今年の夏も暑い。でも、水族館なら涼しい室内で快適に過ごせそう。北海道・札幌で、7月20日にグランドオープンした新しい都市型水族館「AOAO SAPPORO(アオアオサッポロ)」を紹介したい。

札幌の中心部に複合商業施設がオープン

  • 完全室内型の都会的な水族館だが、およそ250種・4000点もの生き物を飼育。「全部見よう」と頑張ってもボリューム感に圧倒される

ここは、北海道・札幌の中心部。7月20日、狸小路商店街に、複合商業施設「moyuk SAPPORO(モユクサッポロ)」が開業した。セレクトショップやカフェ、スイーツのショップなどが入店しているが、生き物ファン、特にペンギン好きは水族館に注目だ。

その名は、「AOAO SAPPORO(アオアオサッポロ)」。モユクサッポロの4~6階に入った完全室内型の都会的な水族館だが、およそ250種・4000点もの生き物を飼育している。「全部見よう」と頑張っても、ボリューム感に圧倒されるので、興味のある展示を中心に見学するのが良さそうだ。

ツウ好みの魚から水族館の裏側まで展示

水族館の各フロアを紹介する。

4Fは、普段は見ることのできない水族館のバックヤード(裏側)を見せるゾーン。

水族館といえば、海水を引き込みやすい海のそばという立地が多かったが、海から遠く離れた土地でも人工海水で海洋生物を飼育する水族館も出てきた。そのカギとなる人工海水の材料や海水を製造するプラントなどを展示している。これはなかなかツウ好み!

そのほか、エゾトミヨ、キタサンショウウオなど北海道にすむ生き物の展示も興味深いところ。

5Fは、流木や水草を組み合わせ、水槽内で自然の生態系を再現する「ネイチャーアクアリウム」が必見。生き物と本をセットで見せる「ライブラリーアクアリウム」も、知的好奇心を満たしてくれる。

  • チンアナゴやヘコアユなど、姿のおもしろい魚を群れで展示

ペンギンファンは6階に大集合!

6階が、水族館屈指の人気者・ペンギンを中心としたゾーン。世界には18種、日本には12種のペンギンがいて、その多くはフンボルトペンギンである。ところが、アオアオサッポロではちょっと珍しいキタイワトビペンギンとフェアリーペンギン(コガタペンギン)の2種を飼育している。どちらも北海道ではここでしか見られない。

キタイワトビペンギンは、頭の飾り羽が特徴的な美しいペンギン。

両足をそろえてピョンピョン飛び跳ねる姿が愛らしい。水槽の横からはペンギンが泳ぐ姿、水槽横の階段を上れば陸上で過ごす姿と、さまざまな角度からペンギンが観察できる設計だ。

フェアリーペンギンは今、世界にいる全ペンギンの中で最も体が小さい種。歩幅が小さく、前傾姿勢でヨチヨチ歩く姿がかわいらしくて、目が釘付けになってしまう。

  • 【写真】フェアリーペンギンは今、世界にいる全ペンギンの中で最も体が小さい種。歩幅が小さく、前傾姿勢でヨチヨチ歩く姿がかわいらしくて、目が釘付けに

アオアオサッポロでは、ペンギンの名づけにも、くすっと笑える工夫がある。キタイワトビペンギンはフラノ、チトセ、オタル、サッポロなど、北海道の市町村の名前がつけられているのだ。ちなみに、フェアリーペンギンはアイス、アオ、ソラなどで、こちらもかわいらしい。

これらの展示の監修に携わっているのは、上田一生氏。筆者は2023年6月に『日本で会えるペンギン全12種パーフェクトBOOK』という本を書いたが、その監修もしてくれたペンギン界の偉人である。

アオアオサッポロの見学ポイントを聞くと、「キタイワトビペンギンは活発で基本的には人を怖がることなく、元気に動き回ります。観客とペンギンとの距離が近いのは、そういうキタイワトビの特徴を前提としたものです。陸上では、組み替え可能な六角形のモジュール上を飛び歩きます。水中では、大きなフリッパーをダイナミックに動かしながら潜水し、力強く長く泳ぎ続けます。一方、コガタペンギンは、基本的に用心深く、人間などの激しい動きや強い光、大きな音にとても敏感です。ガラスで隔てられたコーナーで飼育するのは、大きなストレスを与えないという目的もあります。陸上では前傾姿勢で歩くので、そのかわいらしさを間近で観察してみてください」と、教えてくれた。

■information
AOAO SAPPORO(アオアオサッポロ)
北海道札幌市中央区南2条西3丁目20moyuk SAPPORO 4階-6階
時間:10:00-22:00(最終入館21:00)
料金:高校生以上2,200円、小中学生1,100円、幼児300円 ※料金は時期により変動