──では、将来の目標は? 最年少名人。そして、史上初の八冠完全制覇は可能だと思いますか。

藤井「現時点ではどちらも現実的な目標ではありませんが、もし、これから自分の実力が上がれば最年少名人も八冠も可能性としてはあると思っています。自分は四段になってから、レーティング的に250点くらい上がったと思う。あと250点くらい強くなれれば、その可能性はあると思っています」

  • 竜王戦に勝ち、四冠となった当時の写真。この時、師匠の杉本八段が対局会場を訪れ、序列1位となった責任の重さについてとうとうと聞かせたという。作者の鈴木氏は、これ以降の藤井の口ぶりがはっきりと変わったと感じたという

藤井の話を聞いていていつも感じるのは、「まだ強くなりたい」というぶれない思い。そして、そのためのプランを自分の中で確実に持っているということだ。将棋を覚えた頃の藤井少年は、それこそがむしゃらに将棋を指していたはずだが、それがいつの間にか、将来を見据えて成長し続ける棋士になっている。今でも完璧と思える将棋を指す藤井が、あと250点強くなるとしたら本当に恐ろしいことだ。そこには藤井本人にしか見えていない世界があるのだろう。

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藤井聡太、八冠までの軌跡を加筆

本書は2021年5月に発売された『藤井聡太の軌跡 ~400年に1人の天才はいかにして生まれたか~』に加筆したものです。 『藤井聡太の軌跡 ~400年に1人の天才はいかにして生まれたか~』は棋聖、王位の二冠を獲得したところで終わっていましたが、藤井聡太竜王・名人はそれからも快進撃を続け、ついに前人未到の八冠制覇を成し遂げました。本書では三冠獲得~八冠制覇までの物語を追記しています。岡崎将棋まつりでの伝説の佐々木勇気戦や、小学生時代の詰将棋解答選手権の奮闘などの秘話の数々を紹介しています。

さらに藤井竜王・名人の運命を変えた「ふみもとこども将棋教室」に対して綿密な取材を行い、少年・藤井聡太がどうやって成長していったのか、どのような才能があり、それをどう伸ばしていったのかが克明に記されています。本書は藤井聡太八冠を語る上で必ず参照されるバイブルになることでしょう。Amazonの紹介ページはこちら

『【増補改訂版】藤井聡太の軌跡 愛知の少年はいかにして八冠になったか』
発売日:11月28日
価格:1,080円+税
判型:新書判、216ページ
著者:鈴木宏彦
発売元:マイナビ出版