一人暮らしをする時、家賃をどのくらいにすべきか悩む人は多いでしょう。「手取り収入の3割以内」が目安とされる家賃ですが、家賃の相場は、住む地域によって金額にかなりの差があるものです。では、東京と地方では家賃にどのくらいの差があるのでしょうか。東京と地方の平均家賃をご紹介し、地域ごとの家賃の違いについて解説します。
■一人暮らしの家賃、東京の平均金額は
住む地域によって相場が異なるという家賃ですが、そもそも全国平均はどのくらいなのでしょうか。総務省統計局のデータ(※1)によると、民営借家(賃貸物件)に一人で暮らす人の平均家賃は、1ヶ月当たり5万4,406円でした。
では、これに比べて東京の家賃相場はどのくらいなのでしょうか。「LIFULL HOME’S」によると、2022年6月時点での東京都23区の家賃相場は、以下のようになっています(※2)。
このように見てみると、同じ東京都23区でも、家賃相場には大きな違いがあります。最も家賃相場の高い区は港区の11万3,400円、最も家賃相場の低い区は葛飾区の6万4,600円でした。
また、東京都23区の家賃相場はいずれの区も全国平均の5万4,406円を超えており、中には家賃相場が全国平均の2倍近くに相当している区もいくつかありました。
ただし、同じ東京でも市部の家賃はもう少し抑えられる場合があり、最も家賃相場の高い武蔵野市を除けば、6~7万円が相場となるようです。また、八王子や多摩エリアでは5万円近くまで下がり、全国平均と変わらない金額で住むことができます。
(※1)「家計調査 家計収支編 単身世帯<用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出/住居の所有関係別 2022年」
(※2)一人暮らしに最低限必要とされる広さの25平米を基準とし、専有面積20~25平米の家賃相場。駅徒歩10分以内にある物件の平均賃料を軸に算出
■地方で一人暮らしをする時の平均家賃
では、地方で一人暮らしをする場合には、家賃はどのくらいになるのでしょうか。全国賃貸管理ビジネス協会の「全国家賃動向」(2023年8月調査)から、1部屋(1K・1DK・1LDKなどを含む)の平均家賃を地域別に見ていきましょう。
このデータにおける家賃の全国平均は5万800円で、先ほどの家計調査の結果とさほど変りはありませんでした。東京都は平均6万7,878円と全ての都道府県の中で最も平均家賃が高く、全国平均とは約1万7,000円もの差がありました。
また、平均家賃が5万円を超えているのは、埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・京都・大阪・兵庫の8府県となっています。
一方、最も平均家賃が低いのは鳥取県の3万7,506円で、平均家賃が3万円台なのは、山形・群馬・鳥取・愛媛・大分の5県でした。最も平均家賃の高い東京都と最も平均家賃の低い鳥取県を比べると、その差は3万円ほどありました。
なお、住みたい地域の家賃が予算より高くなってしまう場合は、地域の家賃相場を参考にしながら、近隣の地域に住むことも視野に入れて物件を探すといいでしょう。
■家賃はどのくらいに抑えるべき?
ここまでは、東京都23区や全国の都道府県の平均家賃をご紹介しましたが、実際に一人暮らしをする時には、家賃はどの程度に抑えるべきなのでしょうか。
多くの場合、家賃は手取り収入の3割以内が目安となっていますが、住みたい地域やお金の使い方によっても家賃の目安は変わってきます。
たとえば、家賃が低い傾向にある地方のエリアに住む場合は、手取りの3割よりさらに抑えることが可能でしょう。一方、都心部のエリアに住む場合は、手取りの3割以内で物件の候補を探すと、物件数が極端に少なくなる可能性があります。
また、貯金に励みたい方や趣味など他のことにお金を使う方は、家賃の目安を下げる必要があるかもしれません。
家賃の目安は手取りの3割以内、できれば2.5割くらいにできると生活に負担がかかりませんが、実際の家賃は、住むエリアを考慮したうえで、自分がどのようにお金を使っているのか生活費の内訳を明確にして決めることが大切です。
なお、勤務先によっては会社の福利厚生の一環として「住宅手当」が支給される場合もあります。住宅手当とは、自社の従業員が住む家や部屋への手当で、給料とともに現金で支給されます。住宅手当は首都圏の比較的規模の大きな企業で手厚い傾向にありますが、制度自体がない企業も多く、制度があっても支給される金額はそれぞれの企業で異なります。
住宅手当がもらえる場合は家賃負担が軽くなりますので、支給される条件を確認したうえで、どのくらいの家賃が目安になりそうか考えてみましょう。
■さまざまな角度から家賃を考えよう
家賃の相場は、住む地域によって金額に大きな差があります。住みたいエリアの相場をよく確認し、予算よりオーバーする場合は近隣エリアにも対象を広げてみましょう。また、家賃の目安は収入やお金の使い方によっても変わります。単純に「手取りの3割以内」と決めず、給料の額や優先順位の高い支出なども考え、無理のない家賃に決めましょう。