、とりわけ2021-22シーズンはラウンド16でバルセロナを、ラウンド8でレアル・マドリードを退けていた。

 そして29日、40年間で7度目の決勝進出を懸けた準決勝セカンドレグのアトレティコ・マドリード戦を控えている。敵地で1-0の先勝を収め、1点のアドバンテージを有する、そんな本拠地『サン・マメス』での一戦は、クラブ史上最多入場者数を更新する見込みとのこと。スペイン紙『アス』によると、2013年に閉場した旧スタジアムに隣接する形で作られた現スタジアムでのクラブ主催試合では、昨年4月のオサスナ戦(国王杯・準決勝セカンドレグ)で記録した51544人の入場者数が歴代最多となっているが、アトレティコ・マドリード戦は52000人を超える可能性があるという。かつて、2018年5月に行われたラクビーの国際大会で52000人越えを記録したものの、サッカーの試合では未踏の数字と報じている。

 元々、バルセロナやレアル・マドリードでさえも勝つのが難しいと畏怖されてきたのが、『サン・マメス』のアスレティック・ビルバオだ。“ラ・カテドラル(大聖堂)”の異名で同スタジアムが呼ばれる通り、敬虔なビルバオニスタたちの賛美歌が殷々とこだまする雰囲気は荘厳で、ある種の狂気じみたものを対戦相手は感じるのだろう。それは、今シーズンの数字にも顕著に現れている。ここまで公式戦32試合20勝7分5敗のうち、ホームでの成績は15試合12勝2分1敗。さらに、直近は9連勝中かつ、ホームのリーグ戦で挙げた34得点はトップの数字である。まさに、地の利を生かした戦い方を熟知しているのだ。

 引き分け以上で、“ラ・カルトゥーハ”への扉が開くアスレティック・ビルバオ。52000人越えが見込まれる『サン・マメス』が、その背中を後押しする。