NTT西日本は、「NTT西日本グループ会社 事業説明会」を開催。同社グループより、成長分野ビジネスの中心を担う8社が参加し、各社の事業内容の紹介を行った。

NTT西日本グループは、2025年に向けて、非通信事業の収益を5割以上にすることを目指して取り組みを進めている。固定電話が大きく減り、光サービスへの大きな転換期を迎えているが、さらに成長分野ビジネス(非通信事業+通信事業“成長領域”)にも積極的に挑戦。2000年度の約3%から2022年度には約37%と大きく躍進している。既存分野の減少をカバーし、50%以上の収益をめざすとともに、「ソリューション/サポートの多様化」「通信インフラの高度化」「新領域事業の拡大」といった成長分野ビジネスを通じて、社会課題解決にも貢献していくとしている。

現在、NTT西日本グループには約25の会社があり、その中から、今回の事業説明会には、成長分野ビジネスの中心を担う8社が登壇し、各社の取り組みや今後の展望などを紹介した。

■NTTメディアサプライ

1985年に設立された「NTTメディアサプライ」、通称メディアスは、集合住宅向けのICTソリューションや法人向けのWi-FiとMVNOを中心に事業を展開。2001年に集合受託向け光インターネットサービス「DoCANVAS」を提供。その後、2012年に店舗向けWi-Fiサービス「DoSPOT」、2020年にMVNO事業として法人向けモバイルSIMブロードバンドサービス「DoRACOON」、今年に入ってからは、eSIMを利用した海外渡航者向けデータ通信サービス「Lesimo」、法人向けのインターネット接続サービス「BizConecta」などを提供している。そのほか、サービス開発にも力を入れており、店舗向けのデジタルサイネージ「LOOOK」なども展開されている。

  • NTTメディアサプライ 企画部 企画グループ/システム企画グループ 担当課長の中田裕樹氏

集合住宅向けと法人向けが事業の柱であり、「DoSPOT」は2025年にサービス提供を終了するが、そここで培った無線系の技術を使いながら、クラウドSIM技術を用いたブロードバンドサービス「DoRACOON」を展開。「DoRACOON」は、クラウドSIMサーバーをユーザーが共有する仕組みで、SIMカードは3キャリア対応となっており、通信障害に強い冗長性を備えている。

端末は3タイプで、据え置き型はLANケーブルに対応しているのが特徴。建設現場などの固定回線が敷設しにくい環境に最適で、モバイルルータータイプについては、第三四半期に、充電機能を備えたモデルがリリース予定となっている。「DoRACOON」は、駅構内の小売店舗などでのキャッシュレス端末との組み合わせも想定されているという。

  • 充電機能を備えたモバイルルーター。別の端末を充電することができる

■NTTスマートコネクト

先進のICT技術でスマートな世の中の共創をめざす「NTTスマートコネクト」は、データセンターを運営する「ハウジング事業」、データセンターを活用した「クラウド事業」、動画配信をする「ストリーミング事業」の3つを主要事業として展開する。

  • NTTスマートコネクト ビジネス推進部 プロモーション推進担当 マネージャーの梶原浩紀氏

「ハウジング事業」では、西日本最大級の都市型データセンターとして、堂島、日本橋、曽根崎、北浜にあるデータセンター同士を光ケーブルで接続する「Dojima Connect」のサービスを提供している。離れたデータセンター間をつなぎ、あたかも同じデータセンター内で利用しているような接続性を実現。さらに、急な保守対応が必要になったときでも、24時間365日入館できる柔軟な受付体制も大きな特徴となっている。

「クラウド事業」は、同社運営のデータセンターを活用し、WEBホスティング、クラウドストレージ、セキュリティサービスなど幅広いラインナップを用意。そして、マイクロソフトのAzureを活用した、生成AI「ChatGPT」を安全に利用するサービスも10月より提供予定となっている。

「ストリーミング事業」も、同じくデータセンターを活用。おもに動画配信プラットフォームを提供しており、最近では教育分野やXR事業にも展開。今後は、3D教育メタバースというサービスも提供予定となっている。

