I Don’t Like Mondays.がJAPANツアーファイナルで魅せた、祝祭感と緻密なアレンジ

5枚目のフルアルバム『RUNWAY』をリリースしたI Dont Like Mondays.(アイドラ)のリリースツアーファイナルが2023年12月2日(土)、Zepp Divercityにて行なわれた。一見、華やかで祝祭感のあるステージだったが、緻密な楽曲アレンジの妙と、彼らの高い演奏技術が凝縮された2時間半でもあった。

SEのなかCHOJI(Gt.)、KENJI(Ba.)、SHUKI(Dr.)が登場。SHUKIの4カウントで演奏がスタートした。オープニング用のアレンジを加えて、アルバムでも冒頭を飾る「Umbrella」から始まった。「メイクサムノイズ!」の声とともにYU(Vo.)が登場すると、満員のフロアから歓声が上がる。2曲目、「WOLF VIBES」でフロアを横に揺らしたかと思えば、ムーディーでメロウな「Mmm...」はしっかりと聴かせる。落ち着いた立ち上がりだ。この日は3曲目まで撮影が許可されており、ここまでたくさんのスマホがステージに向けられていた。

YU(Vo.)

YUの「今年は日本だけでなく世界中回ってきました。飛行機乗りすぎてケツが爆発するかと思ったよ(笑)」というMCを挟み、「Strawberry Night」、「美しき世界」を披露。DJプレイのように前曲のビートを残しつつ繋いだこの2曲はカッコよかった。さらりとこなしてしまう感じも痺れる。続く「Girlfriend」は、4人のコーラスで曲が始まった。サビの前半部分をアカペラでイントロに転用したアレンジだ。既存曲のこうした遊びは、オーディエンスを飽きさせない。

メンバー全員のMCを挟み、次に演奏されたのが「Dynamite」。アルバムでも異彩を放つディスコ・チューンだが、80sの洋楽をルーツに持つアイドラ的にはむしろ王道で、この演奏は前半のハイライトのように思えた。打ち込みのシンセとKENJIのベースが同じ拍で音を鳴らすのがAメロのメインフレーズなのだが、これが、前に出るフレーズではないのに印象に残る。それを4つ打ちで支えるSHUKIのビートは頼もしく、安心して身体を委ねることができる。

KENJI(Ba.)

SHUKI(Dr.)

この曲のキモは、2回目のサビ後の展開がギターソロではないところだと思う。1小節ごとにコードが変わるシンプルな8ビートのセクションに、80年代のテクノのような、キャッチーなシンセがメインフレーズになる。普通ならギターソロを乗せたくなるような展開だが、あくまでも強調するのはビートなのである。CHOJIは一貫してバッキング的な役に回り、ビートに色を添える。このあたりが、アイドラが持つ音楽性の幅広さだ。こんなに簡単に、ロックバンドにディスコをやられたら困る。

CHOJI(Gt.)

ドラマチックなレーザー光線の照明に気を取られていると、アルバムのリード曲「Summer Ghost」が始まった。音源よりも長く尺を取ったアウトロではYUがピアノに向かい、アンサンブルに加わる。アウトロ終わりでYU以外のメンバーが捌け、そのままピアノ弾き語りによる「FEELING」へ。リズムレスで聴くYUのボーカルは、より色っぽい。照明もシンプルにYUを後方から照らすのみの、聴かせる演出だ。

「『RUNWAY』は、コロナから徐々に普通の生活が戻ってきて、改めて僕ららしい音楽を作ってみんなに届けたいと思って作りました。みんなが好きな音楽を聴いて、その音を纏って自分らしい人生を歩んでほしいなと思っています」(YU)

長めのMCを挟んで後半戦。引き続きYUのピアノボーカルスタイルで鳴らされたのは「HONNE」。1コーラス目はピアノ弾き語りで、2コーラス目からバンドインするアレンジに仕上げてきた。音源ではロボットボイスなども入った打ち込み重視の1曲だが、恐らくこの日唯一メンバーの持つ楽器以外の音が入っていない演奏だった。サビで重低音を突き抜けてくるKENJIのスラップが気持ちいい。

