京都市交通局は、地下鉄烏丸線20系の第4編成を導入し、9月27日から営業運転を開始すると発表した。第4編成も車内装備品の標記銘板や釘隠しに新たなデザインを採用。「おもいやりエリア」の展示スペースに、京都の伝統産業品「京鹿の子絞」「京表具」を飾り付けた。
地下鉄烏丸線で活躍する全20編成のうち、開業以来40年間使用し、老朽化した9編成について、安全確保のため、2021~2025年度にかけて新型車両20系への更新を進めている。これまでに3編成を導入。新たに導入される第4編成は、9月27日の竹田駅15時5分発、国際会館行の列車から営業運転を開始する。
新型車両20系では、伝統産業を身近に感じてもらい、京都らしい地下鉄車両とするため、伝統産業の活用を図っている。第4編成も車内装備品である標記銘板(車号・事業者)や釘隠しに新たなデザインを採用した。
標記銘板は「京象嵌(きょうぞうがん)」の技法を活用し、伝統文様である「幸菱(さいわいびし)」の基本的な柄はそのままに、編成ごとにデザインを変更。第4編成の標記銘板は、上下に配した幸菱の両端を斜めにカットし、意匠の広がりを感じられるデザインとした。
釘隠し(くぎかくし)は「金属工芸」の技法を活用し、編成ごとにデザインを変更している。第4編成は「京生まれ(京都発祥で日本初のもの)」をテーマに、「蹴上発電所」「中央卸売市場」「映画上映」「駅伝」をモチーフとした。
「おもいやりエリア」に展示する伝統産業品も編成ごとに変更している。第4編成の2134号車に飾り付ける「京鹿の子絞」は、京都で生産される絞り製品の総称。代表的な本疋田絞(ほんびったしぼり)の技法により、京都市交通局章をデザインした生地が順番に仕上がる製作工程と、辻が花・唄絞(ばいしぼり)・帽子絞(ぼうししぼり)・針疋田絞(はりびったしぼり)の4つの技法で製作された実物を紹介する。
2834号車に飾り付ける「京表具」は、京都で作られる表具で、京都の長い歴史の中で成熟してきた上品な趣が特徴。代表的な掛軸(かけじく)の他にも、額装(がくそう)・屏風(びょうぶ)・巻物(まきもの)・襖(ふすま)・衝立(ついたて)などがあり、襖・屏風が順番に仕上がる製作工程や構造について、実物を用いて紹介している。