JR東日本の上野駅とJR北海道の小樽駅は、駅舎が似ていることや、青函トンネルの開業により1本のレールで結ばれたことから、親交を深めるため、1989(平成元)年に姉妹駅として提携調印した。今年は上野駅開業140周年、小樽駅開業120周年の節目の年にあたる。

  • 小樽駅長から上野駅長へパンダのぬいぐるみが手渡される

姉妹駅締結の際、両駅の「友好の象徴」として上野駅から小樽駅へ贈呈されたパンダのぬいぐるみが、節目の年に34年ぶりに上野駅へ「里帰り」した。これを記念したイベントが開催され、上野駅長の齊藤裕司氏(国鉄時代から数えて42代目)、小樽駅長の伊藤美由紀氏(JR北海道発足から数えて14代目)が、上野駅中央改札外のイベントブースでトークセッションを行った。

■「堂々たる駅」の共通点は?

上野駅も小樽駅も、似たような形の駅舎である。自らが駅長を務める駅について、小樽駅長の伊藤氏は「小樽市の玄関として堂々たる駅となっています」、上野駅長の齊藤氏は「歴史を大切にしながら街に溶け込んだ駅です」と説明する。いずれも当時としてはモダンな駅だったという。

両駅は石川啄木の歌碑があることでも共通している。上野駅の15番線に「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」の歌碑、小樽駅の駅前には「子を負ひて雪の吹き入る停車場にわれ見送りし妻の眉かな」の歌碑がある。石川啄木の義兄(姉の夫)が小樽駅の初代駅長を務めていたことで、啄木に小樽との縁が生まれたと小樽駅長の伊藤氏は語った。

  • 上野駅長と小樽駅長のトークセッション

  • 上野駅長の齊藤氏がパンダのぬいぐるみを抱っこする

  • 両駅長による記念のフォトセッションも行われた

  • パンダのぬいぐるみをはじめ、姉妹駅調印の際の記念品を展示

1989年、両駅が姉妹駅になった際、小樽駅のホームで調印式が行われた。上野駅長の齊藤氏は、当時、寝台特急「北斗星」が人気だったことを振り返り、「皆様から愛された寝台列車でした」と懐かしそうに話していた。ちなみに、今年は青函トンネル開業35周年の年でもある。

■両駅の絆がさらに深まる

小樽駅長の伊藤氏がパンダのぬいぐるみを手渡す際、「ニコニコしているように見えます」とコメント。上野駅長の齊藤氏は、「喜んで」と受け取った。その上で、「これまで以上に絆を強くして歩んでいきたい」と抱負を述べた。

  • 小樽観光協会が小樽の魅力をPRしていた

なお、パンダのぬいぐるみは「里帰り」を終えた後、小樽駅に戻るとのこと。パンダのぬいぐるみの他に、小樽駅の模型なども展示された。今回のイベントに合わせて、小樽観光協会はPRブースを設置し、上野駅を通る人々に小樽の魅力をPRしていた。