YUのラップがふんだんに盛り込まれた「conversation」、メンバー紹介を兼ねたセッションタイムを経て、「特別な夜にしたいと思います」(YU)というセリフのあとに登場したのは、なんと最新シングル「Whats going on?」でコラボしたセリーナ・シャーマ! はるばるロンドンから、ツアーファイナルにやってきてくれた。会場はこの日いちばんの大歓声が上がる(ちなみに、セッションに「Whats going on?」のキメが使われていたので、勘のいい観客は予感できたかもしれない……!)。セリーナの伸びやかで芯のある歌声はさすがのひと言だった。ものすごい歓声を上げるフロアに、メンバーも興奮していた様子。そして、そのまま披露されたのはセリーナのオリジナル曲「24/7」だ。この曲は同じくイギリスの男性シンガー、ハリス・Jとのコラボ曲で、ハリスのパートをYUが歌うというレアな一幕となった。

「ありがとうございます。お疲れ様です!」と、日本語で挨拶しセリーナが捌け、ここからフィナーレに向かう。「Sin City」、「TONIGHT」、「Freaky boy」が立て続けに演奏され、最後までフロアを縦に横に揺らしまくる。

高い演奏力がウリのアイドラだが、とくにこの日、ベースのKENJIのプレイが冴えわたっていたように思う。とくに記者の印象に残ったのは「Sin City」だ。音源ではエレキベースのスラップの音と、打ち込みのシンセベースの両方が録音されているのだが、ライブでもその両方が鳴っているかのように「1人2楽器」を再現していたのだ。遠目からなのであくまで憶測だが、人差し指と親指で持ったピックで硬質なゴリゴリとしたシンセベース的な音を出し、空いた中指or薬指でスラップを行なっているように見えた。これで、アーバンかつファンキーなリズムを生み出すことに成功している。さまざまな音楽性を持つ、アイドラのベーシストKENJIならではの、非常に柔軟な発想である。

本編ラストは「Beautiful Chaos」。「ライブで最後にやりたいと思って作った」というスタジアムナンバーだ。後半に向かうにつれてどんどん大きくなっていくエネルギーが最後に一気に放たれたような、壮大な締めくくりだった。

アンコールで「LEMONADE」が演奏されたあと、誕生日が近いというCHOJIにケーキがプレゼントされる一幕も。「実は今日もしかしたらこういうのあるかもとちょっと思ってた(笑)」(CHOJI)。

そして本日20曲目となるオーラスは「PAINT」。SHUKIのスティックさばきも少し大振りになっているように見え、エモーショナルなプレイに胸が熱くなる。サビでフロアに向けられたマイクに、観客もこの日いちばんの声量で応えていた。

デビュー10周年となる来年、2月の2nd SELECTION TOURの開催も告知された夜。これからアイドラがどんな深みを増してくるのか楽しみだ。

I Dont Like Mondays.

2023 A/W TOUR ”RUNWAY”

2023年12月2日(土)Zepp DiverCity

開場 17:30/開演 18:30

収容人数:2400人

TICKET SOLD OUT

■セットリスト

Umbrella

WOLF VIBES

Mmm...

Strawberry Night(Prod. by ESME MORI)

美しき世界

Girlfriend

Dynamite

Summer Ghost

FEELING

HONNE

conversation(Prod. by DPR CREAM)

Band Session

Whats going on? feat. Celina Sharma

24/7 feat. Celina Sharma

Sin City

TONIGHT

Freaky boy

Beautiful Chaos

ENCORE

LEMONADE

PAINT

I Don't Like Mondays. "2nd SELECTION TOUR"

福岡公演

【日時】2024年2月3日(土) 開場 17:30 / 開演 18:00

【会場】BEAT STATION

〒810-0004 福岡県福岡市中央区渡辺通4-11-4

【お問い合わせ】キョードー西日本

0570-09-2424 (平日・土 11:00〜15:00)

http://www.kyodo-west.co.jp/main.php

名古屋公演

【日時】2024年2月11日(日) 開場 17:30 / 開演 18:00

【会場】ボトムライン

〒464-0850 愛知県名古屋市千種区今池4-7-11 メトロビル

【お問い合わせ】サンデーフォークプロモーション

052-320-9100

http://www.sundayfolk.co.jp/

大阪公演

【日時】2024年2月12日(月・祝) 開場 17:15 / 開演 18:00

【会場】梅田CLUB QUATTRO

〒530-0051 大阪府大阪市北区太融寺町8-18

【お問い合わせ】キョードーインフォメーション

0570-200-888 11:00〜16:00(日曜・祝日は休業)

http://www.kyodo-osaka.co.jp

東京公演

【日時】2024年2月18日(日) 開場 17:15 / 開演 18:00

【会場】ザ・ガーデンホール ※全席指定

〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿4-20

【お問い合わせ】HOT STUFF PROMOTION

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