女優の菅井友香と中村ゆりかがW主演を務め話題を呼んでいる、ドラマ『チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ』(テレビ東京ほか 毎週月曜26:35~)。ゲーム開発会社サイバーコネクトツーを舞台にした漫画『チェイサーゲーム』のドラマ化第2弾として企画された同作は、原作にはない設定とオリジナルストーリーで構成され、ダイナミック・ドリーム社で働く春本樹(菅井友香)と、プロジェクトの上司として中国からやってきた元恋人の林冬雨(中村ゆりか)の愛憎を描いていく。

テレ東ドラマでは初となるレズビアンを主役にした作品で、実際にレズビアンの方による監修のもと脚本を一から制作。昨今注目を集める「LGBTQ+」「労働問題」「ハラスメント」など、社会課題にも鋭く切り込んだ「恋愛×仕事」ドラマの新境地に挑んだ菅井と中村は、撮影の中で絆を育んでいたそう。W主演の2人にインタビューした。

  • 菅井友香、中村ゆりか

    左から菅井友香、中村ゆりか 撮影:友野雄

  • 菅井友香、中村ゆりか

ドラマ『チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ』でW主演を務めた菅井友香&中村ゆりか

――今作の話を聞いた時の感想を教えてください。

中村:すごく嬉しかったというのが率直な思いです。取り組んだことのないストーリーだったので、楽しみにしていましたし、携われて幸運な気持ちでした。

菅井:最初に中村ゆりかさんとW主演で出演させていただけると聞いて、本当に驚きましたし、光栄で嬉しくて。私は約7年ぶりのドラマ出演になるので、本当に緊張と「頑張ろう」という色々な思いが入り交じった瞬間でした。

  • 菅井友香

――作品のテーマにプレッシャーなどはありましたか?

中村:ハラスメントやレズビアンの恋愛模様、ゲーム業界の話、家族の話も出てくるので、色々な要素が含まれていて。ドラマ的には伝えたいこともたくさんあり、とても大きな挑戦になるのかな、大事にしたいなという気持ちでした。正直、プレッシャーに感じることはなかったんですけど、色々な問題に向き合いながらしっかり取り組んでいけたらという思いで撮影に挑みました。

菅井:最初に企画のお話を聞いたときに「見えないものを見せていくドラマにしたい」と伺いまして、私自身もまだ色々な社会問題に対して、わかっているようで学んでいかなければいけないこともたくさんあるというのが、樹を演じて感じたことでした。このドラマを通じて私自身も学ぶことがありましたし、しっかりと向き合っていきたいなと思いました。

――お二人から見てご自身が演じる役にはどんな印象を受けましたか?

中村:私の役はけっこうきつくて。タイトルにも入っている通り、パワハラという社会問題がテーマにもなっており、まさに“パワハラ上司”というのが私の役。そんな役をやるのも初めての経験だったので、どういうイメージでやろうかとは考えていましたが、台本のセリフがきついから、淡々としてるだけでもパワハラ上司に見えてくるところはありました。元恋人の樹と出会って、復讐心で自分の思い通りに動かそうとする女性像だと思ったんですが、私は正反対なので、冬雨の性格も理解しながら演じることはできたのかなと思います。そういう役柄をできるのが役者の特権だったりもしますし。でも伝えたいのは「パワハラしちゃダメだよ」ということなんです。

  • 中村ゆりか

菅井:樹はゲーム会社でリーダーとなり、一生懸命仕事をしている女性なんですけど、恋人だった冬雨のことをずっと思っていて。それから両親がいなくて祖母に育ててもらっていたということもあって、あまり見せないけれど寂しさはずっと抱えていたのかなと、バックグラウンドも想像しながら演じていました。私もグループでリーダーを務めていたこともあったので、樹の立場や正義感の強さから誰かをかばおうと空回りしちゃうシーンには「わかるなあ」と共感できました。

キスシーン前のケアも「さらけ出してた(笑)」

――今回お二人は元恋人同士ということで、コミュニケーションのために心がけたことなどはありましたか?

中村:役のためというよりも、日々一緒の空間でラブラブしてた感じです(笑)。本当に他愛もない話をしたりリラックスしたりとか、すごく相性が合って。

菅井:一緒のシーンも多かったので、撮影の合間にお話ししたり、写真を撮ったり、すごく心地いい空気感でした。柔らかく自然体でいられる空気感で、不思議だなと。

  • 菅井友香、中村ゆりか
  • 菅井友香、中村ゆりか

――実は上司役の中村さんの方が年下なんですよね。

中村:上司ぽかった?

菅井:冬雨として迫力もあったし、緊張感のあるシーンもあって、「上司だ〜」って(笑)

中村:「上司だ〜」だったんだ(笑)

菅井:役者さんとして先輩なので、先輩だと思ってやらせていただいています!

中村:こちらこそ!

――菅井さんは櫻坂46のキャプテンでしたが、中村さんから見てリーダー感はありましたか?

中村:感じました。撮影が終わるとふにゃーんとなってるんだけど、寄り添ってくれたり、包み込んでくれたりするところにいいリーダー感があります。周りを見ている感じも伝わってきて、樹という役と、今までリーダーとして活動してきた姿が重なっているように感じとって心強かったです。

菅井:照れますね……。

中村:褒め合い(笑)

  • 中村ゆりか
  • 中村ゆりか

――キスシーンはドキドキでしたか? それともイケイケでしたか?

2人:(笑)

中村:お互いシーンを通して好きな思いがどんどん強くなって出て来ているので、感情移入し合っていたのを感じました。菅井さんも、たかぶるシーンや感極まるシーンで、テストの状態から涙があふれてたんです。それを見た瞬間に、自分たちの色々な背景に思いをめぐらせてお芝居に向き合って来たことが伝わって、私も感情を乗せていけたというか、助けられました。キスシーンも「はい、準備」じゃなくて、流れのままにできたのがいい瞬間で、よかったなと思います。

菅井:冬雨の方から来てくれることも多かったので、そこでぐっとなって……いろんな思いを受け取らせてもらえて、気持ちが高まったし、純粋に樹としてすごく愛おしいと思いました。あとは「顔が綺麗だなあ」と思いながら(笑)

  • 菅井友香
  • 菅井友香

中村:長時間撮影をやってるとメイクが崩れてくるから、至近距離で毛穴が見えるのは恥ずかしいし、チューする前に「何食べてたかな……」と気になることもありました。お互いエチケットを守って、目の前でミンティアを食べて、だんだん気にしなくなってた(笑)

菅井:なつかしい! 今思うと、こっそりするものなのに、お互い目の前でケアしてました(笑)。すごく楽しかったです、心を許せて。

中村:さらけ出してた(笑)

■菅井友香
1995年11月29日生まれ、東京都出身。2015年に欅坂46(現:櫻坂46)の1期生オーディションに合格し、2017年にキャプテンに任命される。2022年に同グループより卒業し、女優としての 主な出演作にドラマ『徳山大五郎を誰が殺したか?』(16年)、『残酷な観客達』(17年)、舞台『飛龍伝2020』(20年)、『赤ひげ』(23年)など。

■中村ゆりか
1997年3月4日生まれ、神奈川県出身。2012年に女優デビューし、連続テレビ小説『まれ』(15年)出演などで話題に。近年の主な出演作にドラマ『部長と社畜の恋はもどかしい』『真相は耳の中』(22年)、『波よ聞いてくれ』『インターホンが鳴るとき』『女盛り考察記』(23年)、映画『劇場版 きのう何食べた?』『地獄の花園』(21年)、『夜、鳥たちが啼く』(22年)などがある。