こだわりといえば、主題歌も欠かせない要素だ。「『silent』では『Subtitle』という素晴らしい曲をOfficial髭男dismさんが作ってくれて、本当にあの曲に力をもらいました」と感謝しながら、「今回もあるアーティストさんが今、主題歌を作ってくださっています。4話までの脚本の初稿を読んでいただいて、今、それを音楽という形にしてくださっています。デモを聴いただけですごい主題歌になると確信しました」と報告。

その上で、「『silent』と『Subtitle』がセットだったように、きっと『いちばんすきな花』にはこのアーティストのこの曲だというものができてくると思いますので、こちらも楽しみにしていただければ」と、自信とともに呼びかけた。

『silent』では、世田谷代田駅やタワーレコード渋谷店など、実際のスポットが劇中に登場して“聖地化”する現象が起こったが、今作でも実在の街が舞台になっており、「その地名を選んだ理由もちゃんとドラマの中にあります」とのこと。

このように実在の場所を登場させるのは、「富良野に行ったら『北の国から』の黒板純や螢がいる気がする。こういう感覚になれるドラマがとても好きなんです」という狙いを込めており、「雪が谷大塚に行ったら『いつ恋(いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう)』の音と練がいる、世田谷代田に行ったら紬と想がいるというように皆さんが感じてくださったように、この街に行けば、ゆくえや椿や夜々や紅葉が歩いてると感じてもらえるようになれば、という願いを込めて、ある街を舞台にしています」と明かした。

■生方脚本の作品に出たいという役者が続出

大ヒットした『silent』の制作チームによる新作と銘打っているだけに、「もう押し潰されそうですよ(笑)。『silent』で引退すればよかったと何度も思いました(笑)」とプレッシャーはやはり大きい様子だが、「『silent』は作品が当たったという喜びではなくて、たくさんの人たちが自分たちの作ったドラマを愛してくれているというのを感じられて、本当に幸せな気持ちになったんです。やっぱり人間なんで、もう一度その気持ちを感じたいなと思いました(笑)」と本音を吐露。

さらに、「僕自身、なかなかうまく結果が出ないときもありました。会社に『2023年の10月期の木曜10時を、村瀬と生方さんでまたやってほしい』と言ってもらえるなんて、こんな幸せなことはないです。それともう1つ幸せなことは、生方さん脚本の作品に出たいという役者さんからの声をたくさん聞いていたんですよね。だから、『(フジテレビ)ヤングシナリオ大賞』を獲って、僕自身が大抜てきした彼女の才能をもっと世界に伝えて、みんなが喜んでくれるものを彼女と一緒に作っていこうという思いで、必死にプレッシャーを抑えています(笑)」と、使命感を語る。

ちなみに、村瀬Pいわく、自身のプレッシャーとは対照的に、生方氏は「私は何も実績がないのに『silent』でまさかのデビューをしました。あのときのプレッシャーがとんでもなかったので、それ以上のプレッシャーはないです」と、前作よりも気負わずに臨めているようだ。

●村瀬健
1973年生まれ、愛知県出身。早稲田大学卒業後、97年に日本テレビ放送網へ入社し、『終戦60年ドラマ・火垂るの墓』『14才の母』などをプロデュース。08年にフジテレビジョンへ移籍し、『太陽と海の教室』『BOSS』『SUMMER NUDE』『信長協奏曲』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『めぐる。』『silent』などのドラマ、『信長協奏曲』『帝一の國』『とんかつDJアゲ太郎』『約束のネバーランド』『キャラクター』といった映画をプロデュース。10月に『silent』の制作チームによる新作『いちばんすきな花』がスタートする。