そのほか、新規事業として、AIによる働き方視える化ツール「wakucone」、リモート聴診サービス「聴シンクロ」、食に特化したライブコマースサービス「foove」を展開。また、グループ会社の「メディアプラットフォームラボ」は、同社とradiko、朝日放送グループが出資しており、radikoの配信プラットフォームを開発・提供している。

■NTTソルマーレ

総合電子書店「コミックシーモア」の運営やスマホゲームの開発・運営を実施する「NTTソルマーレ」は、設立当初、PDA端末にコンテンツをダウンロードできる街頭端末サービス「フービオ」を提供していたが、配信チャンネルが限定的だったことやPDAがあまり普及しなかったこともあって2005年3月に撤退。

  • NTTソルマーレ 経営企画部 総務人事グループの川瀬愛氏

しかし、「フービオ」においてコミックコンテンツの支持が高かったところから、2004年8月にケータイ向けコミック配信サービスを開始。ちょうどそのタイミングでのドコモのパケ・ホーダイやフィーチャーフォンの普及により、コミック配信事業は順調な伸長を見せたという。その後、フィーチャーフォンからスマートフォンへの急速な移行、複数の端末を所有するマルチデバイス化の流れによって、新たなビジネスモデルへと展開し、2011年にスマホ対応、2012年にPC・タブレット対応を果たしている。

電子書籍事業「コミックシーモア」は、電子書籍約116万冊を取り扱うなど、業界最大級の品揃えを誇り、月間利用者数も3,500万人を超える。主なターゲットは20~40代の女性で、ユーザーの約半数を占めている。電子書籍市場は様々なプレーヤーが参入し、競争が激化しているが、その中で生き残るポイントとして、「オリジナルコミック事業」を展開。1,600を超えるオリジナルコミックを制作し、「家政夫のナギサさん」をはじめ複数の作品がテレビドラマ化されている。

また、新たなチャレンジとして、データドリブンな新規コミック出版事業「シーモアコミックス」を設立。さらに、北米市場の展開も進めており、80社以上の出版社とパートナーシップを結び、幅広いジャンルのコミックを北米に向けて展開している。

そのほか、2011年より海外向け恋愛ゲームを配信するなどゲーム事業も展開。2019年にリリースしたイケメン悪魔調教ゲーム『Obey Me!』が、北米を中心に人気を博し、2020年12月には日本凱旋。ゲームにとどまらず、アニメや音楽、コミカライズも含めて、IPをさらに多角的に活用し、新たな顧客接点からのユーザー獲得を狙っていくとしている。

■NTTSportict

2020年に設立された「NTTSportict」は、NTT西日本と朝日放送グループが出資しており、「STADIUM TUBE」とよばれるAIカメラの販売を手掛けている。

  • NTTSportict 事業企画部長の山田裕也氏

日本にはまだまだ配信されていないスポーツが数多くある。特に、小学校・中学校・高校・大学スポーツやセミプロ、アマチュアスポーツは、ほとんど映像化されていないのが現状で、プロスポーツでも一部にとどまっている。そんな中、「100万人が見る試合を1試合放送ではなく、100人が見る試合を1万試合配信」という世界観をめざし、「STADIUM TUBE」を展開している。

「STADIUM TUBE」は、競技場にAIカメラを常設し、スポーツ映像の撮影・編集・配信を自動で実現するソリューション。イスラエルのPixellot社のカメラを利用しており、仕組みとしては、コート全体を4K×3のカメラで撮影し、その中からAIがボール、選手の位置、ルールなどから自動で判断し、必要な部分を切り取って映像を作成する。

  • 「STADIUM TUBE」で使用されるAIカメラ

サッカー、バレーボール、野球など16の競技に対応しており、会社設立時はコロナ禍のために厳しい船出となったが、徐々に導入ケースも増えている。現在では、川崎フロンターレなどのプロチームや、自治体の体育館などに導入されている。

