みなさんから寄せられた投資や経済ニュースに関するさまざまな疑問に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが回答します。今回は、インカムゲインを得たい場合、どの金融商品がおすすめかについてです。

みなさんから寄せられた投資や経済ニュースに関するさまざまな疑問に、ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが答えてくださいました。

今回は、投資で配当金を狙いたいと考えている方からの質問です。

◆Q. インカムゲインを狙いたいのですが、どんな金融商品が適していますか?

「配当によるインカムゲインを狙う場合、株式、投信、ETF、債券の使い分けをどう考えればよいでしょうか?」(kknmtsさん/48歳/会社員)

◆A. 「インカムゲインを得たいのであれば、株式やETFなどでしょうか」(深野さん)

もし、新NISAを活用してインカムゲインを狙いたいと考えるのであれば、投資信託(投信)はやめた方がいいと思います。投資信託の場合、商品によっては投資元本を返却する「特別分配金(元本払戻金)」が出るケースがあります。

特別分配金は非課税になるため、運用益に課税されない新NISAで買ったとしても、あまりメリットがありません。それよりも、インカムゲインを狙うのであれば、株式やETF(上場投資信託)を買った方が、メリットが大きいと思います。あるいはREIT(不動産投資信託)を入れてもいいかもしれません。

債券に関しては新NISAの対象ではなく、残念ながら国内債券は大したインカムゲインは期待できないでしょう。金利が高くなってきたら、円預金をする代わりに、個人向け国債や新窓販国債を買うのはありだと思います。

しかし、現時点でそれなりのインカムゲインを得たいとなると、外国債券(外債)しかないと思います。外国債券の場合は為替によって収益が変わってしまいますから、そのあたりをどう考えるかですね。

為替のリスクまで考えた上で購入するのであれば、米国債も一つの選択肢になるでしょう。今、米国債10年で4%ぐらいの利回りですから、仮に100万円投資した場合、為替を考えなければ4万円のリターンが得られますよね。ただし、残念ながら債券は、新NISAでは買うことができませんので、その点は留意してください。

一方、もしご相談者が「資産を増やしたい」と考えるのであれば、インカムゲインが得られる金融商品は、あまりおすすめではありません。インカムゲインというのは、単利の概念になりますので、その年に入ってきたお金を再投資しない限り、基本的にお金は増えていきません。

ですので、資産運用の目的をしっかり考えた上で、投資する商品を選んでいただくと、なおよいと思いますね。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

文=All About 編集部