クルマ作りを本業とする日産自動車が、ついにロボット開発に乗り出した。運転中の子守りを支援するロボットで、その名は「INTELLIGENT PUPPET イルヨ」だ。コンセプトモデルの発表会には南海キャンディーズの山里亮太さんが駆け付け、イルヨの性能をチェックした。
親子のドライブに潜む「チャイルドシートの壁」
日産は赤ちゃん本舗と共同で、「赤ちゃんとのお出かけを通した思い出作りのサポート」を目標に2022年からさまざまな取り組みを行ってきた。日産 常務取締役の神田昌明さんによれば、取り組みを進める中で「親子2人きりでドライブする際に生まれるチャイルドシートの壁」という課題が浮かび上がったそうだ。
日産らが行ったアンケート調査によれば、「ドライバーとお子さまのみでドライブする頻度」という設問に対し「週に1日以上」と答えた人の割合が6割を超えた。
さらに、「ドライバーとお子さまのみのドライブでの悩みや困りごと」については、8割以上が「泣いたりした時にあやせない」と回答したという。
こうした悩みの背景として神田さんは、「従来1~2カ月未満と規定されていた後部座席の後ろ向きチャイルドシートの使用が、2023年9月の道路交通法の改正によって生後15カ月までに変更されたこと」を挙げた。
親子2人きりでのドライブという環境では、後部座席で後ろ向きに座っている赤ちゃんの様子を見ることができない。また距離が離れているため、泣きだしたとしてもあやすことは困難だ。
アンケートでは9割以上が「後ろ向きチャイルドシートで赤ちゃんの様子や表情がわからずに不安を感じたことがある」と回答していることからも、深刻な問題であることは明らかだろう。
音声を認識してロボットが子どもをあやす?
「チャイルドシートの壁」の解決案として日産と赤ちゃん本舗が共同開発したのが、子守り支援ロボットのコンセプトモデル「INTELLIGENT PUPPET イルヨ」だ。
後部座席に設置する「イルヨ」と、運転席横のドリンクホルダーに設置する「ベビーイルヨ」の2体で構成されるイルヨ。開発にあたっては、実際に赤ちゃんのいるユーザーに実証実験に参加してもらい、その声をフィードバックしながら熟成を進めてきたという。
イルヨのキモにもなっているのが日産のセンシング技術だ。
そのひとつが音声認識技術で、ドライバーが「ベビーイルヨ」に特定の言葉を投げかけることで後部座席の「イルヨ」が反応する。現状では「いるよ」「いないいない、ばあ」「こっちだよ」「お歌を歌うよ」の4つの言葉が認識できるそうで、認識したそれぞれの言葉に応じて「イルヨ」が手を振るなどのアクションを行い、チャイルドシートに座る赤ちゃんをあやしてくれる。
もうひとつはカメラ検知技術。こちらは後部座席に備えつけたカメラが赤ちゃんの表情の変化を検知し、認識した赤ちゃんの表情と「ベビーイルヨ」の表情を連動させることで、前席から後ろを振り返ることなく赤ちゃんの状況を把握できるという仕組みだ。
南キャン・山ちゃんがイルヨの機能を体験!
今回の発表会には、「クルマと赤ちゃんのいる暮らしプロジェクト」の宣伝部長に任命された南海キャンディーズの山里亮太さんがゲストとして登場した。
1児の父親でもある山里さんは、子どもとのドライブの際にいろいろな悩みがあったと自身の経験を振り返った後、用意された日産の軽自動車「ルークス」に乗り込み、イルヨの性能を体感した。
デモンストレーションを終えた山里さんは、「後ろの様子がわかるので安心できるし、多分、子どもも楽しいと思います。技術の進歩は本当にすごいですね。これからもっといろんなことができるようになりそうですね」とやや興奮気味に感想を述べていた。
なお、イルヨはコンセプトモデルのため、まだ販売などは未定とのこと。その機能を体験できる機会としては、日産グローバル本社ギャラリーとアカチャンホンポ ららぽーと横浜店で「イルヨ特別体験会」が開催される。場所はいずれも神奈川県横浜市で、日程は2月3日(土)と4日(日)が日産グローバル本社ギャラリー、2月10日(土)と11日(日)がアカチャンホンポ ららぽーと横浜店となっている。山里さんも絶賛したイルヨの実力を実際に体験してみてほしい。