ABCテレビ・テレビ朝日系ドラマ『たとえあなたを忘れても』(毎週日曜22:00〜)に出演している森香澄。ピアニストになる夢に挫折した美璃(堀田真由)と、記憶障害を抱えながらも懸命に生きる空(萩原利久)の恋を描いたラブストーリーで、森は美璃の音大時代の同期でプロのピアニストとして活躍する衛藤まりあを演じている。26日放送の第6話では、まりあがある秘密を美璃に打ち明けることに……。
森にとって、今年3月にテレビ東京を退社後、初のドラマレギュラー出演となる本作。第1話ではベートーヴェンのピアノソナタをプロさながらのテクニックで演奏するなど多才ぶりも見せた森に、俳優業の感想や役作りについて、そしてフリー転身を機に活躍の舞台を着々と広げている現在の心境を聞いた。
■演奏シーンは「ピアニストを目指していた頃の自分に見せたい!」
――ピアノの演奏があまりにも見事で驚きました。あれは森さんが本当に弾いていたんですよね?
はい、本当に弾いてました!(笑)曲も監督と相談しながら決めさせていただきました。まりあはプロのピアニストなので、美璃が劇中で弾く曲より何段階か難しい曲じゃないと、ふたりの関係がうまく表現できないんですね。なので、ピアノをやったことがない人が見ても“これは難しそう”“プロが弾きそうだな”と思ってもらえるような選曲にして。それを“自信満々に弾くまりあ”をイメージしながらがんばって演じました。
――ピアノの経験は?
3歳から習っていて、ピアニストになりたいと本気で思っていたころもあります。でも、弾くのはかなり久しぶりだったので、この役をいただいてからすごく練習しましたね。人にお見せできるレベルまで持っていかなくちゃいけないし、そもそも曲がすごく難しい。プロらしい魅せ方も研究しました。
――完成した演奏シーンを見て、どんな感想を持ちましたか?
そうですね……ピアニストを目指していたころの自分に見せたい! と。ドラマの役とはいえ、大きなホールでプロとしてリサイタルを開いているわけなので(笑)。
■念願のドラマ出演は「うれしさと不安の半々」
――念願が叶ったといえば、フリーになられた直後から“俳優をやってみたい”とお芝居への意欲を語っておられました。それが叶った感想は?
本当に願ってもないお話で、うれしい気持ちでいっぱいだった反面、私にちゃんとできるのかな?と。思っていたより早いタイミングでドラマ出演のお話をいただいたので、最初はうれしさと不安の半々でしたね。
――アナウンサーとして経験してきた現場と、ドラマの現場とはやはり違う?
まったく違う緊張感がありますね。ドラマでは同じシーンをリハや本番で何回もやるんですが、私がやってきたバラエティー番組では、同じことを何度も繰り返すってあんまりない。バラエティーはその場の瞬発力が大事みたいなところもあって、そこが大きく違うところかなと思います。
――では、撮影の前日などはかなり緊張されたのでは?
もちろん緊張はしますし、“明日は大丈夫かな?”って、頭の中でセリフを何回も繰り返したりもしますけど……とはいっても私、そういう夜もぐっすり寝られちゃうタイプなんですよ。“やるしかないし、もうやっちゃえ!”みたいなところがあって(笑)。アナウンサーをやってきて、生放送のような“もうやるしかない場面”をそれなりに経験してきたこともあって、そういう度胸は結構養われているのかなと思います。
■第6話ではまりあが“抱えているもの”が明らかに
――ドラマも中盤。5話では空の記憶障害の原因となった過去のある出来事が明らかになるなど物語が大きく動きましたが、まもなく放送される6話はどんな展開に?
まりあのことでいえば、ある秘密を美璃に打ち明けます。まりあは人もうらやむ華やかな人生を送っているように見えるけれど、実は心にずっと抱えているものがあって、順風満帆に歩んできたわけではなかったことが見えてくる。まりあの人間らしい部分が見えることで美璃の感情が動いて……というシーンがありますね。
――1話で感じられた美璃とまりあの微妙な距離にも変化が現れる?
そうですね。この作品ってラブストーリーであると同時に、人の心を細やかに描いた人間ドラマでもあるんですよね。登場人物のちょっとした感情の動きだったり、ふと感じる違和感だったり、誰にでもある日常の思いがとても丁寧に描かれているなと思います。それを演じるために、自分の普段の心の動きを観察するような目線も大事だと思って、最近はふとしたときに、“今、私は何を感じているのかな?”と考えてみることが増えましたね。