次元との共通点や共感するポイントを尋ねると、「同じ男として、無駄なものをそぎ落とす美学みたいなものはかっこいいと思います」と回答。
「かっこよくなりたい、こうありたいというマインドになると、自分に何か足すことばかりに意識が行きがちになりますが、そうではなく引いて雑味を消すというのは大人の男としてかっこいいなと思います。僕自身、向上心や承認欲求がすごく強いわけではないので、共通している部分があるのかもしれません。自分なりの哲学や理念という力強さを持ちつつ、余計なものをそぎ落とすというのが大人の男として大事な部分ではないかなと思います」
自身の核として大事にしている理念については、「媚びないことや、自分が感じるセンスの部分を揺るがせないことであったり、自分のアンテナに関して自分自身を信用するとか、そういったことが活力の一部になっていますし、自分の理念として持っているつもりです」と説明。「悩んだり苦しんだり、いろいろ経験する中で自問自答し、少しずつそういう答えに近づいたのかなと思います」と語った。
そして、“そぎ落とす”作業について、「足すほうが楽。なぜかと言うと今までの自分を否定しないから。そぎ落とすということは、今までの自分を多少否定し、そこと向き合わないといけない」と述べ、自身は「向上心や、こうなりたいという思い」をそぎ落として今の自分に変わっていったという。
■よりリアルを求めドキュメンタリーやニュースを視聴
また、「いろんな役を演じるにあたって視点が変わった」と告白。よりリアルを求めるようになっているそうで、「フィクションをあまり見なくなりました。いろんな人の人生を覗きたいという興味があるので、ドキュメンタリーや昔のニュースを見ています」と明かす。
「我々はフィクションを見て無意識に、こうやられたらこういうリアクションを取るというのが体に染みついてしまっている。例えば、人に刺されるシーンでよく『うわ~!』と演じる。でも、自分が刺される芝居があって昔のニュースや刺されている現場の映像を見たときに、そういう反応ではなかったので、フィクションとして誰かが演じたものが刷り込まれているだけだなと。ドラマや映画で見てきたものと実際の違いを知って、よりリアルな方向に興味が行ったのかなと思います」
これからさらにリアルな演技に磨きがかかっていきそうだが、今後の俳優業については「こうなりたいとか、こんな役を演じたいとか、何もないです。オファーをいただけたら期待以上で返すということしか考えてないですね。毎回その繰り返しです」と語る。
そして、本作を楽しみにしているファンに向けて、「アニメのときの次元の立ち位置と違い、次元の視点で物語が進んでいく中で新たな次元が見え隠れします。そこに注目していただきたいですし、おっさんのアクションを楽しんでもらえたらうれしいです」とメッセージを送った。
1980年4月7日生まれ、京都府出身。1999年、ドラマ『ナオミ』で俳優デビュー。2005年、『逆境ナイン』で映画初主演を果たす。2009年、映画『ハゲタカ』で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。2014年度後期のNHK連続テレビ小説『マッサン』では、主人公の“マッサン”こと亀山正春役を務めた。近年の主な出演作はNetflix『全裸監督』シリーズ(19、21)、映画『今はちょっと、ついてないだけ』(22)、ドラマ『CODE-願いの代償-』(2023)など。Amazon Original映画『次元大介』が10月13日より世界同時配信。現在放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』に大野治長役で出演。