特に秋田県の大館市では、自治体のHPと紐づけることによって、地元のスポーツ大会の映像を配信することでHPを活性化。さらに、施設認知度の向上や大会誘致など、映像を起点としたプロモーション活動が行われており、今後は「STADIUM TUBE」を起点にして、地域のコミュニティ活性化などにも取り組んでいくという。

■NTT PARAVITA

NTT西日本とパラマウントベッドの出資によって2021年7月に設立された「NTT PARAVITA」は、「睡眠改善で未病ケア社会をつくる」ことをミッションとし、“ねむりのDXカンパニー”として、睡眠改善サービスを展開している。

  • NTT PARAVITA マーケティング部 サービス開発責任者 睡眠改善インストラクターの新田一樹氏

健康経営に取り組む企業や自治体、介護事業者にサービスを提供しており、パラマウントベッドの高精度な睡眠センサーを活用し、利用者の生活データを取得。提供先事業者を経由して、利用者一人ひとりに寄り添った健康サポートサービスを行っている。

  • パラマウントベッドの睡眠センサーを利用

実際に提供しているサービスとしては、睡眠改善をベースにダイエットや健康経営のサポートなど勤労世代向けから高齢者向けまで、ねむりに関するすべての世代へのサービスを展開。調剤薬局向けの「ねむりの窓口」、メタボリックシンドローム対策の「ねむりのジム」、介護事業者向けの「ねむりのAIケア」、自治体向けの「ねむりの見守り」、健康経営企業向けの「ねむりの応援団」「ねむりのあれこれ」などが提供されている。

さらに、睡眠改善メソッドとして、認知行動療法を取り入れた睡眠改善プログラムを提供。正しい睡眠知識を取り入れて、自身の悪い睡眠習慣の認知、専門家の伴走による行動変容を促すことによって、睡眠改善による生産性の向上をめざしている。

なお、これまでは企業を対象としたBtoB型の展開がメインだったが、今後は一般向けのイベントも企画、実施していく予定となっている。

■地域創生Coデザイン研究所

地域の人々が主体的に共創できる社会の実現をめざす「地域創生Coデザイン研究所」は、地域課題解決コンサルティング、自治体・国に対する政策策定支援、地域データを活用したデジタルデータビジネス、これらに付帯、関連する一切の事業を取り扱っている。

  • 地域創生Coデザイン研究所 戦略企画部 チーフプロデューサーの清水優氏

現在、地域が抱える課題として、「少子高齢化・働き手不足」「社会インフラ老朽化(災害脆弱性の高まり)」「格差の拡大(教育、医療など)」。NTT西日本グループとして、2019年から地域創生プロジェクトを展開し、地場企業や大学といったパートナーとともに、課題解決、地域活性化に取り組んできた。

そんな中で、2021年7月に設立された「地域創生Coデザイン研究所」の役割は、「NTT西日本グループの地域創生の無形資産(知見やノウハウなど)」を活かして、“持続可能な共創循環“の創出・推進すること。地域により深く入り込んで、地域課題を解決するプロセスを探求するほか、多様なサービス・データ活用による構想の具現化を追求。そして、活動地域・事業領域の連鎖による広い社会への浸透・波及を通して、地域社会や住民のウェルビーイング向上を実現する地域創生のためのコンサルティングビジネスを行っていく。

地域創生プロジェクトは全30府県で展開されているが、具体例として「愛媛県西条市における自助・共助を育む協働と共創のまちづくり」を紹介。STEP1として、健康活動に対するポイント付与を行う「健康ポイント事業」で健康増進、STEP2では登録店舗でのポイント利用による「地域での消費活動」で地域消費による経済の活性化。そして現在、STEP3としてSDGs活動へのポイント付与による市民参加型の持続可能な社会を目指しているという。今後はSTEP4として、地域課題全般の解決に向けた取り組みに発展させていくそうだ。

そのほか、森林・林業DXによる自然資本循環型の地域活性化や広島県廿日市市宮島のおける観光DXで解決をめざす地域課題の例を紹介。今後も、NTT西日本グループの“強み”を活かした地域創生の推進をめざしていく。

