アイドルグループ・なにわ男子の道枝駿佑が主演を務めるテレビ朝日系ドラマ『マルス-ゼロの革命-』(毎週火曜21:00~)が23日にスタート。初回の放送を終え、今作の脚本を手掛ける武藤将吾氏と、監督を務める平川雄一朗氏の対談が行われた。
■道枝駿佑ゴールデン連ドラ初主演『マルス-ゼロの革命-』
今作は、道枝演じる謎多きカリスマ転校生・美島零“ゼロ”に導かれた落ちこぼれ高校生たちが、「マルス」という動画集団を結成し、大人社会に反旗を翻していく青春“クーデター”サスペンス。第1話はX世界トレンド1位を獲得した。今作で脚本を手掛けるのは、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(19年)、『家族ゲーム』、(13年)、映画『クローズZERO』(07年ほか)といったヒット作を世に送り出してきた武藤氏。そして演出を手掛けるのは、Netflixドラマ『御手洗家、炎上する』(23年)や『義母と娘のブルース』(18年ほか)、『ROOKIES』(08年ほか)などで知られる監督・平川氏。気鋭のヒットメーカー2人がタッグを組み、混迷の時代を生きる高校生たちを主人公に、エッジの効いた全く新しい青春ドラマを紡ぎ出している。対談は以下の通り。
■初回放送を迎えた心境は?「あまり見たことのないドラマになった」
武藤氏:「青春ドラマ」は『3年A組』以来で久しぶり。今、高校生を書けるのかなと思って書き始めて、企画が固まるまで時間はかかりましたが、結果できたものを見ると平川監督の演出のおかげで、個人的にはあまり見たことのない新鮮なドラマになったなと。すごくメリハリのあるドラマに仕上がっていて、見ていてうれしかったです。放送前はすごく眠かったんですけど(笑)、目がバッキバキになるくらい興奮したというか。役者、スタッフの熱量がいい形で融合してエネルギッシュな作品になったなと思います。
平川監督:オンエアを見て、無事着地したなとほっとしました。編集しながら、この作品は武藤さんの大きな愛で進んでるな、って。武藤さんの熱量を視聴者にどう届けるかという思いで演出を務めました。役者さんたちが、武藤さんの台本を受け止めてどう演じるかということが一番大変だったと思います。「若い人たちが一生懸命頑張ってるドラマは、皆が元気をもらえるんだ」と役者さんに伝えていたので、その思いが少しでも届いていたら。
■カリスマ高校生・ゼロを演じた道枝駿佑の印象は?「ぞわっと鳥肌が…」
武藤氏:最初にキャスティングを聞いたときは、道枝さんのパブリックイメージとかけ離れていたので、自分が思い描いていたゼロとどうやってマッチさせていくのかな、どうひっくり返してくれるんだろうと楽しみでした。ご本人はいろいろと悩んで、監督と一緒に作り上げていったと思うんですけど、僕としては、そういったクリエイティブな部分を抜きにして、皆さんが持っている道枝さん像をひっくり返せるということにワクワクしていたので、第1話を見てガッツポーズというか。皆が知らない道枝さんを表現できたことに喜びを感じました。
平川監督:クランクイン前に、道枝さんと相撲を取ったんですよ。大きいけど、細いし、優しそうだし、どれくらい強いのかなって。負ける気がしなくて(笑)。今はもう相撲を取ろうなんて思わないです。第1話の最後のアテレコのシーンを、道枝くんが自分から「もう1回いいですか」って言い出して撮り直したときに、仕上がりにぞわっと鳥肌が立って……道枝くんは、日々ゼロになっていく。若い子の成長はすごいです。道枝くんを日々見てると僕も頑張ろうと思うし、視聴者にもその頑張りが届くと思います。
■第1話のポイントは?「さりげなくヒントを散りばめている」
武藤氏:どうしてこのメンバーがマルスに集められたのか、國見が最後にマルスのメンバーを見て何を思ったのか。國見は「マルスが復活したのか」というだけではない表情をしていたと思うのですが、何を示すのかは後々明かされていきます。決してあからさまではなくさらっとですが、演出含めてさりげなくヒントを散りばめているので、目を凝らしていただければ。
