宮崎県が主催する「宮崎"てげうま"会議」は1月17日、食品廃棄物ゼロなどに貢献するアップサイクルグルメの新商品を発表した。関係者は「伝統食材を未来の食卓につなぐスローフードのご提案です」とアピールする。都内をはじめ全国各地では、そんな新しい宮崎グルメを体験できるイベントも予定されている。

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    「宮崎県"てげうま"会議」が新しい宮崎グルメを紹介

食を土台にした産業の活性化に向けて

「てげうま」とは、宮崎弁で"とても美味しい"という意味。"食"と"農"を通じて持続可能な地方ビジネスモデルを目指す「宮崎"てげうま"会議」では、これまで「みやざきLFP」(Local Food Projectの略)を通じて、地域食資源を活用する新ビジネスの創出に挑んできた。

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    宮崎県発祥の新たなヒット商品

宮崎県東京事務所の深田直彦氏は「農林漁業者、加工・販売業者、観光業者をはじめとする多様な食農関係者と連携し、それぞれの強みを活かしていくプロジェクトが進行しています」と説明する。

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    宮崎県東京事務所 流通物産担当 課長の深田直彦氏

実は宮崎県の食料自給率は24年間、ずっと日本一を維持してきた。深田氏は「県民の皆さんが必要とする食材以上のものが生産されており、東京や大阪などの大都市にもお届けしています。宮崎は一大食料供給産地となっています」と誇る。

しかし一方で、それらを加工した付加価値を高めた商品を出荷するまでには至っていなかった。そこで県では、みやざきフードビジネスをスタート。食を土台にした産業全般をさらに活性化させるべく、異業種との連携も深めてきた。

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    みやざきフードビジネスのフロー

そんななか今回発表されたのは、LFPプロジェクトの中でも注目度の高い「食品廃棄物ゼロ」や「伝統食材」を未来に受け継ぐ商品。その狙いについて、深田氏は「SDGsなど地球環境への配慮が求められる時代であり、また原料の高騰といった課題も解決していきたい。そこで、こうした問題に対応できる商品の開発を進めました」と説明する。

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    みやざきLFPプラットフォームの推進イメージ

令和3年に立ち上がったプロジェクトは「こちらが想定していた以上に、協力してくれる事業者がどんどん増えている状況」(深田氏)とのこと。業界を越えた横のつながりが今後、どんな化学反応を見せるか――。大きな期待がかかる。

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    この日、メディアには新商品を使った料理も披露された。宮崎県が生産量1位を誇る旬の「きんかん」を使ったサラダは、酸味と甘みが良いアクセントになっている

チーズ製造の副産物「ホエイ」でスープ鍋の素など新商品を開発

この日、みやざきLFPに参画する企業からも代表者が登壇した。アリマン乳業は、宮崎県児湯郡の乳業メーカー。代表者の三浦崇氏は、ここ数十年で全国の酪農家の戸数がどんどんと減り続けている現状を憂いた。生乳の生産量も減り続け、飲用取引量も減り続けているという。直近では原材料の高騰も影響し、事業経営は厳しさを増すばかりだ。

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    アリマン乳業 代表取締役 ミルクアドバイザーの三浦崇氏

そんな折、みやざきLFPを利用して新しいプロジェクトを開始する機会を得た。そこで同社が注目したのは、チーズ製造の副産物として出るホエイだった。これまでは食品廃棄物として廃棄してきたホエイを使い、すでに6つの新商品を完成させた。「他業界のメンバーともつながり、今までにない課題解決型の新商品開発がスタートできました」と安堵の表情を見せる。

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    アリマン乳業のスープ鍋の素を使用した「宮崎ブランドポークと彩り野菜のぺろっと食べれるトマト鍋」。トマトベースのスープがとても優しく、ポークと野菜を引き立てる

「乾(ほし)椎茸」を現代人の食卓へ! バーニャカウダにアレンジ

また、地元宮崎で創業100年以上の歴史を誇る乾(ほし)椎茸を扱う岡田商店の岡田光氏は「煮物、お寿司などの和食に使われてきた乾椎茸だが、現代の人の食生活には合っていない」「食べる前に水で戻さないといけないが、忙しく働く現代人には料理をする時間の余裕もない」といった課題を指摘する。

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    岡田商店 常務取締役 だしソムリエの岡田光氏

そこで、みやざきLFPを利用することで「すぐに食べられて」「いまの若い人の食卓にも乗りやすい」乾椎茸を使った新商品の開発に着手した。完成した「森のバーニャカウダ」は、乾椎茸、木桶醤油、発酵大根(たくあん)を使ったもの。バゲットに乗せて食べると美味しい、ワインにも合う、ということで現在は洋食店における展開も視野に入れる。

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    岡田商店の「森のバーニャカウダソース」を使った「森のバーニャカウダソース バゲットのせ」は、気軽に食べられる商品

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    岡田商店の「椎茸パテ」を使った「宮崎県産鶏の椎茸パテソースがけ」。椎茸パテソースは柔らかな肉質の鶏とも相性が良く、味の深さが増したように感じられる

「宮崎県のてげうめー! グルメ」体験イベントが各地で

そんな"宮崎県のてげうめー! グルメ"を体験できるイベントが各地で予定されている。

「ホテルメトロポリタン川崎 宮崎フェア」は1月17日から3月31日まで、ホテルメトロポリタン川崎内のレストラン Terrace and Tableにて開催される。ランチブッフェ・ディナーブッフェにて宮崎の食やアルコールを提供する。

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    こちらはドリンクの例。Hideji九州ラガー(ホッピーラガースタイル: 宮崎ひでじビール)、KIRISHIMA No.8(本格芋焼酎: 霧島酒造)、キャンベル・アーリー ロゼ(ミディアムボディ甘口: 都農ワイン)、飫肥杉 原酒(芋焼酎: 井上酒造)など

「宮崎県参上!!」は1月24日にJR東京駅地下1階(改札内)SQUARE ZEROにて、2月9日から2月11日まで池袋・サンシャインシティ アルパB1催事場にて開催。宮崎県内事業者の商品の販売、観光PR、抽選会を行う。

「ひなたフルーツフェア2024」は1月26日から3月10日まで、宮崎県内、東京、大阪、福岡エリアの約120店舗で開催。飲食店にて完熟きんかん「たまたま」と日向夏を使ったメニューを提供、プレゼントキャンペーンも行う。

「Meeeat Up! MIYAZAKIひなたダイニング」は1月29日から2月29日まで、東京駅、新宿駅周辺エリアの参加店舗(約60店舗)で開催。飲食店でのみやざきブランド食材など県産品を使ったメニューを提供、プレゼントキャンペーンも行う。

期間限定バー「MIYAZAKI SHOCHU POP UP」はカクウチベースPOPUP SHIBUYA(東京都渋谷区渋谷3-21-3)にて3月4日から3月8日まで開催。宮崎本格焼酎の飲み比べ・県内全9蔵を実施するほか、3月9日、3月10日にはゲストバーテンダーによるスペシャル焼酎カクテルを提供する。