■テルウェル西日本

NTT西日本グループとして、通信以外の様々な事業を展開する「テルウェル西日本」は、オフィスソリューション事業や電報事業、介護施設運営などを展開。その中でも軸となる「清掃サービス」は70年の歴史を持ち、現在、NTTグループビルを中心に約5,000ビルの清掃を実施している。

  • テルウェル西日本 総合ビルマネジメント部 商品開発部門 商品開発担当の松本一樹氏

清掃業界は、60歳以上が47%を占めるなど高齢化が進んでいるほか、人手不足や離職率の高さによって、均一な清掃品質を担保することが難しく、人件費の高騰など様々な課題がある。そこで開発されたのが、業務用の小型清掃用ロボット「ロボ★メン」。清掃ロボットは、ショッピングモールや空港などで利用される大型のものが主流だが、「ロボ★メン」は、同社の清掃ノウハウを注ぎ込んで開発された、業界初のクラウド型オフィス用小型清掃ロボットとなっている。

  • ロボ★メン

「ロボ★メン」の特徴は、「クラウド管理」「遠隔配信」「座礁の軽減」。マップをクラウドで管理することによって、1台のロボットで複数エリアの清掃ができるほか、マップとロボットを自由に組み合わせ、スケジュールも簡単に設定できるようになっている。

同社では、新しい清掃のカタチとして「ハイブリッド清掃」を提唱。例えば、トイレやガラスなど、ヒトでしか対応できない場所はヒト、床の掃き掃除はロボットが担当するなど、ヒトとロボットでJOBを分業することによって効率的な清掃を行うことで、清掃課題の解決を実現していくとしている。

■NTT西日本ルセント

「NTT西日本ルセント」は、様々な障がいのある社員が働くNTT西日本グループの「特例子会社」。特例子会社は、障がい者雇用の定着促進のために設立された障がい者雇用に特化・配慮した子会社で、全国に579社(令和4年)がある。

  • NTT西日本ルセント 経営企画部 事業開発室 室長の永田澄博氏

内閣府の発表によると、日本の障がい者は、令和5年で1,159万人。人口の約9.2%に相当する。就労状況は、右肩上がりに伸びており、最近では、精神・発達障がい者の雇用が増えてきている。一方、雇用率は、厚労省による法定雇用率2.3%という目標に対して、実績は2.25%にとどまり、企業の達成率は48%となっている。それに対して、NTT西日本グループは、NTT西日本ルセントを含めて2.83%を実現。さらに、一年以上の定着率に関しても、全国では、身体障がい者が60.8%、知的障がい者が68.0%、精神・発達障がい者が49.3%であるのに対し、NTT西日本ルセントの定着率は94.5%となっている。同社の障がい者従業員は精神・発達障がい者が約7割を占めていることを考えると、非常に高い数値であることがわかる。

障がい者の定着、成長には業務内容が重要となるが、同社は西日本グループの特定子会社ということもあって、グループ各社から約300の業務を受託。営業や設備管理、社員の福利に関するような雇用保険業務、そして特例子会社では珍しいと言われるシステム開発の業務など多岐にわたっているのも大きな特徴となっている。

さらに、障がい特性についても合理的な配慮が行われており、「会話によるコミュニケーションが苦手」という特性に対しては「アスドライブ」の利用、「イマジネーションが苦手」という特性に対しては、マニュアルの作成やRPAツールの活用で対応。「アスドライブ」は、同社の社員が自らの障がい特性を乗り越えるために作っているコミュニケーションツールで、日々の業務実施状況や体調を記録。スタッフが内容を確認し、コメントにて社員フォローを実施することでマネジメントする。障がい者の定着率が低くなる理由としては、「仕事があわない」「人間関係」「自身の体調不良」の3つが挙げられるが、これを早期発見、早期対応することによって、定着率を高めることができるという。

そのほか、地域社会への貢献に向けた取り組みとして、障がい者の雇用拡大・成長促進をめざす「大分PJ」を紹介。さらに、2025年の大阪・関西万博についても、NTTグループ全体として、ダイバーシティの推進として取り組んでおり、同社もバリアフリーマップの作成などで参画できればとの展望を示した。