パリの旧車祭り「レトロモービル」の会場から|まずは全体の雰囲気をお届け

48回目を迎えたレトロモービルが2024年1月31日から2月4日まで、フランス・パリのポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場で開催された。オークションから始まったパリの旧車祭りはいよいよ佳境を迎えた。レトロモービルはオーナーズクラブなどのミーティングからパーツやミニカー、コレクションの販売まで、車に関するイベントが各種あり、ここ数年ではメーカーが本気でブースを構えて”レトロ”というイベントながら新車を発表したりする大イベントである。見本市会場のホールをいくつも使って開催されているその雰囲気をまずは読者の皆さまにも味わってもらえればと、さらっと回った会場を紹介する。

【画像】まずは駆け足でクラシックカーの祭典、レトロモービルの全容を紹介(写真35点)

入場して最初に通過するのはパーツ屋アクセサリーのコーナーだ。パーツやマニュアルのほか、カーワックスなどメンテ用品を実演販売などして賑やかに迎えてくれる。そこを抜けるとカーメーカーのブースになる。今年はMG100周年ということでMGがずらりとならぶ。これは次回に紹介するとして、フレンチブルーのルノーのブース。ルノーがかつて世界記録を築いた車とルノー製のエンジンを積んだ飛行機コードロン・ルノー・ラファールC.460のレプリカが展示された。

その片隅にはプロジェクトMute the Hot-Roadが展示された。これは1924年に起きたプロジェクトを継承するもの。しかし、オリジナルのパーツは100年を経過しており、完全な復元は不可能と判断して電動ホットロッドにしたもの。電動化を推し進めるフランス国家の息のかかったメーカーらしいプロジェクトだ。ちなみに、電動化を進める中で「電動車ならパリ市内の駐車や充電は無料」として始まったものの、現在では電動車の駐車料金の割り増しや、電気スタンドは当然有料化され価格は徐々に上がり、場所によってはガソリンより高いという状態になっている。オリンピック招致の頃には期間中メトロは無料と言いながら、今では通常の倍の価格に決定したフランスらしいやり方か。

今回のレトロモービルにはプジョーとシトロエンが不参加だった。そんな中、チェコのスコダが参加し、現行車とともに110 OHCクーペが展示された。

メーカーブースを抜けると今度はヨーロッパのカーディーラーのスペースだ。昨年のレトロモービル終了後から1年の間に用意した今年のコレクションが展示されている。フェラーリワークスに初のル・マン優勝をもたらしたモデル、フェラーリ375や250GTO、206 S ディノ スパイダーなど深紅に染まったブースを抜けると、レトロモービル会場では見慣れたといっても過言ではないベントレー4 1/2リッターを見つけた。ピカピカに磨き上げられてはいるが何かおかしい… いつもベントレーを見ると”でかい”という印象なのに、このモデルを見るとそんな感じがしない。なんと85%のスケールでスタイルを再現した、完全な電動カーなのだ。もちろん新車で、現在ではヨーロッパ、アメリカで認可が下りて公道を走らせることができる。ベントレーのお墨付きによって日本で認可が下りればベントレーのディーラーで購入可能だと担当者は話していた。85%のスケールダウンが現代の道路で走らせやすいサイズなのは間違いない。

会場のホールを繋ぐ渡り廊下では「パリダカ」をテーマにした展示が行われていた。1978年の第一回目のレースに参戦した、パリダカ史上最も古い車として1926年のルノーKZ 10 CVが展示されている。1980年に参加したベスパや1988年に参加した日本初の4駆三菱PX33にカスタマイズされたパジェロも展示。ここでも最後にはアウディe-tronパリダカモデルと電気自動車で締めくくった。

この廊下を渡ったホールにはこのレトロモービルのメインスポンサーであるアーキュリアルのオークション会場となる。このオークションのお話も次回に。

その隣のホールは各クラブ、そして2万5000ユーロで買える旧車販売コーナーだ。円安で換算すると400万になってしまうが、こちらの感覚では「300マンであなたもエンスージアスト」的な感覚だ。諸々価格が高騰する中、この金額での販売も厳しいのかちょっと販売された車両のバラエティも少なめで車種も限られていた。ぐるっとレトロモービルを廻って、熱くなってここでちょっとがんばれば買えちゃうという流れはなかなかのもの。

早足でレトロモービルを紹介したが、その雰囲気はぜひ写真をご覧いただき感じて頂ければと思います。次回は会場の中でMG100周年を中心に英国車を見ていこうと思います。お楽しみに。

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI