世間では共働きが一般的になり、仕事と家庭の両立に四苦八苦しているご家庭は多いと思います。そんな状況を乗り切る手段の一つとして「家事の外注」があります。しかし、家事の外注には抵抗があるという声もあり、特に金銭的な面で利用をためらっている人は少なくないでしょう。そこで、家事を外注するにはいくらかかるのか、どのくらい利用しているのかなど、家事代行サービスの利用状況についてお伝えします。また、「家事代行を頼むならいくら稼げばいいのか」の問いにもお答えします。

  • 家事代行を頼むならいくら稼げばいい?

    家事代行を頼むならいくら稼げばいい?

家事代行サービスいくらかかる?

家事代行サービス4社の料金設定をみてみましょう。

*CaSy(カジー)

掃除代行: 1時間2,790円〜(税込/交通費別)
料理代行: 1時間 2,790円〜(税込/交通費・食材費別)

*ベアーズ

定額プラン: 3,800円×3時間+消費税(交通費990円 隔週〜)
スポットプラン: 4,600円×3時間+消費税(交通費990円 1回きり)

*ミニメイド・サービス

カジュアルプラン: 1時間あたり4,158円(2時間8,316円(税込)~、月2回以上、交通費別)
プレミアプラン: 1時間あたり4,884円(2.5時間1万2,210円(税込)~、月2回以上、交通費別)
エグゼクティブプラン: 1時間あたり5,940円(3時間1万7,820円(税込)~、毎週、交通費別)

*エイド

定額コース: 1時間あたり3,300円(2時間6,600円(税込)~、月2回以上、交通費別)
スポットコース: 1時間あたり4,400円(2時間8,800円(税込)~、交通費別)

1時間あたり3,000~4,000円程度の料金設定が多いようです。この他に交通費がかかります。時間は2時間あるいは3時間から利用できるケースがほとんどで、1回きりよりも継続的に依頼する方が料金は安くなっています。

実際、利用している人はどのくらいの頻度で利用しているのでしょうか。

家事代行サービスどのくらい利用している?

株式会社野村総合研究所が調査した「平成29年度 家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究」から、家事代行サービスの利用状況をみてみましょう。

家事代行サービスの利用率

家事支援サービスを「現在、利用している(1.8%)」、「過去に利用していたことがある(4.7%)」をあわせた利用経験者の割合は6.5%となっています。「サービスは知っているが、利用したことがない」が最も多く77.7%を占めます。利用率は非常に少ないことがわかります。

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    家事代行サービスの利用率 出典: 野村総合研究所「平成29年度 家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究」

家事代行サービスの利用金額

家事支援サービスを利用している/していた人に、1回あたりの利用金額を聞いています。最も多い回答が「9,000円以上」で32.4%、次いで「3,000円以上5,000円未満」で20.2%となっています。家事支援サービスは1回2~3時間の利用が多いので、このような金額になることが推測されます。

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    家事代行サービスの1回あたり利用金額 出典: 野村総合研究所「平成29年度 家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究」

家事代行サービスの利用頻度

家事支援サービスの利用頻度についての質問では、最も多い回答が「上記(1ヶ月に1回程度)以下の頻度、もしくはわからない」の46.3%、次いで「1ヵ月に1回程度」の20.8%となっています。1週間に1回程度は13.0%です。利用頻度はそれほど高くはないようです。

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    家事代行サービス利用頻度 出典: 野村総合研究所「平成29年度 家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究」

世帯年収別の家事代行サービス利用状況

利用者の世帯年収もみてみましょう。

「配偶者のいる女性25歳~44歳」、「配偶者のいる女性45歳~64歳」、「単独世帯25歳~64歳」の3つの世帯類型に分けて、世帯年収別の利用状況を表しています。 「現在利用している」、「過去に利用していたことがある」をあわせた利用経験がある割合(利用率)をみてみると、「配偶者のいる女性25歳~44歳」では、「年収700万円未満」は2.8%、「700万円以上1000万円未満」は5.6%、「1000万円以上」は11%と、年収が高くなるに従って利用率が上がっています。

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    家事代行サービス利用者の世帯年収 出典: 野村総合研究所「平成29年度 家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究」

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    家事代行サービス利用者の世帯年収 出典: 野村総合研究所「平成29年度 家事支援サービス業を取り巻く諸課題に係る調査研究」

「配偶者のいる女性45歳~64歳」でも、「700万円未満」が5.8%に対して、「700万円以上」は10.7%となり、年収が上がると利用率が高くなっています。一方、単独世帯では年収による差はほとんどみられません。経済的な理由よりも必要に迫られて利用するケースが多いことが考えられます。配偶者のいる女性の場合は、やはり年収が高いことが利用を後押しするようです。

家事代行を頼むならいくら稼げばいい?

世帯年収が高いほど利用率が高くなる傾向がわかりましたが、実際、どのくらいの年収だったら、家事代行サービスを頼んでも"割に合う"のかを考えてみたいと思います。

家事代行サービスを頼むことは、「時間をお金で買う」ことと考えられるので、その買った時間に見合うコストパフォーマンスが得られれば、家事代行サービスを頼むことは合理的となります。つまり、買った時間とそれによって得られる時間的な価値が釣り合えば、費用対効果から"割に合う"といえるのではないかと思います。

そこで、前出の家事代行サービスの料金設定を参考にして、家事代行サービスの1時間あたりの料金を出すと、3,000円~4,000円になります。その世帯の人員によって得られる時間的価値がこの金額になればいいので、時給3,000円~4,000円の稼ぎがあれば釣り合います。時給3,000円~4,000円から世帯年収を割り出してみましょう。

1日8時間労働、月20日勤務で、ボーナスや各種手当などを考慮しなければ、年収576万円~768万円となります。

以上のことから、世帯年収がおよそ600万円弱~800万円弱を超えていれば、家事代行サービスの利用は "割に合う"といえるでしょう。

家事代行サービスは気軽に頼んでいい

家事代行サービスを頼める年収を試算しましたが、これはあくまでも、コストパフォーマンスの観点から定期的、継続的な利用を想定した場合であって、実際は、年収にあまり囚われる必要はないと思います。必要な時に必要なだけ、気軽に利用できるサービスとして、家事代行サービスが浸透してほしいと思います。

家事は自分でここまでと決めない限り、終わりが見えないものです。普段それほどやらない窓拭き、換気扇の掃除、庭掃除などを月1回やってもらう、残業が見込まれる週だけ作り置きを数品作ってもらうなど、変則的な利用もできるのが家事代行サービスのいいところです。そして、共働き世帯、子育て世帯だけでなく、専業主婦世帯、単身世帯でも、気兼ねなく利用できるといいでしょう。時間の余裕だけでなく、心の余裕も持てるように、家事代行サービスを利用してみてはいかがでしょうか。