東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(毎週土曜23:40〜)で、映画『アイコ十六歳』(83)以来40年ぶりに共演を果たした富田靖子と松下由樹が、当時思っていた率直な気持ちなどを語り合った。

  • 松下由樹、富田靖子 =東海テレビ提供

■由樹に対して思っていたのは「別格」です

――お二人とも『アイコ十六歳』でデビューされましたが、その時のお互いの印象をお聞かせください。

松下:覚えてる?

富田:覚えてる。

松下:当時のオーディションスタイルは全国オーディションだったんです。私は名古屋地区だったんですけど、主役のアイコがなかなか決まらない中、福岡地区から靖子がアイコ役として参加したのが最初の出会いなんです。だからすごく覚えています。すごく注目を浴びた中で靖子はイスに座らなくちゃいけなかったんだよね、あの時。福岡にすごく特別な子がいて、だから来たんだっていう印象でした。

富田:完全にアウェーでした……。おそらく『アイコ十六歳』を作るスタッフの皆さんは東京か名古屋の女の子を選ぶ予定だったんです。でもなぜか最終オーディションでも見つからなくて、なんか風変わりなのが福岡にいるぞとなって呼ばれました。あの時はアウェーな空気感がありました。そして、その後みんなで芝居の練習をして、クランクインもして、その時に由樹に対して思っていたのは「別格」です。

松下:なにそれ?

富田:由樹以外はみんな思っていたと思うけど。『アイコ十六歳』の中で先生が学校に来なくなり命を落とすというシーンがあって、それを報告に来るのが由樹の演じる「りんりん」。その時の弓道場にやってくるシーンをすごく明確に覚えているんだけど、あの時の芝居をスタッフやキャストが見た時に「あっ……別格……」ってみんな思いました。その時からやっぱり同い歳だけど、ある種憧れの存在でもありました。

松下:え〜、それは初めて聞きました。

富田:メンバー全員、「ピーン」と空気が張り詰める瞬間を初めて感じました。

松下:私もすごく覚えてる。そのシーンは台本にセリフがなくて、映像も全部無音のシーンで。それで1人で駆けていって泣き芝居。「よーい、スタート」と「カット」と終わるまでがすごく印象的だった。今でも「よーい、スタート」「カット」がずっと耳に残っているし、あの空気感をすごく覚えてる。でもそんなふうに見られているなんて知らなかった。それまで中学生だった子が急に映画の撮影をしているので、必死だったから。

富田:『アイコ十六歳』の中でもたぶんナンバーワンのシーンだった。

松下:いやいやいや。

富田:でも今だから言うけど、あの瞬間みんなそう思ってたよ。たぶん1発OKだよね?

松下:そう、1発OK。

富田:私の1発OKは田んぼに自転車で突っ込むシーン(笑)。

松下:最高だったよね、最高のシーン(笑)。お見事でした!

富田:あそこで芝居の進む方向性が、なんとなく決まった(笑)。

松下:でも当時から役者はやっていないはずなのに、入り込むというか、気持ちがないと絶対に行けないというのはすごく強かったよね? 靖子の気持ちを本当に待ってくれる周りのスタッフや監督だったと思うけど、普通耐えられないじゃない、待たせるって。

富田:もう耐えられなかったよ〜つらかったよ〜。

松下:でもすごく大変だったけどやり切ったもんね。

富田:実はクラスメートで私の斜め前に座っていたのが、当時中学2年生の佐藤二朗さんだったの。

松下:え〜〜!

富田:その後、夫婦役をやった時に「実は僕の斜め後ろに〜」って。

松下:あの時いたの?

富田:うん、愛知県の中学生だったって。オーディションでメインキャストには選ばれなかったけど、同じクラスメートとして私の斜め前に佐藤二朗さんが座ってた。

松下:鮮明に覚えているでしょうね。

富田:毎回、会うたびに言われる(笑)。

松下:わかる(笑)。当時って色褪せないで思い出すから不思議〜。

【編集部MEMO】第3話あらすじ
年の離れた友人・大地(中島颯太)のお陰で娘・萌(大原梓)の大事にしているものを少しだけ理解した昭和のおっさん・沖田誠(原田泰造)。そんな中、大地から「知り合いの両親に贈るプレゼントを選ぶアドバイスが欲しい」と相談され買い物に付き合うことに。そこで誠は引きこもりの息子・翔(城桧吏)が好きそうなかわいいパスケースを見つける。翔に買って帰れば喜ぶのでは。そう思う誠だったが、店員に声をかけられると勇気が出ずにその場を逃げるように去ってしまい……。そんなある日、仕事から帰宅した誠は愛犬のカルロス(こまち)に元気がないことに気付く。慌てて動物病院に駆け込むと、そこにいたのは大地の母・美穂子(松下由樹)で……。