平川監督:ゼロと國見の対決に何が隠されているのか、考察しながら見ていただければ。僕も気づかなかったような、「えぇ!?」ということがこれから起きますから。1話にヒントを埋め込んでいますが、気づく人はいるかな? 多分、何回見ても気づかないと思います。
■マルスの7人のキャラクター作りへのこだわりは?「一生懸命やりなさい、と」
武藤氏:ゼロは1話の最後の台詞が特にそうですが、カリスマ性や、何を考えているんだろうというミステリアスな部分が、道枝さんのビジュアルと相まってすごく魅力的なキャラクターになっていると思います。あまり饒舌に語るというよりは、何を考えてるのか分からないという部分を大事にしたくて、その対比として、渾一(板垣李光人)が皆の思いを代弁する。視聴者が共感するところは、ゼロに振り回される渾一の心情なのかなって。第2話以降、ほかのメンバーに焦点が当たっていくので、それぞれ散りばめているであろう謎に注目していただきつつ、キャラクター皆を好きになってもらえたらうれしいです。
平川監督:7人のキャラクターを演出するうえで、とにかく若いキャストたちには「一生懸命やりなさい」と。僕が伝えているのはそれだけですね。キャラクターを生きるために必死に役に没入して、なりきって、なんでもいいから爪痕を残せ、一生懸命やってくれと。あとは“ずるさ”。爪痕残すためにはずるさも大事だと思っています。
■今作の見どころは?「考察を楽しんでほしい」
武藤氏:昔は、デジタルやネットの世界と、高校生の青春は敢えて対比で描かれていた部分がありますが、今はどうしても切り離せない時代。ネットという相手の顔が見えないものに接する時代ではありますが、その中で人と人がどう向き合っていくのか、近くにいる存在がどれだけ貴重でありがたいのかという、普遍的なテーマを描きました。その一方でクーデターサスペンスと銘打っているので、学園モノからどんどんスケールが大きくなっていき、マルスたちと國見がどう対峙していくのか、そして1話の最後でゼロがマルスのメンバーを見ながら「この中の誰かがあいつを殺した」と口にしていましたが、その考察部分も頭を悩ませながら作っていくので、どう帰結していくか楽しんでいただければと思います。
平川監督:考察を楽しんでほしいですね。僕も知らない、武藤さんの頭の中にしかない謎が散りばめられているので、追いつくのが大変なんですけど。1話でマルスが「最後まで付き合ってもらうぞ」って言っていて、一体どんな最後になっちゃうんだろうと撮りながら不安を感じました(笑)。いろいろなことを考えながら、感じながら見てもらえたら楽しいんじゃないかなと思います。
【編集部MEMO】30日放送『マルス-ゼロの革命-』第2話あらすじ
スクールカウンセラーの毛利(野間口徹)が校内で違法薬物の原材料となる植物を栽培し、さらには生徒をクスリ漬けにしていたことを世に暴き出すというセンセーショナルな配信で、新生【マルス】として活動を始めることになった美島零=ゼロ(道枝駿佑)率いる7人の高校生たち。大好きだった動画配信者の【マルス】の正体がゼロだったことを知り、驚きとうれしさの中にいる逢沢渾一(板垣李光人)は、貴城香恋(吉川愛)や二瓶久高(井上祐貴)らに【マルス】の過去の動画を見せて”予習”させる。そんな中、配信でゼロが発した「これは宣戦布告だ、必ずお前たちの闇を暴いてみせる」という発言の真意を問う呉井賢成(山時聡真)。するとゼロは1年前に【マルス】が大人の圧力によって活動中止を余儀なくされた過去を明かし、「奴らの闇を暴いて、オレ達が新しい時代を創る」「これは革命だ」と宣言する。革命への第1段階として【マルス】がまずは若者の支持を集めて知名度を上げるべく、ゼロが最初に選んだ案件は、日本新記録を打ち立てるも、殺人未遂事件を起こして陸上界を追われた不破壮志(日向亘)の事件の裏に隠された真相を暴くこと。スポンサー契約を結んでいた会社と金銭問題で揉め、不破が重役の火野武夫(勝村政信)を殺害しようと首を絞める動画が拡散された事件をもう一度検証するため、ゼロ、渾一、そして桐山球児(泉澤祐希)は、同級生である不破の元を訪ねる。しかし、不破は頑なに当時のことを話そうとはしない。やがてゼロたちは、不破の樹立した日本新記録に隠されたある秘密にたどり着き、事件の真相を暴く動画の配信を予告するが……。