今年こそは「英語で仕事をしてみたい」とビジネス英語に挑戦する人も多いのではないだろうか。
ビジネス英語というと、昇進やキャリアアップのためにTOEICのスコアを上げたり、語学学校で会話形式のカリキュラムを学習したりするイメージが強いかもしれない。しかし、AIを活用した英語学習が大きく進化していることを知っているだろうか。
ビジネス英語の最新トレンドと「仕事でつかえる英語」を習得するコツをベルテクス・イングリッシュの近藤真己氏に聞いた。
日本人に多い、英語学習のつまずきと原因
日本人は知識を詰め込むだけで、それを実践して使うことに力を入れてこなかった。それが、英語学習のつまずきにつながっているという。
学校の英語学習では、まず教科書で文法を学び、長文を読み解くことで文法の知識を問われ、英文解釈や文章作成で英語力が試されてきた。
このため、特に20代以上の人は、外国人のネイティブ講師と1対1でコミュニケーションを取る機会が少なかったのかもしれない。その結果、テストで満点を取っても英語が話せない日本人が大量に生み出されてしまった。
重要なのは、学んだ知識を実際に活用するための実践をたくさんすることだという。従来のビジネス英会話でも業界や業種に特化した内容ではなく、広く一般的なコンテンツが主流であるため、実際に仕事で使う英会話スキルの向上につながりにくい。
「仕事でつかえる英語」にするためのポイント
ビジネス英語は、業界や業種、仕事の内容によってビジネスシーンや使用する単語もさまざま。例えば、ITエンジニアが参加するミーティングで使う英語と、製造業の技術者が製品説明をする際に使う英語は大きく異なる。
英語力に自信のないビジネスパーソンは、一般的な日常英会話や、旅行用英会話などの初心者コースからではなく、自身の業務に近いビジネスシーンや専門用語の習得から始め、応用から基礎という順番で学ぶのも1つの学習方法だと近藤氏は話す。
AI解析を活用した、オーダーメイド型学習とは
業界や業種によってビジネスシーンや使用する単語が異なる中で、自身の業務に最適な英語スキル取得の最短距離はどんな学習方法だろう。その答えの一つがAI解析を活用したオーダーメイド型学習だ。
オーダーメイド型カリキュラムでは大きく2つのポイントがある。1つ目は、業界・業種で使われるボキャブラリーを会話形式でテキスト化し、講師と練習できる点だ。
特定の業界や職種に特化した語彙や表現をAIが抽出し、それを取り入れたカリキュラムでネイティブ講師とマンツーマンのコミュニケーションを図り、徐々にスキルを高めていく。
2つ目は、プレゼンなど具体的な実践の場を想定し、クライアントに見立てた講師とともにロールプレイングで実践を積み重ねること。
録音されたマンツーマンレッスンでAIが受講者の会話から使用単語とその頻度、文法パターンや構文を分析し、実際の会話で使用している文法の種類や語彙のレベルなどを把握。その分析結果を踏まえて、ネイティブ講師が学習を効率化するための戦略を立てている。
受講者は自分ではさまざまなことを話しているつもりでも、実際には1~2種類の単純な構文しか使えていない場合が多いという。
まとめ
「リスキリング」と言うと、すべてをやり直したり、新しいものにゼロから取り組んだりするような印象を持つかもしれない。しかし、英会話のリスキリングは、単なる学び直しではなく、人生の選択肢を増やすための有効なスキルでもあり、キャリアをサポートする武器となり得る。
自身の可能性を広げる手段の一つとして、英会話スキルの向上を検討される際は、AIを活用した学習方法も選択肢に入れてみてはいかがだろうか。
取材協力:近藤真己
株式会社ベルテクス・パートナーズ 英会話事業部 ジェネラルマネージャー
2000年情報科学修士取得後、新卒で現アクセンチュアに入社。転職を経て独立後、2014年にセブ留学の経験から留学エージェント「セブ社会人留学」を起業。2017年にベルテクス・パートナーズに参画し「VERTEX ENGLISH」を始動。