遠州鉄道は、10月31日付で国土交通省中部運輸局宛に鉄道事業の旅客運賃上限変更認可申請を提出したと発表した。あわせて設備投資実績・計画も発表しており、車両更新について「次世代型への変更も具体的に検討」するとしている。

  • 2021年に導入された2000形2008号編成。LED式の行先表示器を採用している

「赤電」の愛称で親しまれる遠鉄電車は、静岡県浜松市を南北に走り、新浜松~西鹿島間17.8kmを結ぶ。電車は計28両(2両編成×14編成)を有し、通常は2両固定編成、朝および夕夜間のラッシュ時は4両編成で運転。12分ヘッドのダイヤで比較的高頻度の運行を維持している。

現行車両は1000形と2000形の2形式。1000形は1983(昭和58)年から1996(平成8)年まで製造され、遠鉄電車のスタイリングを一新した。2000形は1999(平成11)年から製造され、1000形の車体デザインを踏襲しつつ、省エネルギー化とメンテナンスフリーを実現した車両。近年も増備が続いており、2018(平成30)年に2007号編成、2021(令和3)年に2008号編成が導入された。これにともない、2018年に30形(モハ25号・クハ85号編成)、2021年に1000形の1001号編成が引退している。

遠州鉄道は老朽化した車両の置換えと省エネルギー化等を目的として、定期的に車両を更新してきた。信頼性を高め、輸送の安全性向上を図るとともに修繕費を抑制し、消費電力も抑えられるという。定期的な車両更新で投資額を平準化でき、経営の安定化にもつながると説明する。

その上で、現有車両に関して、基本的な構造設計が作られてから長い時間が経過していると説明。今後はさらなる安全確保と省エネルギー化を図るべく、次世代型への変更も具体的に検討し、車両更新を進めていくとのこと。なお、省エネ型車両への転換の検討も含めた車両更新等の投資に加え、2028年度まで継続する第I期高架橋耐震補強工事、駅のバリアフリー化、さらに物価や電気料金の高止まりも見込まれ、人手不足時代の中で従業員の処遇改善も必要不可欠となることから、必要な安全投資を適正に実行し、快適な輸送水準を維持するため、旅客運賃改定の申請に至ったとしている。