京都市営地下鉄烏丸線の新型車両20系に第2編成が登場。6月20日に報道公開を行い、6月21日から運行開始した。第1編成と同様、京都の伝統産業を生かした車両となり、先頭車の「おもいやりエリア」展示スペースに京仏具と京焼・清水焼が展示された。

  • 京都市営地下鉄烏丸線の新型車両20系の第2編成。6月21日から運行開始した

新型車両20系は、老朽化の進む烏丸線の車両9編成(10系1・2次車)の置換えを目的に導入され、今年3月26日に第1編成が運行開始した。先頭車に多目的スペース「おもいやりエリア」を設置し、展示スペースで京都の伝統産業を紹介する。他にも車内の各所で京都の伝統産業素材・技法を採用しており、利用者らの注目を集めている。

第2編成では、竹田方先頭車の「おもいやりエリア」に京仏具、国際会館方先頭車の「おもいやりエリア」に京焼・清水焼を展示。京仏具のコーナーでは、京都市に所在する国宝指定の仏像を題材としたアート作品を飾り付けている。こどもたちが見ることも意識し、親しみやすいデザインに。職人によるこだわりが随所に見られ、京仏具の奥深さを感じられる作品になっている。

  • 先頭車に設置した多目的スペース「おもいやりエリア」

  • 竹田方先頭車の展示スペースには京仏具を飾り付けた

  • 説明パネルと仏像をモチーフとしたアート作品を通じて、京仏具の魅力を紹介する

製作を担当した京都府仏具協同組合によれば、新型車両20系が近鉄奈良駅まで乗り入れることもあり、「国宝指定の仏像が数多く存在する奈良には負けたくない」との意識があったという。「作品を通じて、現在でも伝統的な技法で製作していることを知ってもらえれば」と話した。

一方、京焼・清水焼のコーナーでは、説明パネルと実物を用い、京焼・清水焼の製作過程をわかりやすく解説している。製作を担当した京都陶磁器協同組合連合会の新たな試みとして、独自の新ブランドも紹介。京都陶磁器協同組合連合会によれば、「従来、京焼・清水焼は高級料理店などで使用されることが多かったのですが、展示スペースを見て、より身近に感じてもらえれば」とのこと。

  • 国際会館方先頭車の「おもいやりエリア」展示スペースでは、京焼・清水焼を紹介。説明パネルと実物を通じ、製作過程と新たな試みを伝える

  • 標記銘板は左右方向に動きを持たせたイメージに

  • 釘隠し「舞踊」(春)

  • 釘隠し「祇園祭」(夏)

第2編成ではその他、運転室と客室の仕切り壁に設置する標記銘板に関して、機敏に走る地下鉄をイメージした左右方向に動きを持つデザインに変更。中間車両の連結部通路の壁に設置する釘隠しは、「京の催し」をテーマに、「舞踊」(春)、「祇園祭」(夏)、「月見」(秋)、「まねき上げ」(冬)をモチーフとしたデザインになった。京都市交通局によれば、今後デビューする編成についても、展示スペースの展示物や釘隠し・標記銘板のデザインを編成ごとに変更するとのことだった。

新型車両20系の第2編成は6月21日の15時すぎから運行開始した。運行ダイヤは京都市交通局サイト内「地下鉄烏丸線新型車両☆特設情報館」で公開中。烏丸線内での運行に加え、近鉄京都線・奈良線への直通運転も予定されている。