不倫相手役・小池徹平の熱演に覚悟決まる

――いろいろな思いを抱えている綾香にとって重要な人物といえば不倫相手役のマサトですが、そのマサトを演じられる小池さんの印象を教えてください。

作品に入る前は、勝手なイメージなのですが、整ったお顔立ちをしているのに、想像がつかないほど、すごいお芝居をしている方という印象でした。何でもできてしまう最強すぎる俳優さんだなとも思っていました。整ったお顔をしている方はイメージを崩さないようにするために、頑張っているイメージなのに、小池さんはそれを守るどころか自ら崩しに行くスタイルでお芝居されるので、他にはいない、唯一無二の存在じゃないでしょうか(笑)。今回の撮影では、マサト役が小池さんで本当によかったなと思うことが何度もありました。渉を演じる伊藤さんには身を任せるお芝居をしているのですが、マサトを演じる小池さんはその逆です。投げてくれればくれるほど、私も受けやすいですし、自分も知らなかったお芝居を引き出してくれるので、小池さんには感謝しかないです。

――“整ったお顔”という言葉が何度か出てきましたが(笑)。

小池さんのビジュアルだからこそ、やばいことをしているシーンでギャップが生まれ、面白さにつながっているのだと思います。そのギャップをぜひ堪能してほしいです! ご本人は「また気持ち悪い役って言われるよ……」とおっしゃっていましたが、そういった役ができる振り幅を持っているってこと自体がすごいので、自信を持ってほしいです(笑)。私も綾香をやると決まったときに、「嫌われたくないな……」と思っていたのですが、小池さん演じるマサトのぶっ飛び具合を見て、「よし! とことん嫌われよう!」という覚悟ができました。吹っ切れたきっかけは小池さんでした。

自分なりの正義をこの役にぶつけている

――今回の作品は鈴木おさむさんの連ドラ引退作品になります。篠田さんが思う鈴木さんの脚本の魅力は?

台詞の一つひとつや言葉のチョイスがすごく面白いなと感じます。これまで見たことがない言い回しや言葉遊びが鈴木さん特有だなと思います。でも、インパクトを残すだけではなく、物語の中に本質を突くような部分があるんです。綾香の「今まで子育てに関わってこなかったくせに」という台詞をはじめ、コメディだけではない、キャラクターそれぞれが個として生きられるようなシーンもちゃんと描かれています。綾香を演じている私自身も切なくなったりと、心が動かされる描写が多いです。ただ面白いだけではなく、言葉の一つひとつが、夫婦の亀裂につながってしまった伏線にもなっているので、いろいろな見方ができるのも魅力だと思います。

――篠田さんは2年ぶりの連続ドラマ出演となり、ファンの皆さまも喜ばれていると思います。最後に、そんなファンの皆さまにメッセージをお願いします。

いろいろなことを経て、誰かに見せられるものに出て、誰かの心に刺さる作品に出たいとずっと思ってきました。自分なりの正義や子育ても含めてやって来たことを、この役にぶつけています。見どころは全部なのですが、綾香の過去が明らかになる第3話には特に注目してほしいです。鈴木さんがオリジナルで作ってくださったストーリーであり、渉との幸せなシーンをはじめ、綾香が不倫に向かってしまった経緯も明らかになるので、共感はできなくとも、より綾香を知れると思います。ぜひ、最後までご覧ください。

  • 篠田麻里子
■篠田麻里子
1986年3月11日生まれ、福岡県糸島市出身。2013年7月にAKB48を卒業後、女優、タレントとして幅広く活躍中。代表作に『後妻業』(19)、『ミストレス~女たちの秘密~』(19)、『笑点をつくった男 立川談志』(22)、『クロステイル ~探偵教室~』(22)など。
■ヘアメイク:菊地弥生、スタイリスト:加藤優香利