ロッテ・中村奨吾 (C)Kyodo News

 ロッテの中村奨吾は、打率.229ながらも相手投手に球数を投げさせたり、送りバント、無死二塁の時に進塁打を打つなど、チームに貢献している。

 8月31日の日本ハム戦では2-3の4回一死一塁の第3打席、田中瑛斗に対して3ボール2ストライクから粘りに粘って10球目の146キロストレートを見送り四球を選び出塁すると、山口航輝のレフトへの安打で一塁から一気に長駆ホームインした。9月5日のソフトバンク戦でも5打席で合計33球を投げさせた。

 「去年の方がそういう打席が多かったと思うんですけど、今年に関しては早いカウントから甘いボールを打ちにいこうという思いで打席に入っています。それが追い込まれたりして、なんとか1球でも多くという気持ちで球数を投げさせるのが多いのかなと思っています」。

 9月5日のソフトバンク戦のように5打席で合計30球以上投げさせる日もあれば、9月9日のオリックス戦は3打席中2打席が初球打ちという日もあった。チーム方針によるものなのだろうかーー。

 「チームの方針はどんどん打っていって、追い込まれたら球数を投げさせてという感じですけど、早いカウントから甘い球が来れば、それを捉えにいきたいと思っています。早いカウントから甘い球が来なかったら、ボールを見ながらという形になると思います。それは状況判断というのが多いかなと思います」。

 経験値の少ない若手選手がスタメン出場する機会が増えてきた中で、中村が打って決めて欲しいという場面もある。ただ、冒頭にも述べたように四球、進塁打であったりと、数字には表れない部分での貢献度が高いのも事実。

 「打率がなかなか上がってこない中で、もちろんヒットを打つのが一番だと思います。ランナーがいたら進めるし、チャンスメイクもできるしというところだと思うんですけど、なかなか思うようにいかない中で最低限何ができるか考えてやっています。ノーアウトでランナーが二塁にいたら進塁打、バントのサインが出ることもありますし、なるべくできることはできるようにというか、確率が高いものはランナーを進めて後のバッターに任せるとか。四球でもランナーに出て後ろに繋いでという形は考えるようにしています」。

 なかなか状態が上がってこない背景には、マークが厳しかったりというところも関係しているのだろうかーー。

 「長年出てきてデータもあると思いますし、打順の流れでポランコがすごい調子が良かったらなんとか自分を抑えないと、自分で勝負というところがあると思います。そういう打順に置いてもらっていることなのかなと思いますね。マークされるのは仕方がないことですし、自分が打てば乗ってくるというのは自分でもわかっています。相手もそれは警戒して攻めてくると思いますし、そういうことがあるかなと思いますけど、それをしっかり対応して自分がやっていかないといけないなと思いますね」。

 泣いても、笑っても残りは20試合。現実的にはリーグ優勝が厳しくなった中で、チームとしての意地、勝利をファンに多く見せてほしい。

 「ピッチャーが頑張ってくれています。その中で野手が先制点をとり、なるべくチームに良い流れを持ってきて、ピッチャーに頑張ってもらってという形が前半戦勝っていた流れだと思います。3番という打順で初回に回ってくるので、そこでなんとかランナーがいたら先制できるように。ランナーがいなくてもチャンスメイク、点につながるように意識して、ピッチャーが頑張ってくれているので打線でなんとか援護していい流れで試合を進められたら、勝ちに繋がると思う。野手が頑張って流れを作っていけたらいいなと思います」。

 中村奨吾が打てば、チームも盛り上がる。魂を込めた一打を魅せてくれ。

取材・文=岩下雄太